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Janet Jacksonの名曲"All For You"誕生の舞台裏。Nextの"Too Close"に対するユーモラスで確信犯的なアンサー。

  • 執筆者の写真: R&B SOURCE
    R&B SOURCE
  • 5月27日
  • 読了時間: 6分
Janet Jacksonのキャリアで最大のヒットを記録した"All For You"

元ネタ"The Glow Of Love"を知らなかったというJanet


Janet Jackson(ジャネット・ジャクソン)にとって通算10曲目、そしてキャリア最後の全米シングル・チャート1位となった"All For You"は、彼女のキャリア最大級のヒットとなった楽曲。


この曲がリリースされた2001年のリリース当時、彼女は2人目の夫Rene Elizondo Jr.との離婚問題の渦中にいながらも、その経験が彼女を内省的で重苦しい方向へ向かわせることはなく、むしろこの曲では、「悩みなんて忘れて踊ろう」と呼びかけるような、開放感あふれる明るく陽気な世界観を表現。


Janet Jackson - All For You

この曲がリリースされる4年前、'97年発表の前作『The Velvet Rope』は、その内省的な内容で大きな話題を集めた作品。


その後、自身のキャリアを長年支えてきた制作パートナー、Jimmy JamとTerry LewisのタッグJam & Lewis(ジャム&ルイス)と共に新作『All For You』の制作へ入ったJanetは、『The Velvet Rope』の深く内面的な世界観から一転、「楽しい作品」を作りたいと考えていたという。


そしてアルバム制作中、JanetはJam & Lewisの2人と共に、インスピレーションを求めて古い楽曲を聴き漁っていく中、Jimmyが流した1曲こそ、"All For You"の元ネタとなったイタリアのディスコ・プロジェクトChangeによる'80年のシングル"The Glow Of Love"だったとのこと。


Change - The Glow Of Love

しかし当時、Janetは"The Glow Of Love"を知らなかったとのことで、Fred Bronsonの著書『Billboard Book Of Number 1 Hits』で、Jimmyは当時の様子を次のように回想。

「彼女がその曲を知らなかったことに本当に驚きました。当時私はDJをやっていて、あの曲は自分の人生の中でも大きな存在でした。この曲をサンプリングして、もう一度みんなに聴いてほしいとずっと思っていた曲なんです」

また、Jimmyは「MTV」のインタビューでは次のようにコメント。

「Janetの歴史において言えば、人々を笑顔にするようなハッピーな雰囲気のレコードが、大成功を収めてきました。たとえば、"When I Think of You"や"Doesn’t Really Matter"のような曲です。このアルバムもその伝統を引き継いでいて、'80年代のダンス・ミュージックをリスペクトした作品なんです」
Janet Jacksonの数多くのヒット曲を手がけてきたJimmy Jam
Jimmy Jam

Changeは、イタリア人プロデューサーのJacques Fred Petrusがボローニャで結成したディスコ・プロジェクトで、固定メンバーを持たない流動的な編成によって成り立っていたセッション・バンド。


このバンドでボーカルを担当したシンガーこそ、当時まだ無名だったLuther Vandross(ルーサー・ヴァンドロス)で、彼はまだCMソングやバック・コーラスの仕事をしていた時期。


Changeのデビュー・アルバム『The Glow Of Love』の表題曲となった"The Glow Of Love"は、全米R&Bシングル・チャート最高49位を記録。


このヒットをきっかけに、Lutherは翌'81年に後の名盤と呼ばれる『Never Too Much』でアルバム・デビューを飾ることに。


Luther Vandross - Never Too Much

Janetは"The Glow Of Love"こそ知らなかったものの、Lutherとは過去に共演しており、それが'92年公開映画『Mo’ Money』のサウンドトラックに収録された"The Best Things In Life Are Free"。


Bell Biv DeVoeとRalph Tresvantがバック・ボーカルを担当したこの曲で、JanetはLutherとデュエットを披露しており、この楽曲もJam & Lewisがプロデュースを担当。


