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ブラックストリートのメンバー全員に嫌われた"No Diggity"は、元々ドクター・ドレーが2パック用に作った楽曲?

  • 執筆者の写真: R&B SOURCE
    R&B SOURCE
  • 2月13日
  • 読了時間: 8分

Blackstreetのメンバー全員に嫌われた"No Diggity"は、元々Dr. Dreが2Pac用に作った楽曲?

Teddy Riley以外の全メンバーが嫌っていた"No Diggity"


Teddy RileyとChauncey Hannibalによって結成されたBlackstreetは、数々の実力派ボーカリスト達を招き入れた、R&B史に残るオールスター・ユニット。


Michael Jacksonによって書かれた"Joy"、Myaと共演した"Take Me There feat. Mase, Blinky Blink"など、数々の名曲を残してきた残してきた彼らの楽曲の中で、最も大きなヒットを記録したのが、全米シングル・チャート1位を達成した"No Digitty feat. Dr. Dre, Queen Pen"。


Blackstreet - No Diggity feat. Dr. Dre, Queen Pen

「No Diggity」とは、「No Doubt (間違いない)」と同じような意味合いで使われるスラングで、歌詞は女性を口説きにかかるナンパがテーマ。


BlackstreetとDr. Dreという世紀のコラボレーションも功を奏し、ジャンルの垣根を超えて大ヒットした"No Diggity"だったものの、実はTeddy以外のBlackstreet全メンバーがこの曲を嫌っていたと、Teddyが「SoulCulture」のインタビューでコメント。

「メンバー全員が"No Diggity"を好きじゃなかった。みんなこの曲がヒットするか半信半疑だったから、俺がファースト・バースを歌った。結果的にヒットしたから、彼らは俺が言うことを信頼している。その後は、誰もがファースト・バースを歌いたがったよ」
Teddy Riley
Teddy Riley

ちなみに、"No Diggity"を制作中にこの音源をMichael Jacksonに送って聴かせたところ、彼はこの曲はただのヒットじゃない。スマッシュ・ヒット(大当たり)だと絶賛したという。


'96年のビルボード年間シングル・チャートでも、23位にランクインするほどの大ヒット曲となった"No Diggity"。


実は当初、Teddyはこの曲をBlackstreetではなく、Guyの楽曲としてリリースすることを考えていたとのこと。


Billboard Year-End Hot 100 singles of 1997

1. Candle in the Wind 1997" / Something About the Way You Look Tonight - Elton John

21. The Freshmen - The Verve Pipe

22. I Want You - Savage Garden

23. No Diggity - Blackstreet feat Dr. Dre, Queen Pen

24. I Belong to You (Every Time I See Your Face) - Rome

25. Hypnotize - The Notorious B.I.G.

26. Every Time I Close My Eyes - Babyface

27. In My Bed - Dru Hill

28. Say You'll Be There - Spice Girls

29. Do You Know (What It Takes) - Robyn

30. 4 Seasons of Loneliness - Boyz II Men



Aaron Hallも"No Diggity"を拒否


"No Diggity"は、Teddy RileyとWilliam "Skylz" Stewartの2人がプロデュースを担当。


この曲は、Bill Withersの"Grandma's Hans"をサンプリングした楽曲としても知られており、Skylzがスタジオで"Grandma's Hans"を使って何かをしようとしていた時、たまたまその場に来たTeddyがそれを耳にしたことがきっかけで、"No Diggity"のトラックが生まれることに。


この時の様子を、Teddyは「Vibe」のインタビューにて次のようにコメント。

「"No Diggity"のアイデアは、俺とWilliam "Skylz" Stewartが考えた。彼がスタジオで"Grandma's Hans"のサンプリングをMPCで作業していて、『このサンプリングを俺に渡してくれないか?』と彼に頼んだんだ。そして俺はこのサンプリングを部屋に持ち帰り、Logicに入れてトラックを作った。トラックが完成した後に彼がやってきて、『このレコードは大ヒットするよ。でも何か加えることはあるか?』って言ってきた。それで、俺は彼に“No Diggity”の歌メロを渡したんだ」

