Xscapeのメンバーが手がけた"No Scrubs"
TLCが'99年にリリースした"No Scrubs"は、これまでのR&Bとは一線を画する近未来的なサウンドが話題を集め、2000年というミレニアムを迎えるに相応しい、正にR&B新時代の到来を予感させた歴史的な1曲。
No Scrubs
TLC
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全米シングル・チャートを制したこの"No Scrubs"は、"Just Kickin' It"、"Who Can I Run To"などのヒットで知られる、女性R&BグループXscapeのメンバーKandi BurrussとTameka Cottleの2人がソングライターとして制作に携わった楽曲。
Who Can I Run To
Xscape
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TLCと同じ'90年代にデビューしたXscapeは、'90年代に3枚のアルバムを残し、'98年に発表したサード・アルバム『Traces of My Lipstick』をリリース後に一時活動を停止。
Xscapeの活動がひと段落した'98年に、Kandi Burrussはインスピレーションを求めて女友達とドライブを楽しんでいた時、この数日前に友人であるShe'kspere("No Scrubs"のプロデューサー)から受け取っていた"No Scrubs"のトラックを聴いていたとのこと。
「NPR」の記事で、「リリックも無し、メロディも無し、ただの音楽だけ。ドライブ中に最高のアイデアが思い浮かぶから、車の中でトラックを聴くのが好き」と、当時の様子を振り返ったKandi Burruss。
Kandi Burrussと友人は、当時交際していたボーイフレンドの陰口を言い合い、Kandi Burrussはトラックに合わせてフリースタイルを始め、その流れで「ダメ男批判曲」である"No Scrubs"の原型が生まれたのだとか。
そして、このアイデアをXscapeのメンバーTameka Cottleに共有してデモを録音。
当初は、Xscapeの今後のプロジェクトとして、"No Scrubs"を制作したとのこと。
「"No Scrubs"をTLCに渡したことは、恐らくこれまでで最高の出来事だった」
グループが活動停止状態だったとはいえ、TLC, SWV, En Vogueらと並び、'90年代に最も成功した女性R&Bグループとして知られるXscapeだっただけに、Kandi BurrussとTameka Cottleが自分達用の曲として"No Scrubs"を制作するのは当然の流れ。
しかし、作られたデモ音源が関係者に渡っていく中、この曲がL.A. Reidの耳に留まり、Kandi Burrussは「Entertainment Weekly」の記事で当時の様子を次のようにコメント。
「L.A. Reidは、TLCに"No Scrubs"を歌わせることにこだわっていた」
L.A. Reidの他にも、この曲に大いなる可能性を感じた周囲の人々から、Xscapeよりもっと大きなグループへ渡すべきだと説得されたというKandi BurrussとTameka Cottle。
TLCと同じ時代に凌ぎを削り合っていたXscapeだけに、当初はこの意見に当然反対したようですが、最終的にはTLCへと渡されることになった"No Scrubs"。
ちなみに、Kandi Burrussは他者へ楽曲提供をしたいと常々考えていたようですが、L.A. Reidから「この曲を君のキャリアで最大のレコードにする」と言われた時、内心では「Xscapeはいくつかのビッグ・ヒットを持っている。あなたが何と言おうと」と、やはり当初はXscapeの曲として自分達が歌おうと考えていたとのこと。
TLCではなく、もしXscapeが"No Scrubs"を歌っていたら?
もちろんXscapeの代表曲になっていたことは想像に難くないですし、もしかしたらTLC以上のヒットを記録したかもしれないものの、Xscpaeとして"No Scrubs"を歌うという自分達のプライドより、曲の可能性を優先させたKandi BurrussとTameka Cottle。
当時の心境を、「Bravo TV」の記事にTameka Cottleは次のようにコメント。
「"No Scrubs"をTLCに渡したことは、恐らくこれまでで最高の出来事だった。この曲が私にグラミー賞を与えてくれた。そして、私たちはただのアーティストではなく、グラミーを受賞したソングライターとして見られるようになったわ」
ソングライターという新しい一面で評価され、結果的に"No Scrubs"をTLCに渡したことが正解だったと振り返ったTameka Cottle。
「他者へ提供して大成功した最たる例」と言いたくなる、Kandi BurrussとTameka Cottleの潔さが生んだ劇的なストーリーでした。
"No Scrubs"をサンプリングするアーティスト達
自分をカッコいいと勘違いしている男性に対して使われる「Scrub」というスラング、つまり"No Scrubs"を一言で言うと「ダメ男はお断り」という意味。
「だから、私はあなたの電話番号なんていらないわ。私の番号も教えないし。
スクラブなんてお断り、スクラブは私からの愛を手に入れられないわ」
この「ダメ男批判曲」の"No Scrubs"に対して、以下の有名メディアは次のように絶賛。
「自分がデート出来る男性に対して、痛烈な批判を浴びせた曲」
Vibe (Natelege Whaley)
「スリンキーでアコースティックなR&Bスマッシュ」
Daily Record (John Dingwall)
「魅力の無い人と寝る気は無いと歌った史上最高の曲」
NME (Steve Chick)
リリースされた当初はその歌詞の内容から大きな批判が集まったものの、メンバーのChilliはこの曲について「男性全般を批判した曲ではない」と言及しており、あくまで「仕事をせずに他人に依存している男性へのバッシング」が題材とのこと。
そんな"No Scrubs"は'99年のビルボード年間シングル・チャートで2位にランクインし、まだ第42回グラミー賞「Best R&B Performance By A Duo Or Group With Vocal」を受賞するなど、結果的にはTLC最大のヒット曲に。
Billboard Year-End Hot 100 singles of 1999
1. Believe - Cher
2. No Scrubs - TLC
3. Angel of Mine - Monica
4. Heartbreak Hotel - Whitney Houston feat Faith Evans and Kelly Price
5. ...Baby One More Time - Britney Spears
また、Ed Sheeranが2017年に発表したシングル"Shape of You"が、TLC"No Scrubs"に似ているという比較を受け、Ed Sheeran側が後に"No Scrubs"のソングライター達を"Shape of You"のクレジットに追加したことでも話題となりました。
Ed Sheeran
Shape of You
iTunes: https://apple.co/3iDvonX
TLCに影響を受けたアーティスト達が、この曲にオマージュを捧げた楽曲を発表しており、"No Scrubs"をサンプリングした注目の楽曲をセレクトしました。
ちなみに、TLCが"No Scrubs"をTVで世界初披露したのは、日本の音楽番組「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」だったとのこと。
David Correy
All Eyes on Me
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Rola
Blender
iTunes: https://apple.co/3pQ0c6n
Derek King
Found You
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Doechii
What It Is feat. Kodak Black
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