Blackstreetを迎えた'90年代ヒップホップの名曲
全米アルバム・チャート最高7位を記録したFoxy Brownのデビュー作『Ill Na Na』からシングルカットされた"Get Me Home"は、'80年代R&Bの名曲Eugene Wilde"Gotta Get You Home Tonight"をサンプリングし、更にTeddy Riley率いるR&BグループBlackstreetがボーカルで参加したことから、多くのR&Bファンにも愛された'90年代ヒップホップの名曲。
この曲をプロデュースしたのは、Soul For Real"Candy Rain"、LL Cool J"Hey Lover feat. Boyz Ⅱ Men"などを筆頭に、数々の名曲を手がけてきた'90年代のヒットメイカーTrackmastersで、Teddy Rileyはミックスを担当。
Blackstreetのライブのオープニング・ソングにも起用される事が多く、またBlackstreetのベスト・アルバムにも収録されるなど、Teddy Riley自身も「お気に入りの1曲」と自賛した曲ながら、実はTeddy Rileyがこの曲の報酬として受け取った額は、わずか1ドルだったとのこと。
Get Me Home feat. Blackstreet
Foxy Brown
iTunes: https://apple.co/3UPE3pP
Wreckx-N-Effect vs A Tribe Called Quest
Teddy Rileyに対し、"Get Me Home"の制作費として1ドルしか支払われなかった理由は、Wreckx-N-EffectとA Tribe Called Questによる衝突がその根源。
彼らの間に起きたトラブルは、A Tribe Called Questが'91年にリリースしたシングル"Jazz (We've Got)"の歌詞にて、「Strictly hardcore tracks, Not a new jack swing」と、ニュー・ジャック・スウィングを売りにしていたWreckx-N-Effectを批判するような表現が含まれていた事がきっかけ。
この歌詞に腹を立てたWreckx-N-Effectのメンバーが、A Tribe Called QuestのQ-Tipに暴行を加えたとされ、"Hot Sex"のMVでQ-Tipがマスクを被っているのは、「Wreckx-N-Effectのメンバーから受けた怪我を隠す為だったのでは?」という噂。
Wreckx-N-Effectといえば、Teddy Rileyのサポートを受けて活動していたグループとして知られ、一方のA Tribe Called Questは、"Jazz (We've Got)"を収録したアルバム『The Low End Theory』から、Russell Simmonsが運営するマネージメント会社「Rush Artist Management」と契約。
Russell Simmonsといえば、ヒップホップ界の名門レーベル[Def Jam]の創始者として知られ、そしてFoxy Brownの"Get Me Home"はRussell Simmonsの[Def Jam]からのリリース。
Teddy RileyとRussell Simmonsは、「Wreckx-N-Effect vs A Tribe Called Quest」という形で、間接的ながら溝が生じていたとのことで、Teddy Rileyとしては過去の緊張関係を終わらせ、目先の利益よりも和解を優先させることを望んでいた為に、Teddy Riley本人の意向として、1ドルだけを請求したとのこと。