Bill Withers - Grandma's Hands

しかし、完成された"No Diggity"のトラックがあまりにもヒップホップ寄りだった為か、GuyのメンバーAaron Hallもこのオファーを拒否し、最終的にBlackstreetが歌うという形に。


ちなみにTeddyによると、"No Diggity"のリリース元[Interscope Records]も、当初この曲がヒットするとは全く思っていなかったようで、Teddyの親友Heavy DとDr. Dreが、レーベルのトップJimmy Iovineを説得し、なんとかリリースする方向に話を進めたとのこと。

Guy
Guy


"No Diggity"のビートはDr. Dreが作り、2Pacに提供される予定だった?


Blackstreetの全楽曲を振り返ってみて、"No Diggity"が他を凌駕するほど圧倒的な結果を残せた理由の1つは、R&Bというジャンルを飛び越えてクロスオーバー出来たことで、その最大の要因は言うまでもなく、客演にDr. Dreを迎えた点。


当時、DreはSuge Knightと共に立ち上げたレーベル[Death Row Records]を去り、[Interscope Records]の協力の元、自身のレーベル[Aftermath Entertainment]を設立した時期。


Teddyは「HipHopDX」のインタビューにて次のようにコメント。

「Dreが[Death Row Records]を去ったから、俺にオファーが来たんだと思う。だから彼にも"No Diggity"に参加してもらった」

ちなみに、TeddyはJimmy IovineからDr. DreがMVに出たがっていると言われたようで、曲のバースをDreが歌ってくれるなら許可すると伝え、Dreが曲の冒頭でラップすることに。


「R&BのキングTeddy Riley」と、「ヒップホップのキングDr. Dre」の共演が話題にならないわけがなく、関係者達の予想に反して歴史的大ヒットを記録した"No Diggity"。


その一方で、「実はこの曲のビートはTeddyではなく、Dreが作ったのでは?」という説も。

Dr. Dre
Dr. Dre

記述の通り、"No Diggity"はTeddyとWilliam "Skylz" Stewartの2人がプロデュースを担当した楽曲ながら、Joe Cockerの"Woman to Woman"を使用した"California Love"や、Charles Aznavourの”Parce Que Tu Crois"を使用した"What’s The Difference"のように、どちらかというと曲調はDreのスタイルそのもの。


2Pac - California Love

もちろん、"No Diggity"の制作段階でDreの参加がおおよそ決まっていたのであれば、TeddyらはDreのスタイルに寄せたと考えるのは自然で、しかしDreは自身がプロデュースしない楽曲でラップをすることは珍しく、それがR&Bアーティストの楽曲ともなれば更に異例のこと。


これはあくまで推測の域を出ないものの、Dreが[Death Row Records]在籍時に"No Diggity"のビートを制作し、「当初2Pacのアルバム『All Eyez On Me』に収録する予定だったのはでは?」という話もあったとか、なかったとか。


しかし、Dreは『All Eyez On Me』のリリース前に [Death Row Records]を去り、その後"No Diggity"のトラックの権利を保持していた彼自身が、「この曲をTeddyに渡したのでは?」という説も。


事実、Dreはプロデューサーとしてクレジットされていない"No Diggity"でラップを披露しており、そして「自分がプロデュースしない楽曲ではラップをしない」というこだわりがDreにとって絶対だと仮定した場合、「実はDreが"No Diggity"のトラックを手がけた」というのも、信憑性が出てくる話。



Suge Knightからのオファーを断っていたTeddy Riley


'95年8月に米ニューヨークで行われた「The Source Awards」にて、[Death Row Records]のトップSuge Knightが、[Bad Boy Records]のSean Combsを批判した発言が引き金となり、米西海岸ロサンゼルスの[Death Row Records]、そして米東海岸ニューヨークの[Bad Boy Records]を中心に勃発した「ヒップホップ東西抗争」


ヒップホップ・シーンが大荒れになっていた最中、[Death Row Records]は2Pacというスーパースターを獲得したものの、SugeはDr. Dreが抜けた穴の補填案を策略。


