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「彼は私のもの」から「この曲は私のもの」へと変貌した確執ソング"The Boy Is Mine"。

  • 執筆者の写真: R&B SOURCE
    R&B SOURCE
  • 2月11日
  • 読了時間: 9分

「彼は私のもの」から「この曲は私のもの」へと変貌したBrandyとMonicaの確執ソング"The Boy Is Mine"。

人気絶頂の2人が共演した歴史的名曲


年齢もデビュー時期も、ほぼ同じだったBrandyとMonica。


当時まだ10代後半ながら、すでにR&Bスターとして爆発的なセールスを記録し、人気絶頂だった両者が、突如'98年リリースのシングル"The Boys Is Mine"で共演し、シーンに大きな衝撃を与えることに。


この曲は'98年のビルボード年間シングル・チャートで2位にランクイン、また第41回グラミー賞「Best R&B Performance By A Duo Or Group With Vocal」を受賞するなど、正に時代を創った歴史的R&Bクラシック。


Billboard Year-End Hot 100 singles of 1998

1. Too Close - Next

2. The Boy Is Mine - Brandy & Monica

3. You're Still the One - Shania Twain

4. Truly Madly Deeply - Savage Garden

5. How Do I Live - LeAnn Rimes


1人の男性を巡って「彼は私のもの(The Boy Is Mine)」と、2人の女性がお互いの主張をぶつけ合うという三角関係ソングで、「8 Mile」や「Honey」などの映画に出演する俳優Mekhi Phifeが、MVで男性役を担当。


「いい加減あきらめてよ、もう充分でしょ。


簡単な話よ、彼は私のものだから。


混乱しているみたいで申し訳ないんだけど、彼は私のものなの」

Mekhi Phife Monica
Mekhi Phife Monica

当時、トップ・プロデューサーの仲間入りを果たしたRodney Jerkinsに、Monicaのデビューを支えたDallas Austin、そしてBrandyの3人がプロデュースを担当。


さらに、Rodneyの兄弟でもあるFred Jerkins IIIと、Rodneyの右腕として活躍したLaShawn Danielsがソングライティングを担当。


Brandy, Monica - The Boy Is Mine

実はこの曲、当初はBrandyのソロ曲としてレコーディングされていたものの、Rodneyが「デュエット曲にしては?」というアイデアを提案したことで、デュエット・ソングへと変更されることに。


そのインスパイア源とされているのが、Michael Jacksonのアルバム『Thriller』に収録されたPaul McCartneyとのデュエット曲"The Girl Is Mine"で、こちらもタイトル名通り、2人の男性がお互いの主張をぶつけ合う三角関係ソング。


「僕は彼よりも君のことを愛しているんだ。


僕は君のことを永遠に愛しているよ。


だから、彼女は僕のものなんだ」


Michael Jackson - The Girl Is Mine with Paul McCartney



"The Boy Is Mine"から"The Song Is Mine"へ


Michael Jacksonの"The Girls is Mine"から構想を得て、制作の途中でデュエット・ソングへと変更された"The Boy Is Mine"。


この曲のデュエット役にMonicaを指名したのはBrandy本人で、レコーディングをするまで両者は面識がなかったという。


この時点で両者の不仲説が噂されていたものの、当時のインタビューでBrandyは次のようにコメント。

「私達は友達で仲が良い。誰が何と言おうと、私達はずっと仲良くいるつもり」
Brandy Monica
Brandy Monica

若くして絶大な人気を誇っていた二人のスターが共演した“The Boy Is Mine”は、予想通りの大ヒットを記録したものの、その制作過程は決して順風満帆とは言えず、両者の共同によるレコーディングがうまくいかなかったことから、最終的にMonicaは育ての親でもあるDallas Austinのスタジオ[DARP Studios]で別録りを行い、両者は一緒にレコーディングを行わなかったという。


Brandyは当時、不仲説を否定していたものの、“The Boy Is Mine”のリリース前から、両者の関係には不穏な空気が漂っていたのは事実と言えそう。


確執の原因については様々な憶測が飛び交っており、後にプロデューサーのRodney Jerkinsも制作中、二人の関係はうまくいっていなかったとコメント。


さらに、ミックスを担当したDexter Simmonsは、どちらかに偏りが出ないよう、7回もミックスをやり直したという。


こうして完成した“The Boy Is Mine”は、BrandyとMonicaそれぞれのアルバムに収録。


しかし、このアルバム・リリースを境に、両者の確執は決定的なものとなっていくことに。


シングル“The Boy Is Mine”は1998年5月にリリースされ、約1か月後の6月9日にはBrandyがアルバム『Never Say Never』を発表。


