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「あと1曲ヒットすれば本当にブレイクする」と言われ続けたKehlaniが、遂に手にしたヒット曲「Folded」。「神様のタイミングだったと思うわ」

  • 執筆者の写真: R&B SOURCE
    R&B SOURCE
  • 8月3日
  • 読了時間: 7分
Kehlaniのキャリア最大のヒットとなった「Folded」

Kehlaniが遂に手にしたヒット曲「Folded」


2017年に[Atlantic Records]からメジャー・デビュー・アルバム『SweetSexySavage』をリリースし、卓越した歌唱力と飾らないリリックで多くの支持を集め、次世代を担うカリスマR&Bアーティストとして着実に地位を築いてきたKehlani(ケラーニ)。


Kehlani - SweetSexySavage

しかし、そんな彼女のキャリアには、ひとつだけ欠けていたものがあり、それはアーティストの象徴となるような「特大ヒット曲」の存在。


もちろん、「Distraction」や「Gangsta」など、Kehlaniを代表する楽曲は数多く存在。


Kehlani - Distraction

これらの楽曲は、R&Bチャートでは確かな成功を収めてきた一方、意外なことに、これまで全米シングル・チャートではトップ10入りはおろか、トップ40入りを果たす楽曲は、1曲も生まれていない。


CRZY|85位

Distraction|85位

Gangsta|41位

Good Life with G-Eazy|59位

Nights Like This feat. Ty Dolla $ign|67位

Can I|50位

I Like Dat with T-Pain|97位

Beautiful Lies with Yung Bleu|65位

After Hours|72位


このような経緯から、Kehlaniは長年次のように言われ続けたという。

「あと1曲ヒットすれば本当にブレイクする」
「Folded」のヒットでその実力を再証明したKehlani
Kehlani

Kehlaniは、メジャー・デビュー前の2015年に発表したミックステープ『You Should Be Here』が、第58回グラミー賞「Best Progressive R&B Album」にノミネート。


ミックステープとは、商業的な販売が行われる公式なアルバムとは異なり、著作権処理などの制約を比較的受けず、ラフなデモやフリースタイル、既存ビートを使った楽曲などを収録できる、アーティストの実験的な表現の場とも言える作品。


そんな『You Should Be Here』は、女性アーティストによるミックステープ作品として史上初めてグラミー賞にノミネートされた歴史的な作品。


Kehlani - You Should Be Here

その才能は各メディアからも高く評価され、「Complex」は「2015年に注目すべきアーティスト15人」に、「Rolling Stone」は「2015年に知っておくべき新人10人」にKehlaniを選出。


「期待の新星」として大きな注目を集めたKehlaniだったものの、新人アーティストとしての熱狂が落ち着き、ミュージシャンとしてのキャリアを歩む中で、自分が次第に別の基準で評価されるようになったことに気づいたという。


Kehlaniは、当時の状況を「Los Angeles Times」のインタビューで次のように回想。

「私の音楽そのものじゃなくなったの。『チャートで結果を出している?』『賞にノミネートされた?』『あの雑誌の表紙を飾った?』という話ばかりになってしまったわ。それってクリエイターとして本当に混乱させられるのよ。そういう考えが頭の中にまで入り込んでしまう。でも、その一方で自由も感じていたわ。今は自分のやりたいことをやればいいと思えるようになったから」

そして2025年、長年抱えてきたジレンマをついに打ち破る、待望の1曲が誕生。


それが、Kehlaniのキャリアを大きく変えた「Folded」


実はこの曲、思いがけないひらめきから生まれた曲だったとのこと。


彼女は数人のプロデューサーとともに、ある客演曲を完成させるため米フロリダ州マイアミへ向かったものの、その企画は最終的に白紙に。


それでもせっかくの滞在を無駄にしたくなかった彼らは、スタジオの時間を使って新しい曲を作ることにし、少しだけマリファナを吸い、あまり深く考えずに流した最初のビートが、後の「Folded」だったという。


しかし、その時点では彼ら自身も、この曲が持つ可能性にまだ気づいていなかったとのこと。

「翌日になって聴き返したら、『これ、本当にすごい曲じゃない?』って気づいたの。その場では夢中になりすぎていて、全然分かっていなかったわ。本当に自然にできた曲だったの。深く考えたわけじゃない。ただ、そうなったのよ」

