全米チャートを制したSWVの"Weak"は、シャンテ・ムーアに向けたラブ・ソングだった。
- R&B SOURCE

- 3月19日
- 読了時間: 6分

全米チャートを制したSWVの最高傑作
SWVは、デビューした'90年代に14曲のシングルをリリースし、その中で唯一全米シングル・チャート1位を達成した曲が"Weak"。
「Weak」は「弱い、劣った」という意味で使われる単語で、「あなたからの愛が私を弱くする」という内容を歌ったラブ・ソング。
「足が震えて、声も出せない。
コントロールを失って、何かに支配されているわ。
ボーッとしているけど、あなたが輝いて見える。
あなたの愛は最高に甘くて、立っていられないくらい。
あなたの愛を説明できない、私を弱くするの」
実はこの曲、プロデューサーのBrian Alexander Morganが、Chante Mooreに向けて書いたラブ・ソングだったという。
SWV - Weak
Chante Mooreが好きだったというBrian Alexander Morgan
Brian Alexander Morganは、"Weak"の他にも、"Right Here"、"Anything"などを手がけ、SWVのデビュー・アルバム『It's About Time』のメイン・プロデュースを担当した人物。
彼はプロデューサーとしてキャリアを築く以前、[Warner Music]から'88年にデビューしたR&BデュオCachet De Voisのメンバーとして活動。
Cachet De Vois - If Only
このデュオをサポートしていたのが、グラミー賞ノミネート・プロデューサーのJay King('86年に全米R&Bシングル・チャート1位を達成したTimex Social Clubの"Rumors"を手がけた人物)。

しかし、Cachet De Voisのデビュー・アルバム『Personal』は商業的に振るわず、その結果、彼らは[Warner Music]から早々に契約を打ち切られ、デュオも解散。
Brianはこの時期を「全てが最悪だった」と振り返っており、しかしこの時に師であるJay Kingが新しいアーティストと契約し、それがChante Mooreだったいう。
そしてBrianは、彼女に恋心を抱くことに。
この時の気持ちを綴った楽曲こそ、後にSWVが歌うことになる"Weak"で、Brianは「Complex」のインタビューにて当時の様子を次のようにコメント。
「Chanteと俺は友達になって親しくはなったけど、タイミングが悪かった。なぜなら、Jay Kingが彼女と会っていたから、俺はその間に立ちたくなかったんだ。彼女は俺がどれだけ彼女に夢中だったかを知らなかったと思う。俺はフラストレーションが溜まっていたから、"Weak"というプライベートな曲を書いたんだ」

SWVに"Weak"を歌わせる予定は無かった
アーティストとして成功する為に地元を離れて[Warner Music]と契約するも、あっさりと解雇されてしまったBrian Alexander Morganは、当時ローカル・アーティスト達のレコーディングをしながら生計を立てていたという。
そんな状況を打破する為、彼はメジャー・アーティストへ楽曲を提供する必要があると感じ、Chante Mooreへの気持ちを綴った"Weak"をCharlie Wilsonに歌わせようと計画。
当時の心境を、Brianは「YouKnowIGotSoul.com」のインタビューにて次のようにコメント。
「Chante Mooreのエネルギーを取り入れるつもりで、この曲をCharlie Wilsonに捧げたかった。当時、The Gap Bandが"Wednesday Lover"という曲をリリースして、俺は今でもこの曲が大好きなんだけど、少なくとも彼らの曲と同じくらい良いものでないといけないと思った」
The Gap Band - Wednesday Lover
結果的にCharlieは"Weak"を歌わなかったことから、Brianは自身のソロ・プロジェクト用に残すつもりだったという。
そのため、SWVに"Weak"を提供する考えは当初なかったとのこと。
そして"Weak"がSWVの手に渡ることになる経緯を、Brianは「SoulCulture」のインタビューにて次のように当時を回想。
「"88年にJay Kingのスタジオでデモを録音していた時、Jeff Bowensという男が、デモを制作していたオフィスの清掃員だったんだ。どういうわけか、Jeffは俺が作った"Weak"と"Right Here"のデモ録音を手に入れて、その後彼は[RCA Records]のA&Rになった」
そしてJeff Bowensが、[RCA Records]のオフィスでたまたま"Weak"のデモ音源を流していたところ、偶然その場を通りかかったKenny Ortizがそれを耳にすることに。
KennyはSWVを発掘した人物で、Jeffが「この曲はBrian Alexander Morganというプロデューサーが作った曲だ」と告げると、Kennyは「彼とは既にMartha Washで一緒に仕事をしている!」と反応したという。