さらにその約1か月後、7月14日にMonicaもアルバムをリリース。


そして、そのアルバムのタイトルが『The Boy Is Mine』だったことが、Brandyの怒りに火をつけてしまうことに。


Brandy - Never Say Never


Monica - The Boy Is Mine

Brandyの言い分によれば、“The Boy Is Mine”はもともと自分のソロ曲として制作されたものであり、後から曲の一部としてMonicaを招いたという経緯があったため、Monicaのアルバムが同名タイトルでリリースされたことに、強い憤りを感じていたという。


その感情を象徴する出来事として、Brandyは当時絶大な人気を誇っていた米NBCの深夜トーク番組「The Tonight Show with Jay Leno」に出演した際、デュエット曲であるはずの“The Boy Is Mine”をソロで披露。


さらにプロデューサーのDallasによれば、'98年の「MTV Video Music Awards」での共演パフォーマンスを前に、MonicaがBrandyの顔面を殴ったという話も。


「彼は私のもの」という内容を歌った“The Boy Is Mine”は、いつの間にか二人の間で「The Song Is Mine(この曲は私のもの)」へと変貌してしまうことに。


ちなみに、Monicaのアルバム・タイトル『The Boy Is Mine』は、当時彼女が所属していた[Arista Records]のトップであるClive Davisのアイデアだったと、Dallasは後に言及しており、またBrandy自身も、ソロ・バージョンでの“The Boy Is Mine”リリースを[Atlantic Records]に直訴したものの、契約上の理由から却下されたという。



"It All Belongs To Me"で再び共演した二人


後にMonicaは、ラジオ局「WZMX」のインタビューにて、私達は若かった。それは決して嫉妬や恨みなどではなかったけど、同じ部屋にいることさえできなかったと、当時の状況を回想。


不仲になった決定的な理由こそ定かではないものの、"The Boy Is Mine"がきっかけで激しいビーフを繰り広げたBrandyとMonica。


しかし、"The Boy Is Mine"のリリースから約14年が経過した2012年に、シングル"It All Belongs To Me"で両者は再び共演することに。


Monica, Brandy - It All Belongs To Me

Usher"There Goes My Baby"、Nelly"Just a Dream"などを手掛けたRico Loveがプロデュースしたこの曲は、当初R. Kellyのアルバム『Write Me Back』に収録される予定だったという。


しかし、MonicaがR. Kelly本人に直談判し、譲り受ける形で実現した楽曲とのこと。


もともとはMonicaのソロ曲としてリリースされる予定だったものの、彼女自身のアイデアによってデュエット・ソングへと方向転換。


そのデュエット相手として白羽の矢が立ったのが、かつて犬猿の仲とまで言われたBrandy。


「あなたを愛することは難しい。自分自身を傷つけている気がするわ。あなたが怒っていることは知っているけど、私はもう我慢できないの。でもそれらを返して、あなたの物じゃないの。あの洋服も、あの車も、あの指輪も、全部私の物よ」と、虐待的なボーイフレンドとの関係を断ち切って、自分の人生を取り戻す女性たちの姿を描いたエンパワーメント・ソングであり、"The Boy Is Mine"の続編として制作された楽曲。


制作当時の様子を、Ricoは「Rap-Up」のインタビューにて次のようにコメント。

「デュエットはMonicaのアイデアで、この曲を聴いて興奮した彼女は『この曲が次のデュエット・ソングになるべきだと本当に思うわ』っていう感じだったよ。だから"The Boy Is Mine" が終わったところから始まるストーリーを作りたかったんだ。成長と成熟を示し、二人にとってリアルで真実なものにすることを望んだ。それは素晴らしいエネルギーで、素晴らしい雰囲気だったし、彼女達は前向きで楽しかった。セッション中に彼女達から沢山のことを学んだよ」
Rico Love
Rico Love

