「That's The Way Love Goes」が好きじゃなかったJanet Jacksonに対し、Jam & Lewisが考えた「ある秘策」とは。
- R&B SOURCE

- 7月8日
- 読了時間: 8分
更新日:7月11日

Janet Jacksonに提供した楽曲で1番のお気に入り
Mariah Carey、Boyz Ⅱ Men、Usherなどのヒット曲を手がけてきた、Jimmy JamとTerry Lewisによるプロデューサー・デュオJam & Lewis(ジャム&ルイス)。

そんな彼らは、Janet Jackson(ジャネット・ジャクソン)の才能を覚醒させたアルバム『Control』から彼女のプロデュースを担当。
以降、彼女の楽曲だけで実に9曲もの全米シングル・チャート1位を獲得したヒット曲をプロデュース。
・When I Think Of You
・Miss You Much
・Escapada
・Love Will Never Do (Without You)
・That's The Way Love Goes
・Again
・Together Again
・Doesn't Really Matter
・All For You
そしてJimmy Jamが、「Vulture」のインタビューで「Janet Jacksonに提供した楽曲の中で1番のお気に入りは?」と質問され、次のようにコメント。
「それは'That's The Way Love Goes'です」
Janet Jackson - That's The Way Love Goes
「That's The Way Love Goes」を気に入っていなかったJanet
「That's The Way Love Goes」を制作した時の状況を、Jimmy Jamは「Red Bull Music Academy」のインタビューで次のように回想。
「この曲には本当にいろいろな理由やストーリーがあるんです。まず最初に、James Brown。使ったのは'Papa Don't Take No Mess'のサンプルでした。あれはJames Brownの中で最も好きな曲のひとつです。あのギター・パートです。The Vaporsをはじめ、本当にたくさんの曲で使われてきた有名なフレーズですよね。
James Brown - Don't Take No Mess
そしてもうひとつが'Impeach The President'のドラム・サンプル。あれもヒップホップでは伝説的なドラム・ブレイクです。このヒップホップを象徴する2つの素材を組み合わせて、その上にコードを乗せ、本当の意味で『楽曲』として成立させたいと思いました。そうすることで、それまでとはまったく違う雰囲気になる。そのイメージが私の頭の中にありました。
The Honey Drippers - Impreach The President
ちょうどその頃、私たちはプロデューサーとして腕を上げ始めていた。初期の頃は、頭の中で思い描いていたものとは全然違う作品が出来上がることがよくありましたが、それでも良い作品にはなります。ただ、頭の中で鳴っていた音とは違っているんです。でもこの曲は、僕たちが初めて頭の中で聴こえていたものが、そのまま完成した作品のひとつでした。当時、[A&M Records]で働いていたMark Mazzettiという人がいましてね。この頃にはJanetはすでに[Virgin]へ移籍していたんですが、彼は大のJanetファンだったので、私はこのトラックを聴かせて、『どう思う?』と尋ねました。すると彼は、『なんてことだ、最高だよ!これは大ヒットするぞ。Janetはもう聴いたの?』と言うので、『いや、まだ聴いてないよ』と答えたら、『本当に最高だ。彼女も絶対気に入るよ。これは素晴らしい』と言ってくれたんです。そのあとJanetがスタジオに来たので、私は自信満々で『これを聴いてみて』と言いました。すると彼女は、『うん…悪くないわね。でも別の曲を作りましょう』という反応だったんです。私は、『…OK。しまった、何か失敗したのかな』って思いましたよ」
しかし、Jimmyはなんとしてもこの曲をJanetに気に入ってもらいたいと思い、そこである「秘策」を考えたとのこと。
当時Janetは約2週間ほどのクリスマス休暇を取るため、カリブ海の秘境と呼ばれるアンギラ島に出かける予定が入っており、Jimmyは旅先で楽しんでもらおうとカセット・テープを彼女に渡すことに。
そして、このテープの中にこっそりと「That's The Way Love Goes」を忍ばせたという。
そして休暇中、Jimmyから受け取ったカセット・テープを再生したところ、一緒にいたダンサーたちが「That's The Way Love Goes」を聴いて「これよ!」と反応したという。
彼らに影響されたJanetは、次第にこの音源に引き込まれていき、気がつけば休暇中ずっとこの曲をリピートし、帰宅後はすぐにレコーディングに取り掛かったとのこと。
この時の様子を、続けてJimmyは次のようにコメント。
「彼女は2週間ほど休暇に出かけ、戻ってきてスタジオのドアを開けるなり、『ねえ! あの曲をやらなきゃ!』と言ってきたんです。私が『どの曲?』と聞くと、『あなたがくれたあの曲よ! あれをやらなきゃ!』と言うんです。私は、『気に入らないって言ってた曲?』と言うと、『違うの! 私たちアンギラ島にいて、海を眺めながらその曲を流したの。そしたらみんながこの曲に反応しちゃって。その瞬間わかったのよ。やっと理解できたの!』と言ってきました。その頃、Janetは実際に私の家に滞在していて、彼女専用の部屋もありました。ある夜、午前2時頃に家のインターホンが鳴ったんです。『Jimmy、起きてる?』と。すると彼女は、『コンセプトを思いついた。'That's The Way Love Goes'よ。でもネガティブな意味じゃない。『恋なんてそんなもの』っていう諦めじゃなくて、『恋ってこういうものよね』というポジティブな意味」と説明してきました。私は、『いいね。じゃあ明日スタジオでやろう』と伝え、翌日その通りに制作しました。メロディーも、ほとんど全部Janetが考えたんです。そこへ私たちが加えたのが、『Like a moth to a flame, burned by the fire...』というフレーズなんです。さらに彼女の声をサンプリングしました。あのバックで鳴っている声は全部Janet自身なんですよ。オクターブ違いで重ねたりしていて、本当にクールでした」