Luther Vandross, Janet Jackson - The Best Things In Life Are Free



"Too Close"に対するユーモラスで確信犯的なアンサー


そして爽やかな曲調とは裏腹に、この曲でかなり大胆な歌詞を歌っているJanet Jackson。


彼女がイントロ部分で歌っている歌詞の内容は以下の通り。


「パーティーにいる女の子たちみんなが、あの身体を見てるわ。


今まで見たことないくらいに体を揺らしてる。


いいもの持ってるじゃない。


今夜は乗っかるしかなさそうね」


ここでJanetが歌う「いいもの」とは、男性器を指しており、全米チャートを制するようなヒットの中で、「男性器のサイズ」についてここまで率直に歌う女性ポップスターは、当時としてはかなり斬新。


このアプローチを見るかぎり、"All For You"は公式に「〇〇へのアンサーソング」と銘打たれてはいないものの、歌詞のシチュエーションや陽気な曲調などを踏まえると、R&BグループNext(ネクスト)が'97年にリリースし、世界的大ヒットを記録した"Too Close"に対する、ユーモラスかつ確信犯的な「女性側からのアンサーソング」とも言えそう。


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"Too Close"は、クラブのダンスフロアで女性と密着しすぎた状態(Too Close)で踊るうちに、そのうちに男性が興奮して下半身が「反応」してしまい、女性の体に当たってしまう気まずい状況を歌った楽曲。


Next - Too Close

これに対し、Janetは"All For You"で、まるで"Too Close"の「女性側の視点」とも言えるような内容を展開。


「横目でずっと見てるの分かってるわ。


声をかけたいのに、どこか落ち着かない感じね。


でも、心の中で『自分なんかでいいのか?』って引き止めるのよね。


でもそれ、よくあることだから分かるわ。


男の人ってみんなそうだから。


で、あなたはどうするの?


こっちに来て話しかけてみてよ。


イヤな態度なんて取らないって約束するから」


そして、この歌詞に続く決定的なフレーズがこちら。

「私のすぐ隣(Next)に座らせてあげてもいいわよ」

この一文で、Janetは「Next」という言葉を、あえてトリプル・ミーニング(すぐ隣に、次の男として、グループのNextにかけて)として使ったのではないかという推測。


"Too Close"の男たちは、女性に密着して踊るだけで余裕をなくし、下半身をコントロールできずにオロオロしたのに対し、Janetは"All For You"で、「私に近づきたいなら、そんなにガツガツ密着して自爆(Too Close)してないで、私の「Next(隣)」にスマートに座って、ちゃんと言葉で口説いてみなさいよ。焦らしてあげるから」という、大人の余裕で主導権を握っているイメージ。


'90年代後半の男性主導のセクシーなR&Bヒットに対して、2001年に独身に戻ったJanetが「女性側の圧倒的な余裕と魅力」でやり返した、非常にハイセンスで遊び心のあるアンサーソングの構造と言えそう。


ちなみに、Janetの"All For You"も、Nextの"Too Close"も、それぞれ実体験から着想を得て歌詞が書かれている点も共通。


一方で、アルバム『All For You』に収録された"Would You Mind"の歌詞があまりにも露骨だったことから、当時シンガポールでは発売禁止処分になるという事態も。


"Would You Mind"の歌詞は以下の通り。


「ねぇ、触ってくれない?


できるだけ優しくゆっくりと。


あなたのせいで震えてしまうの。


ねぇ、服を脱がせてくれない?


もっとセクシーな気分にさせて。


だって私はあなたをお風呂に入れて、触れて、撫でて、愛撫して。


どれだけ恋しかったか伝えたいの。


ただあなたに触れたい。


焦らして、舐めて、喜ばせて。


愛して、抱きしめて、身体を重ねたい。


そしてキスして吸って、味わって、乗っかって。


あなたを自分の奥深くで感じたいの。


ただキスして吸って、味わって、乗っかって。


感じて、あなたもイかせたい」


そして曲の後半に喘ぎ声が入り、最後はこんなオチ。


「曲が終わっちゃった。


え、ちょっと待って。


まだイけてなかったのに、あなたはイった?」


Janet Jackson - Would You Mind




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