R&B SOURCE編集部
SWV▶︎▶︎雨の日の定番曲"Rain"は、元々ブランディの為に書かれた曲だった。
更新日:3月31日

雨の日の定番曲"Rain"
'70年代にデビューしたベーシストJaco Pastoriusの"Portrait of Tracy"をサンプリングした、切ないトラックが印象的な"Rain"。
「あなたの愛を私に浴びせて、雨のように」と歌うラブ・ソングで、'97年リリースのSWVのサード・アルバム『Release Some Tension』に収録され、全米シングル・チャート最高25位を記録。
「雨の日に聴きたい洋楽」の定番としてもお馴染みの"Rain"ですが、実はこの曲は元々Brandyの為に書かれた楽曲だったとのこと。
Rain
SWV
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Brian Alexander Morganが、Brandyの為に書いた"Rain"
"Rain"を手がけたのは、SWVのデビュー・アルバム『It's About Time』のメイン・プロデューサーを務め、セカンド・アルバム『New Beginning』でもInterludeを含む全5曲の制作を請け負ったBrian Alexander Morgan。
"Rain"を収録したアルバム『Release Some Tension』の制作が行われていた当時、Brian Alexander Morganは[Atlantic Records]と制作契約を結んでおり、まず最初に取り掛かろうとしていたのが、同レーベルの看板アーティストだったBrandyとの仕事だったそうで、この時Brandyに提供した楽曲が、"Rain"のデモ音源だったとのこと。
"Rain"のデモ音源は、米ニューヨークにある[Bad Boy Records]のスタジオ「Daddy's House Recording Studio」でBrandyがレコーディングをし、ボーカル・プロダクションはKelly Priceが担当。
恐らく、Brian Alexander MorganはBrandyが'98年に発表したセカンド・アルバム『Never Say Never』への収録を目指して"Rain"を制作していたと思われますが、突然SWVの所属レーベル[RCA]からBrian Alexander Morganへ電話があったとのこと。
「COMPLEX」の記事によると、SWVのA&Rから「Brian Alexander Morganのカットが無いと、SWVの本当のアルバムにならない。君から入手したこの曲("Rain")を聴いたんだが...」という話があったものの、次のよう答えたBrian Alexander Morgan。
「君達は、前回のアルバム(『New Beginning』)から俺の曲を1曲もシングル・リリースしなかった。何故、俺が何かを与えなくてはいけない?Brandyがこのレコードを満足しているから俺はハッピーだ」

全米シングル・チャート1位を記録した"Weak"を筆頭に、"Right Here"、"I'm So Into You"、"Anything"、"You're Always On My Mind"など、デビュー・アルバム『It's About Time』からのシングル曲の大半を手がけ、「SWV人気の火付け役」と言っても過言では無いBrian Alexander Morganの功績。
しかし、SWVのセカンド・アルバム『New Beginning』でBrian Alexander Morganが手がけた以下の5曲はシングルカットされず、[RCA]はSWV人気を作り上げたBrian Alexander Morganのプライドを傷付けてしまうことに。
・Whatcha Need
・Fine Time
・What's It Gonna Be
・That's What I'm Here For
・Soul Intact (Interlude)
そんなBrian Alexander Morganは、"Rain"をBrandyと一緒にやる意向を固めていたものの、[RCA]側からの猛烈な説得もあり、最終的に"Rain"はSWVの元へと渡されることになりました。
また、SWVのメンバーによると「Brandy自身が最終的に"Rain"を選ばなかった」という説も。
Brian Alexander MorganがSWVのサード・アルバム『Release Some Tension』で手がけた楽曲は、結果的にこの"Rain"1曲のみ。
加えて、"Rain"はSWVが'90年代にリリースした最後のシングルとなりました。
Release Some Tension
SWV
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"Rain"のMVに出演し、そして"Pullin' Me Back"でボーカルを担当したTyrese
最終的にBrandyではなくSWVが歌い大ヒットした"Rain"は、タイトル名や歌詞のイメージ通り「雨の場面」を描写したMVも印象的でしたが、このMVで多くの時間メンバー全員が座って佇んでいるのは、リードボーカルのCokoが、メンバーLeanne "Lelee" Lyonsの靴に躓いて骨折したから、という話も。
そして、この"Rain"のMVに役者として出演していたのが若かりし頃のTyreseで、"Rain"のリリースから約10年の月日が経過した2006年に、ラッパーChingyがシングル"Pullin' Me Back"でSWVの"Rain"をサンプリングし、この曲にTyreseはボーカリストとして参加。
"Rain"に何かと縁が深いTyreseでしたが、Chingy"Pullin' Me Back"は"Rain"の記録を上回る全米シングル・チャート最高9位を記録しました。
Pullin' Me Back feat. Tyrese
Chingy
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