Kehlaniはこれまで、世間からの誤解や人間関係をめぐる騒動、そして自身のメンタルヘルスとの向き合いなど、さまざまな困難を経験。


2024年にはアルバム『Crash』の制作中に精神的な危機を経験し、その後、双極性障害と診断されたことも公表。


Kehlani - Crash

そうした経験を経て、彼女は自分自身と向き合う時間を重ね、以前とは異なる心境で音楽と向き合えるようになったという。


そして彼女にとって「Folded」は、単なるヒット曲ではなく、人生の変化と成長が重なった、特別な意味を持つ1曲になったとのこと。

「これは曲そのものというより、神様のタイミングだったと思うわ。ここ2年間、自分自身としっかり向き合ってきたことを神様が見ていてくれたんだと思う。本当にたくさんの努力をしてきたから。神様は、『もうこの子なら商業的な成功の重圧にも耐えられる』と判断してくれたんだと思う。このタイミング以外だったら、私はきっと耐えられなかったと思うの。私のメンタルヘルスの問題もあって、そういうものにすごく影響されやすいから」

Kehlani - Folded



元々はKehlani用のビートじゃなかった「Folded」


結果的に、「Folded」はKehlaniのキャリア初となる全米シングル・チャートTop 10入りを果たし、最高6位を記録。


さらに、全米R&Bシングル・チャートでは1位を獲得し、こちらも自身初の快挙。


そして2026年の第68回グラミー賞では「Best R&B Song」「Best R&B Solo Performance」にノミネートされるなど、彼女のキャリアで最大のヒットを記録。


そんな「Folded」は、終わったはずの恋愛にもう一度向き合う、複雑な感情を描いたラブ・ソング。


タイトルが示す「折り畳む」という言葉には、衣服を畳むという日常的な意味と、過去の関係や感情を整理しようとする心の動きという、2つの意味が込められているという。


Kehlaniは、「Genius」のインタビューでこの曲に込めた思いを次のようにコメント。

「ひとつは、『あなたの服を畳んでおいた』という意味。服は家に置いていったけど、私はそれをちゃんと畳んだの。つまり、あなたに腹を立てているけれど、それでも畳んであげるくらいには、まだあなたを大切に思っているということ。それは、まだ完全に終わったわけじゃないという意味でもあるの。『外は寒くなってきたけど、お願いだから凍りついた関係にはなっていないって言って』みたいな感じかな。『服を取りに来て』と言いながら、もしかしたら私は玄関で可愛く着飾って、あなたが戻ってくるのを待っているかもしれない。だって、もう一度だけチャンスをくれって思っているから。時には、身体的なつながりやフィジカルな相性が勝ってしまうこともある。『あなたを愛してしまっている自分が嫌だ』『あなたに戻ってきてほしい』『でも、これが少し間違ったことかもしれないとも分かっている』みたいな感情こそが、この曲に込められたものなの」

この曲のプロデュースを担当したのは、以下の4人。


・Andre Harris

・D.K. The Punisher

・Don Mills

・Khristopher Riddick-Tynes


中でも、Leon Thomas Ⅲとプロデューサー・デュオThe Rascalsのメンバーとして活動したKhristopher Riddick-Tynes(クリストファー・リディック=タインズ)は、Zendaya「Something New feat. Chris Brown」やSZA「Snooze」などを手がけ、2010年代以降に頭角を現したR&Bプロデューサーの1人。


彼は、Kehlaniがまだ10代だった頃にその才能に目をつけ、これまでに共同で数多くの楽曲を制作。


そんなKhristopherは、Kehlaniについて、そして「Folded」について「Rated R&B」のインタビューで次のようにコメント。

「『Crash』ツアー中だったKehlaniから、ある日突然メッセージが届いたんだ。『セルフ・タイトル』のアルバムを作る準備ができた。やろう。あなたに制作してほしい』ってね。でも、そこからがKehlaniらしいところで、その後しばらく自分の時間を過ごしにどこかへ行ってしまった。彼女には、そういう時間が必要なんだと思う。そして戻ってきた彼女は、『本気でやらなきゃ』と言った。だから俺は、『だったら徹底的に向き合うしかない』と答えたんだ。そこから'Folded'をはじめとする楽曲たちが生まれていったんだよ。俺にとって重要だったのは、Kehlaniをスターとして見せること。彼女にはすでに多くのファンやフォロワーがいる。でも、そのコミュニティの外側には、まだ届いていない大きな世界がある。そこを突破する必要があったんだ。俺たちは、最高にブラック・ミュージックらしい楽曲である『Folded』によって、それを実現した。これが勝ち方なんだ。どうやって曲を書き、プロデュースし、最後まで信じ抜くのかを示したかった」
Kehlani「Folded」、SZA「Snooze」などを手がけた、Khristopher Riddick-Tynes
Khristopher Riddick-Tynes

ちなみに、プロデューサーのD.K. The Punisherが「X」で明かしたところによると、「Folded」のビートは、もともとKehlaniのために作られたものではなく、ラッパーのWaleへ送る予定だったビート・パックの中の1曲だったという。

「'Folded'のビートは、Waleに送るためにまとめたビート・パックの中の1曲だった。まさかそのビートがKehlaniの曲になるなんて、当時の自分は夢にも思わなかったね(笑)」
Kehlani「Folded」を手がけたD.K. The Punisher
D.K. The Punisher



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