そうして完成したのは、官能的な恋愛を描いた楽曲。
「連れて行ってあげたいの。
なたがまだ知らない世界に。
きっとこの上ない気持ちになれるはず。
それが愛というものだから」
ちなみに、タイトル名が正式に決定するまで、彼女はこの曲を「Relaxed and Carefree」や「Easy and Fun, Soft and Seductive」と呼んでいたという。
そして、'93年リリースのアルバム『janet.』に収録されることになった「That's The Way Love Goes」
Jam & Lewisはこの曲に強い思い入れがあったことから、アルバムからのファースト・シングルには絶対にこの曲を選びたいと考えていたとのこと。
しかし、リリース元である[Virgin Records]の役員たちは「If」をファースト・シングルに推しており、双方の意見は対立。
Janet Jackson - If
最終的には、「That's The Way Love Goes」がファースト・シングルに選ばれ、全米シングル・チャート1位を記録。
一方、セカンド・シングルとなった「If」は同チャートで最高4位という結果。
さらに「That's The Way Love Goes」は、第36回グラミー賞「Best Rhythm & Blues Song」も受賞。
「That's The Way Love Goes」がどのようにしてファースト・シングルに選ばれたのか。
Jimmyは次のように当時を回想。
「制作中ずっと、私たちは全員『これはアルバムの先行シングルになる』と思っていました。ところが制作の途中、レコード会社の重役たちがスタジオへやって来た日があって、たまたまその日に作っていたのが「If」でした。彼らはその曲しか聴いていなかったから、「シングルは'If'だ」と思い込んでしまったんです。その後、Janetがロサンゼルスで会議に出席することになり、彼女を送り出すとき、私たちは最後にこう伝えたんです。『絶対に'If'を推す役員たちの意見に流されないでほしい。シングルは'That's The Way Love Goes'なんだから』と。ところが彼女が戻ってきて、『'If'がシングルになったわ。みんな、すごいビデオが作れるって言うし、ダンス曲だし、私らしいって…いろいろ言われて』と言ったんです。でも私たちは、『いやいや、それは違う』と言い続けました。それから約1か月後。アルバム最後の曲'New Agenda'を制作していた時のことです。
Janet Jackson - New Agenda
参加していたのは、Public EnemyのChuck DとHank Shocklee。朝3時頃にセッションが終わったんですが、私たちはまだシングルが'That's The Way Love Goes'じゃないことに納得していませんでした。そこで私は、『Janet、この2人にシングル候補を聴かせてもいい?』と言いました。まず'That's The Way Love Goes'を流しました。2人ともノッています。次に'If'を流しました。これにもノッています。そこで、『どう思う?』と聞きました。すると2人は、『'If'はまさにJanetっていう感じだ。ビデオもダンスもすぐ想像できる。'If'はヤバいね」と言いました。Janetは『ほらね?』という顔で私たちを見ました。私たちは、『くそっ…』と思ったんですが、続けて彼らはこうも言いました。『でも、もう1曲…何ていうタイトルだっけ?'That's The Way Love Goes'だ。あの曲はさ…あれはまるでSadeみたいなんだ。Sadeって、新作を出すときに大々的な宣伝なんかしないだろ? ある日突然、『あれ?これ何?Sadeの新曲だ。いいね、聴いてみよう』って自然に広がっていく。まさに、あのタイプの曲だと思う」と。その瞬間、私たちはJanetの方を向いて、『ほら、やっぱり』という顔をしました(笑)。するとJanetも、『そうね…'That's The Way Love Goes'だわ。あなたたちの言う通り。'That's The Way Love Goes'がシングルね」と言ったんです。こうして、この曲がアルバムからのファースト・シングルに決まりました。そして結果的に、それがまさに正しい判断でした」
Janet Jackson - janet.
当初はJanetに好まれなかったものの、「That's The Way Love Goes」は全米シングル・チャートで8週連続1位という快挙を達成。
これは兄Michael Jacksonの名曲「Billie Jean"」を上回る結果(「Billie Jean」は同チャート7週連続1位)。
Michael Jackson - Billie Jean
そんな歴史的大ヒットを記録したこの曲に対して、Jimmyは次のようにコメント。
「もし、彼女が休暇中に持っていったカセット・テープの中にこの音源が入っていなかったら、この曲はホコリの中に埋もれて消えていたでしょう」

「That's The Way Love Goes」のMusic Videoは、Janetがダンサー達と休暇中を過ごしながら、徐々にこの曲に惹かれていくという、実際のエピソードを再現した演出で、当時デビュー前だったJennifer Lopez(ジェニファー・ロペス)がダンサー役として出演。













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