当初はヴァネッサ用だったブランディのデビュー曲"I Wanna Be Down"。「世間が知らない無名の少女に、この曲を歌わせるつもりは全くなかった」
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- 2 日前
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Vanessa Williamsに歌わせようとした"I Wanna Be Down"
唯一無二の可憐な歌声と類稀なR&Bセンスを武器に、'90年代にデビューした女性R&Bアーティストの中で、最も大きな成功を掴んだシンガーソングライターBrandy。
"Baby"、"Sittin' Up in My Room"、"Have You Ever"、そしてMonicaとの共演曲"The Boy Is Mine"など、R&B史に残る数々の名曲を残してきた彼女の、原点にして代表作の一つと呼べるのが、デビュー・シングルの"I Wanna Be Down"。
'94年にリリースされた"I Wanna Be Down"は、Mary J. Blige登場以降ヒップホップ・ソウルのテイストを取り入れた楽曲で、Keith CrouchとKipper Jonesが制作を担当。
全米シングル・チャートは最高6位、そして全米R&Bシングル・チャートは1位を記録し、この1曲で世界がBrandyの名を知ることに。
Brandy - I Wanna Be Down
Brandyが15歳の時にリリースされた"I Wanna Be Down"のミュージック・ビデオには、彼女の友人達がダンスを披露し、また弟のRay Jもビデオに出演。
そんな衝撃のデビュー曲"I Wanna Be Down"を手がけたKipper Jonesが語った内容によると、この曲は当初Vanessa Williamsに提供しようと考えており、Brandyに歌わせるつもりはなかったという。
「世間が知らない無名の少女に、この曲を歌わせるつもりは全くなかった」

「彼女いくつ?14歳?そんな年齢で、あんな歌い方ができるはずがないだろ」
ファンク・バンドTeaseのリード・ボーカルとして知られるKipper Jonesは、Vanessa Williamsの"The Right Stuff"や"The Comfort Zone"を手がけた実力派シンガーソングライター。
'90年にはソロ・アルバム『Ordinary Story』も発表。
Kipper Jones - Ordinary Story
Kipperは、"I Wanna Be Down"を制作していた時の様子を、「The Reckoning」の記事で次のように回想。
「ある日、Keithの家に行ったらこのトラックが流れていてね。『何だこれは?』って聞いたら、彼はただ『作業中の曲だよ』って言ったんだ。それで『もう曲は書いたのか?』と聞いたら、『まだだけど、やる?』って言われたから、『もちろん』って答えたんだ。車に戻ってノートを取ってきて、また部屋に入った。俺とKeith、彼の弟のKenneth Crouch、それにRahsaan Patterson、そして女性の友人たちが何人かいて、部屋には4〜5人くらいいたと思う。Hennessyのボトルを一本持っていて、そのとき、ふっとサビのフレーズが頭に浮かんだんだ。『このヴァースのアイデアを、ちょっとだけ先に入れさせてくれ』ってKeithに伝えて、彼はOKしてくれたから、実際に録ってみた。そしてサビが流れた瞬間、Keithはレコーダーを止めた。その場にいた全員が、ただ立ち尽くしていた。『おい、ちょっと待て。今、何かとんでもないものを作ったんじゃないか?』っていう感じだったよ」
当時、Keith CrouchはBrandyのアルバム制作に関わっており、この楽曲は彼女にこそふさわしいと確信していたという。
一方、"I Wanna Be Down"を書き上げた直後、Kipperは「それまでに経験したことのない特別な感覚を覚えた」と語っており、そのあまりの手応えゆえに、「自分がこれまで一度も耳にしたことのない無名のシンガーが、この曲を本当に歌いこなせるのか」と疑念を抱き、Brandyに渡すことをためらっていたとのこと。
「正直、かなり調子に乗っていた」と当時を振り返ったほど、Kipperは自身の感覚に絶対の自信を持っていたものの、Keithの力強い説得により、ひとまずBrandyにデモを歌わせることで折り合いをつけることに。
しかし、後にBrandyのデビュー・シングルとなる、この曲に乗せられた彼女の歌声を聴いた瞬間、Kipperの考えは一変したという。
「あの子に完全にやられた。『何だって?彼女、いくつ?14歳?そんな年齢で、あんな歌い方ができるはずがないだろ』って思ったよ」

ちなみに、Brandy自身は"I Wanna Be Down"でデビューすることをためらっていたと、後に「Complex」のインタビューで次のようにコメント。
「この曲は好きだったけど、私を知ってもらうための最初の曲は、この曲じゃないと思った」

Brandyは、弟Ray Jに捧げたという"Best Friend"をファースト・シングルにしたかったようで、しかし結果的に"I Wanna Be Down"がヒットしたことにより、彼女自身の考え方にも変化が生じ、当時の状況を「私は若かったから、ラジオのことなどよく分かっていなかった」とコメント。
Brandy - Best Friend
また、この曲は女性ラッパーQueen Latifah, MC Lyte, Yo-Yoらを迎えたリミックス・バージョンのミュージック・ビデオも制作され、彼女達の大ファンだったというBrandyは、彼女達にサインを求めたり一緒に写真を撮ってもらったりと、常に落ち着きがない状態だったとのこと。
当時の様子を、Brandyは「Vibe」のインタビューにて次のように回想。
「"I Wanna Be Down"のリミックスは、私にとってかけがえのないものよ。当時の私はまだデビューしたばかりの新人だったのに、スーパースターである彼女達が私の最初のシングルに参加してくれるなんて!彼女達は私のメンターであり、尊敬していたの。私はQueen Latifahの大ファンだったから、『なんてこと…こんなことが私に起こるなんて信じられない』と思っていたわ。彼女達全員と一緒に過ごす機会を与えてもらい、みんな私を妹のように受け入れてくれたの」







































