Mary J. Bligeの「Real Love」制作時に、Cory RooneyとPuffyが激突。「お前狂ってるのか?変えるな」


Mary J. Bligeに会う2年前に書かれていたという「Real Love」
ヒップホップの重厚なビートの上に、R&Bのボーカルを加えた、'90年代を象徴するR&Bのサブジャンル「ヒップホップ・ソウル」
このサウンドを一気にメインストリームに押し上げたのが、「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」の称号を与えられたMary J. Blige(メアリー・J. ブライジ)で、彼女の代表曲「Real Love」こそ「ヒップホップ・ソウルの原点」とも言える歴史的な一曲。
この曲をプロデュースしたのが、Prince Markie Dee名義でラッパーとして活動していたMark Morales(マーク・モラレス)と、後にJennifer Lopezの「All I Have feat. LL Cool J」「Love Don't Cost a Thing」などを手がけるCory Rooney(コリー・ルーニー)の2人。
実はこの「Real Love」、彼らがMaryに会う2年前に書いた曲だったと、Coryが「Ebony」のインタビューにてコメント。
「当時、俺とMarkはFather MCの制作をしていて、他にも[Uptown Records]の仕事をいくつか請け負っていたんだ。あの頃は[Uptown Records]がみんなのたまり場になっていて、朝起きたら『よし、[Uptown]行こう』っていう感じだったよ。ある日、[Uptown Records]のA&RだったKurt Woodleyから、Jeff Reddを介してMary J. Bligeを紹介された。彼らは俺達の助けが必要だと言ってきて、Maryを俺達の家に連れてきたんだけど、俺達は既にいくつかの曲を書いていたんだ。その中の1つが'Real Love'で、この曲は彼女に会う2年前に書いた曲だよ。これが全ての始まりさ」
Mary J. Blige - Real Love
「お前狂ってるのか?変えるな」
「Real Love」がヒップホップ・ソウルと呼ばれた所以の1つは、この曲が'80年代に活躍したヒップホップ・ユニットAudio Twoの「Top Billin'」のビートをサンプリングしたことにあり、これはプロデューサーのCory RooneyとMark Moralesのアイデア。
しかし、当のCoryとしては、あくまで試験的に「Top Billin'」をサンプリングしたに過ぎなかったという。
そのことから、「'Real Love'を正式にリリースするならビートを作り替えたい」と考えていたものの、これに真っ向から反対したのが、Mary J. Bligeの総合プロデュースを行なっていたSean "Puffy" Combs(ショーン・"パフィ"・コムズ)。
「俺はPuffyに、サンプリングを取り除いて、ビートを作り直したいと伝えたんだ。そしたら彼は『ダメだ、ダメだ、ダメだ!』と言ってきた。俺は自分でドラムを作れるのに、自分の出版権をAudio Twoに渡すつもりはないと伝えたら、『それがこのレコードを素晴らしいものにするんだ。これがヒップホップにするんだ。お前狂ってるのか?変えるな』と言われたんだ。もちろん俺はこの場で引き下がるつもりは無かったけど、俺のパートナーであるMarkはPuffy側についてしまった。だから俺はスタジオを出て、『あの馬鹿げた曲に俺の名前を付けるな』と言った。でも、彼らが俺に注意を払わなかったことに感謝しているよ(笑)。
Audio Two - Top Billin
Markはヒップホップ・ユニットThe Fat Boysのメンバーで、R&Bの歌詞を書いたことが無いラッパーだった。彼は部屋の反対側に座り、メモとペンを持って歌詞を書き始め、突然俺のもとにやってきて『笑わないでくれ』と言ってきた。Markは俺が作業していた楽曲に歌詞を書いており、俺は笑うつもりは無いと伝えたら、彼は'Real Love'の最初の4行を歌い始めたんだ。それはほとんどラップのようだったけど、俺は『最高だ』と言った。その後にメロディをつけてブリッジを追加し、この作業はとても速くまとまったよ」

結果的にPuffyの狙いは的中し、「Real Love」は全米シングル・チャート最高7位を記録し、'92年のビルボード年間シングル・チャートでも85位にランクイン。
また、「Rolling Stone」が選ぶ「歴代最高の500曲」の第372位に選出されるなど、'90年代R&Bを象徴する名曲として高く評価されることに。
Billboard Year-End Hot 100 singles of 1992
1. End of the Road - Boyz Ⅱ Men
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81. Take This Heart - Richard Marx
82. When I Look Into Your Eyes - FireHouse
83. I Wanna Love You - Jade
84. Uhh Ahh - Boyz II Men
85. Real Love - Mary J. Blige
86. Justified and Ancient - The KLF
87. Slow Motion - Color Me Badd
88. What About Your Friends - TLC
89. Thinkin' Back - Color Me Badd
90. Would I Lie to You? - Charles & Eddie
そしてCoryは、「Real Love」をレコーディングした時の様子を次のように回想。
「Maryはストリート出身の女性であり、ストリートの女性たちが抱える痛みを歌う存在だった。当時の彼女は、業界の多くの人間に利用されていた。だから'Real Love'のような曲が彼女の状況を表現してたんだ。 ある日、彼女は目に涙を浮かべて『一度だけでもいいから本物の愛を手に入れたい』と言ってきた。あの時の彼女は非常に感情的で、レコーディングの途中にボーカル・ブースから何も聴こえなくなることもあり、彼女がその場からいなくなったのでは無いかと思うほどだった。それだけ彼女の感情があらゆる制御を奪ってしまったんだけど、このレコードが彼女にとって本物の人生のレコードになり始めたと思う」
ちなみに、後に発表されたリミックス・バージョンには、デビュー前のThe Notorious B.I.G.が参加しており(この時の名義はBig E. Smalls)、このリミックスが彼の知名度を押し上げるきっかけに。





