全米シングル・チャートではトップ100入りを逃したものの、全米R&Bシングル・チャートでは最高23位を記録。


この曲の制作をきっかけに、両者の過去の蟠りも解けたかに思いきや、2017年、故Whitney Houstonの誕生日に、MonicaがInstagram上で次のような内容を投稿。

「天国でお誕生日おめでとう。あなたはまだ多くの人をインスパイアし、毎日心に触れています。あなたは永遠に最高でしょう。あなたは永遠に惜しまれる存在です」(Monica)

その数時間後、BrandyがWhitneyとのコラージュ写真を載せて次のように投稿。

「あなたは私の中に生き続けています。あなたの精神を私の中で感じ、至るところであなたを感じます。私の天使、私の友達、私を助けてくれる親切なおばさま。私は永遠にあなたを愛します。私はあなたとのすべての瞬間を覚えています。そしてこれらの奇跡のような瞬間を永遠に大切にします」(Brandy)

この両者の投稿を見たMonicaのファン達が、Brandyの投稿に対して「自己陶酔的」と揶揄。


これにBrandyも反応し、Monicaは彼女の悪質なファンを見直すべきとInstagramでコメントし、両者の関係は、再び緊張状態へと逆戻りしてしまうことに。


その余波とも言える出来事が、2018年の「Essence Fest」でのBrandyのパフォーマンス。


"The Boy Is Mine"のパフォーマンス終盤、彼女は歌詞を「The Song Is Mine」と変え、Monicaに対して挑発的なメッセージを投げかけて話題に。

"The Boy Is Mine"のリリースから20年以上経過しても、両者の深い溝が埋まらない状況が続いた中、Instagramの無料生配信企画「Verzuz」で、二人は2020年に遂に直接対決(「Verzuz」は、2人のアーティストがお互いの曲をかけ合ってバトルするInstagramの人気企画)。


Snoop Dogg(Brandyの従兄妹)、Lizzo、Queen Latifah、元大統領夫人のMichelle Obamaらも視聴し、最高視聴者数が120万人を突破した2人のバトルは大きな話題を集めた一方、2人の口から過去の確執の詳細が語られることはなく、Monicaは実際のところ、私達には意見の不一致があったとコメント。


一方のBrandyもとても楽しんでいるよ。Verzuzのパート2をやらない?と発言し、最後に"The Boy Is Mine"を歌った2人は、肩を組みながら仲良く退席してバトルは終了。


この曲を巡り、BrandyとMonicaの衝突が絶えることは無かったものの、"The Boy Is Mine"は両者にとって初めて全米シングル・チャートを制した楽曲であり、また両者にとって唯一グラミーを受賞した楽曲。



Ariana Grandeの"The Boy Is Mine"で共演


"The Boy Is Mine"のリリースから26年が経過した2024年、Ariana Grandeがシングル"the boy is mine"をリリース。


この曲はBrandyとMonicaの楽曲を直接サンプリングしたものではないものの、Ariana自身が彼女たちの楽曲からインスピレーションを得たと公言しており、さらにリミックスにはBrandyとMonicaの二人がフィーチャリングで参加。


このArianaの曲に対して、Monicaは「People」のインタビューにて次のようにコメント。

「Brandyと私が再びつながることができただけでなく、革新的な"The Boy Is Mine"のバージョンで、これほど特別な形で再共演できたことは、本当に祝福以外の何ものでもないわ。私たちは何年もの間会っていなかったので、この機会は、あの曲についてだけでなく、人生全体について語り合うチャンスにもなったの。Arianaは、Brandyと私が作った形そのままにリメイクしようとしなかったことが、私はとても好きだった。彼女自身のものとして新しい作品を生み出しつつ、あの楽曲のノスタルジックな瞬間をうまく取り入れてくれた。それが、私にとって参加を即決できた理由よ」

一方のBrandyも次のようにコメント。

「この曲は、私たちの人生とキャリアにおけるあの時代へと連れ戻してくれたわ。本当に変革的で、爆発的な時期だったあの時にね。Arianaは本当に優しくて才能あふれる人。彼女のように、あれほどの優雅さと感謝の気持ちを持って自分の仕事を成し遂げられる人は他にいないわ」

Ariana Grande, Brandy, Monica - the boy is mine (Remix)




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