KennyはSWVを担当する前、C+C Music Factoryのボーカルを担当していたMartha WashのA&Rを務めており、そしてBrianがMarthaの楽曲をプロデュースしていたことから、二人は顔見知りだったとのこと。
当時の様子を、Brianは次のように当時を回想。
「Kennyは『おい、俺はこの曲が必要なんだ。これから契約させようとしている女の子のグループがいるんだけど、君の作詞スタイルは彼女たちにぴったりなんだ』って言ってきたんだ。でも俺は『いや、これは俺の曲だし、レコード契約を取りたいんだ』って答えたんだ。そしたらケニーは『なあ、俺は何でもするから、彼女たちのためにどうしてもこのレコードが必要なんだ。せめてデモ音源だけでも聴かせてくれないか?』って言ってきたから。それで俺は『彼女たちの歌がせめてどんな音か聴かせてくれよ』って伝えたんだよ。それで彼はデモ・テープを送ってくれたんだけど、Cokoの歌声を聴いた瞬間、「なんてことだ!」と思ったよ。まるでShirley Murdockを思い起こさせたんだ。僕は彼女のことが大好きだったからね。それで『Kennyの言う通りだ、このシンガーと仕事をするべきだ』と確信したよ。彼女はとてもソウルフルで、しかも軽々と歌っているように感じられた」

ちなみに、'90年に開催された[American Music Awards]にて、BrianはBobby Brownのキーボードとバック・ボーカルを務めており、この時のリハーサルでDerek Allen('90年代にBrandy、Tyreseらの楽曲を手掛けたプロデューサー)に"Weak"を聴かせようと流したところ、その場にいたBobbyが気に入ってしまい、Bobbyに"Weak"が渡される予定もあったという。
「"Weak"が嫌いだった」
"Weak"がリリースされた当時の様子を、Brian Alexander Morganは次のように回想。
「俺とSWVのメンバーたちは、どこへ行っても若い女の子たちが“Weak”を歌っているのに気づいたんだ。でも、その時点ではまだシングルとしてリリースされていなかったんだよ。アルバムはまだゴールドにも達していなかったし、売上もせいぜい20万枚程度だった。でも“Weak”が流れ始めると、若い女の子たちが一斉に歓声を上げて叫び出すんだ。『一体何が起きてるんだ?』って思ったよ。それで誰もが“Weak”が次のシングルになるって確信した。そして'93年の夏に向けて、“Weak”はアルバムからの次のシングルとしてリリースされた。その夏、“Weak”はサマー・アンセムとなり、俺にとって初の全米シングル・チャート1位を獲得した曲になったんだ」
しかし、この曲をSWVのメンバーCokoは嫌っていたといい、"Weak"について「KevOnStage」のインタビューにて彼女は次のようにコメント。
「"Weak"が嫌いだった。レコーディングも嫌だったし、悪い女の子を演じなきゃいけないのが嫌だった。10代だったし、理解出来なかったわ」

Cokoの「悪い子を演じなきゃいけなかった」という部分は、恐らくMusic Videoの演技のことを指しており、一方でBrianも、"Weak"をレコーディングしていた時のCokoの態度は酷かったと言及。
そんな紆余曲折を経て生まれた"Weak"は、SWVのデビュー・アルバム『It's About Time』からの3枚目のシングルとして'93年4月にリリースされ、'93年のビルボード年間シングル・チャートでも堂々の6位にランクイン。
Billboard Year-End Hot 100 singles of 1993
1. I Will Always Love You - Whitney Houston
2. Whoomp! (There It Is) - Tag Team
3. Can't Help Falling in Love - UB40
4. That's the Way Love Goes - Janet Jackson
5. Freak Me - Silk
6. Weak - SWV
7. If I Ever Fall in Love - Shai
8. Dreamlover - Mariah Carey
9. Rump Shaker - Wreckx-n-Effect
10. Informer - Snow





































