
Dallas Austin, そしてT-Bozの実体験が元になった"Creep"
TLCが'94年にリリースしたセカンド・アルバム『CrazySexyCool』からのファースト・シングルとなった"Creep"は、「浮気」をテーマに書かれたTLCの代表曲の1つ。
「これで22回目の孤独、 私達はたくさんの事を乗り越えてきたよね。
彼のことを本当に愛しているけど 彼が浮気をしているのは知ってるわ。
彼の目を見ると、私をキープするために嘘ばっかりついている。
私は彼から絶対に離れないけど、 私だって何かしてるかもね。
だって私も、愛されたいし。
だから隠れて浮気するの、彼の知らない所でね」
この曲を作詞作曲したのは、TLCをデビュー時から支えてきたプロデューサーDallas Austinで、この内容はDallas Austin自身の過去の実体験がベースとなっており、彼が女性目線で書いた歌詞とのこと。
この曲を制作した時の様子を、Dallas Austinは「Songwriter Universe」のインタビューにて次のようにコメント。
「当時、俺には長く付き合っていた彼女がいたんだ。最初は友達だったんだけど、付き合い始めてから俺達の関係がおかしくなっちゃってね。俺があまり家にも帰っていなかったから、彼女との関係が上手くいかなくなっていたんだ。それから、彼女が俺の友達と浮気していたことを知った。俺の友達が書いた詩集を通じてね(笑)。彼は、彼女について詩を書いていたんだけど、それを読んだ時に『これ、どう考えても俺の彼女のことじゃん』って思ったんだ。それで彼女のところに戻って、『お前、あいつと浮気してるのか?』って聞いたら、彼女は『うん、だってあなたは全然そばにいなかったし。あなたを傷つけたくなかったけど、私は誰かに気にかけてもらいたかったの。私達は友達でもあるし、あなたのことは愛してるけど、ずっとそばにいなかったでしょ?』って言われたんだ。アトランタ(Dallas Austinの地元)では、夜11時を過ぎてから女の子に会いに行くことを『The Late Night Creep』って呼んでいたんだ。この経験を元に、彼女が話してくれたことをそのまま曲にしたのが"Creep"なんだよ」

そして、Dallas Austinと同じような経験をしていたのが、TLCのメンバーT-Bozで、彼女も当時の彼に浮気されていたことから、Dallas Austinは彼女がこの曲を歌うのに最も相応しいと考え、"Creep"のリード・ボーカルを任せることに。
ちなみに、当時のT-Bozの彼氏は、"Creep"が自分のことについて書かれた曲だと知らないようで、「Billboard」のインタビューにてT-Bozは次のようにコメント。
「今度彼に会ったらこう言ってやるわ。『この曲、あんたのことよ』ってね(笑)。誰だって、相手が自分にちゃんと向き合ってくれない時、他の誰かが優しくしてくれたり、自分が求めることをしてくれたら、そっちに惹かれてしまうものよ。そこがこの曲のインスピレーションになってるの」
Dallas Austinは、"Creep"を制作していた時期にTLCのメンバーChilliと交際していた為、2人の関係性を露呈したように思われたものの、"Creep"で書かれた内容は、彼がChilliと付き合う前の過去の恋愛に関するものである為、2人の関係が曲に影響を与えたわけではないとのこと。
Creep
TLC
iTunes: https://apple.co/2UyyG1K
"Creep"をサンプリングするアーティスト達
この「浮気をやったらやり返す」という曲の内容が波紋を呼んだものの、TLCはデビュー曲"Ain't 2 Proud 2 Beg"で既に過激な演出を行なっていた為、Chilliはこの曲に対して「"Creep"のような曲を歌うことは、私達にとって驚きではなかった」とコメント。
しかし、この内容に誰よりも反対していたのが、他でもないTLCのメンバーLeft Eyeで、彼女は「VH1」のインタビューにて次のようにコメント。
「私は"Creep"に対して100%反対だった。彼氏を裏切ることには賛成できなかった。私にとっては、忠実でいることが最も大事なの。だから"Creep"のリリースに反対したわ。私が彼氏の浮気を見つけたら、浮気して仕返しする代わりに、ただ『別れよう』って言えば良いって思っていたから」
Left Eyeが"Creep"を反対していた背景には、彼女の当時の恋人Andre Risonが誤解することを心配していたという理由があり、「この曲をリリースするなら、MVでは黒いテープを口に着用する」と脅迫したとのこと。
結果的には、「もし誰かが浮気をやり返して、それで自分の気分が良くなるなら、それはそれでいいと思う。でも私はそういう人間じゃない」と前置きしながら、Left Eyeは"Creep"のコンセプトを認め、その後「浮気の結果」についてラップをすることに。
当初、Left Eyeは自身のラップ・パートをオリジナル・バージョンに加えようとしたものの、Dallas AustinとT-Bozが許可しなかったため、"Creep (DARP Mix)"に追加されることに。
Creep (DARP Mix)
TLC
iTunes: https://apple.co/3QzBrtr
Left Eyeの反対があったものの、TLCは"Creep"でキャリアで初となる全米シングル・チャート1位を達成し、'95年のビルボード年間シングル・チャートでも3位にランクイン、そして第38回グラミー賞にて「Best R&B Performance By A Duo Or Group With Vocal」を受賞するなど、正に時代を創った歴史的1曲に。
Billboard Year-End Hot 100 singles of 1995
1. Gangsta's Paradise - Coolio feat L.V.
2. Waterfalls - TLC
3. Creep - TLC
4. Kiss from a Rose - Seal
5. On Bended Knee - Boyz II Men
6. Another Night - Real McCoy
7. Fantasy - Mariah Carey
8. Take a Bow - Madonna
9. Don't Take It Personal (Just One of Dem Days) - Monica
10. This Is How We Do It - Montell Jordan
リリースから30年以上経った今なお、世界中のファンに愛され続けるR&Bクラシックで、TLCに影響を受けたアーティスト達が、この曲にオマージュを捧げた楽曲を次々と発表しています。
Zendaya
Something New feat. Chris Brown
iTunes: https://apple.co/3A2Eykk
Terrell Grice
Creep feat. Inayah
iTunes: https://apple.co/3hdvCzV
Yuna
Creep
iTunes: https://apple.co/3gWNWhC
Jerry White
Creep (Remix) feat. Tigo B
iTunes: https://apple.co/3ESkB6x
Kamaiyah
Leave Em
iTunes: https://apple.co/35SeLxe
US
No More feat. Ocean Waynos (Whodini Remix)
iTunes: https://apple.co/3Wyo3rT
Hi-Tone
All Down feat. Tory Lanez
iTunes: https://apple.co/4boWqJe