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執筆者の写真R&B SOURCE編集部

Mary J. Blige▶︎▶︎名作『My Life』誕生の裏には、チャッキー・トンプソンが偶然送った"Be With You"の存在があった。


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「歴代最高のアルバム500選」に選ばれた『My Life』

デビュー・アルバムが大成功してしまったゆえに、初作以上の結果を求められることによって成績不振に陥ってしまう、スポーツ選手でいう「2年目のジンクス」ならぬ「2枚目のジンクス」


ヒップホップ・ソウルの申し子として鮮烈なデビューを飾ったMary J. Bligeも、セカンド・アルバム『My Life』を制作するにあたって多少なりともこの不安と戦っていたようですが、そんなジンクスをものともせず、デビュー・アルバム『What's The 411?』と同じく米国内のみで300万枚を超えるセールスを記録し、同アルバムは第38回グラミー賞「Best R&B Album」にノミネートされ、また「Rolling Stone」が2003年に発表した「歴代最高のアルバム500選」にて第126位に選ばれたMary J. Blige不動の名作。


My Life

Mary J. Blige

結果的には大ヒットした『My Life』でしたが、同アルバムの制作は順風満帆とはいかず、Mary J. Bligeはアルバム用に作られた何千という曲を聴いたけど全て気に入らなかったとのこと。


この窮地を救ったのが、プロデューサーChucky Thompsonが作ったある1曲でした。



全ての始まりとなった"Be With You"

Mary J. Bligeのセカンド・アルバム『My Life』のメイン・プロデュースを担当したChucky Thopmsonでしたが、当初はこのアルバムの内、1曲と間奏曲(インタールード)のみを制作する契約を結んでいたとのこと。


『My Life』の制作に着手していた当時、Mary J. Bligeは交際していたJodeciのK-Ciとの関係がぐらつき、生きるか死ぬかの決断をしなければいけないほどに人生を苦しんでいた時期。


精神的にどん底だったこともあり、Mary J. Bligeは何千と用意された楽曲を全て気に入らなかったという状況に陥った中、ある1曲に食いついたとのこと。


それが、Chucky Thompsonが作った"Be With You"のデモ音源だったそうです。


Be With You

Mary J. Blige

Sean CombsがMary J. Bligeの家に行き、興奮した様子でこの曲を聴いてほしいと言ってきたそうで、車の中で"Be With You"を聴いたというMary J. Blige。


この時の様子を、Amazon Prime Videoのドキュメンタリー「Mary J. Blige's My Life」にて私の感情を完璧に表現していたとMary J. Bligeは振り返っています。


その後Mary J. Bligeは直ぐに歌詞を書き始めたそうですが、"Be With You"を手掛けたChucky Thompsonは、この曲は元々Mary J. Bligeに送るつもりはなかったと「Rolling Stone」の記事に答えています。


ある特別な1曲が全ての始まりだった。


それが"Be With You"だ。


本当は地元ワシントンD.C.にいるグループの為に作った曲で、俺はこの曲を送るつもりすら無かった。


でもPuff(Sean Combs)に送られて、Maryがこの音源を聴いて気に入った。



彼女がこの曲をスタジオでレコーディングしている時、俺は彼女に会った。


彼女のエナジーが、みんなを引きつけるものだって分かったし、みんなが彼女の一部になりたがった。


俺は反対の事をして、彼女と距離を取って離れて立っていた。


そしたら彼女が俺のところに来て話しかけてくれた。


『この曲は私の最もお気に入りのレコードよ』って

この"Be With You"をMary J. Bligeが気に入ったという経緯があり、プロデューサーであるSean Combsは当初の予定を変更し、『My Life』のメイン・プロデューサーにChucky Thompsonを起用することに変更。



ちなみに、"Be With You"を制作している時に精神的に苦しんでいたのはMary J. Bligeだけではなく、プロデューサーのSean Combsも恋人と別れた直後で、悲しみのどん底にいた2人はスタジオで泣き会っていたそうですが、失恋の痛みを力に変えながらレコーディングに取り掛かったとのこと。


Chucky ThompsonとSean Combs指揮の元、Mary J. Blige自身も「このアルバムには'70年代の音楽対する思い出が詰まっている」と語っているように、デビュー・アルバム『What's the 411?』とは異なる'70年代ソウルを意識した方向性を打ち出し、Mary J. Bligeの新たな可能性を見出したアルバムとなりました。


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