そこでSugeが考えた案が、Teddy Rileyを[Death Row Records]に招き入れるというアイデア。


当時の様子を、Teddyは「HipHopDX」のインタビューにて次のようにコメント。

「俺とSugeには共通点がある。それは、俺達のメンターが共通してGene Griffinだったということ(Teddyのマネージャー兼ビジネス・パートナー)。だからギャングスタであるSugeからのオファーは怖くなかった。Sugeは俺とパートナーになりたがっていたけど、俺は彼からのオファーを断った。俺は悪の世界から来た男だけど、もうあの世界には戻らないと決めていた。彼と組むと後戻りしそうな気がしたんだ」
Gene Griffin Teddy Riley
Gene Griffin Teddy Riley

こんな一連のやりとりがあったことを知ってか知らずか、"No Diggity"でTeddyと共演したDr. Dre。


しかし、Dreは[Death Row Records]を去り、彼の穴埋めとして声をかけたTeddyの獲得にも失敗したSugeとしては、彼らのやりとりを見て面白いと思うはずがなく、この出来事に憤慨したSugeは、Dreに対する報復曲を発表。


それが2Pacの"Toss It Up"。


2Pac - Toss It Up feat. Danny Boy, Aaron Hall, K-Ci & JoJo



「なんで"No Diggity"で2Pacが歌っているんだ?」


「Dreは[Death Row]を去ったな、あばよ。


ここから去ってお前はどこに行くつもりだよ?


ハードコアは上辺だけか?もうお前のラップには誰も耳を貸さないぜ。


すぐに心変わりする奴は、ブラザー達から一番軽蔑されるんだよ」


2Pacが発表した"Toss It Up"はDr. Dreを痛烈に非難する内容で、更にSuge Knightは、DreとTeddy Rileyへの報復として、当初この"Toss It Up"は"No Diggity"のビートをほぼ丸パクリした形で制作され、Dreらの許可を得ることなく、この曲をラジオでオンエアしてしまうことに。


2Pac - Toss It Up (OG Version)

そして、この曲をラジオから耳にしてしまったのがTeddyで、"No Diggity"のリリース元である[Interscope Records]のトップJimmy Iovineに、すぐに電話をしたとのこと。

「おい、この曲は何だよ?ラジオで"No Diggity"をサンプリングした曲が流れてきて、しかもなんで2Pacが歌っているんだ。Jimmy、あんたがこの曲に2Pacを入れたのか?」

Jimmyも、"No Diggity"が無断でサンプリングされた事実を知らず、しかしこの電話の直後、"No Diggity"を模範した"Toss It Up"の初期バージョンがラジオから完全に消去され、TeddyはあれはJimmyの力を知った瞬間だったと回想。


Teddyとしては、無断で"No Diggity"が使用されたことに対して不満だったのは想像に難くないものの、そのこと以上に不満だったと思われるのは、この"Toss It Up"にAaron Hallがゲスト・ボーカルで参加していたこと。

Damion Hall Teddy Riley Aaron Hall
Damion Hall Teddy Riley Aaron Hall

既述の通り、Teddyは当初"No Diggity"をGuyの楽曲として発表しようとしたものの、このアイデアを拒否したのがAaronだったことから、Aaronの寝返りに対して、Teddyは不信感を募らせたことでしょう。


結果的に、"Toss It Up"はBlackstreet側の訴えによりビートの作り替えを余儀なくされ、2Pac没後にMakaveli名義でシングル・リリース。


"No Diggity"のトラックがきっかけで勃発したバチバチのビーフ。


そしてこの2曲の結果を振り返ると、第40回グラミー賞「Best R&B Performance By A Duo Or Group With Vocal」を受賞した"No Diggity"が、圧勝という形で終わることに。


No Diggity

全米シングル・チャート - 1位

全米R&Bシングル・チャート - 1位

'97年ビルボード年間シングル・チャート - 23位

第40回グラミー賞「Best R&B Performance By A Duo Or Group With Vocal」受賞


Toss It Up

全米シングル・チャート - チャート外

全米ヒップホップ・シングル・チャート - 13位

Blacksrtreet
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