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Herb Alpert「Making Love In The Rain」からH.E.R.「Damage」へ。30年以上の時を超えて受け継がれたJam & Lewisのサウンド。

執筆者の写真: R&B SOURCE
R&B SOURCE
9 分前
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Jam & Lewisがプロデュースを担当したHerb Alpertの名曲「Making Love In The Rain」

H.E.R.「Damage」へと受け継がれたHerb Alpertの名曲「Making Love In The Rain」


「どこかで聴いたことがある」という声も多く聞かれた、H.E.R.の「Damage」


この曲は、'87年にトランペット奏者Herb Alpertが発表した「Making Love in the Rain」をサンプリングした楽曲で、この「Making Love in the Rain」をプロデュースしたのが、Jam & Lewis。


2021年、Jimmy Jamは「Maximum Fun」のインタビューで、H.E.R.の「Damage」について次のように言及。

「30年も経った今、あのアルバムの曲や、そこから生まれたものが、今の人たちにも響いているというのは、本当にすごいことだと思う」

H.E.R. - Damage

「Making Love in the Rain」が生まれる背景には、Jam & LewisとJanet Jacksonとの出会いが大きく関係しており、彼らを結びつけたのは、当時[A&M Records]でA&Rを務めていたJohn McClain。

Janet JacksonをJam & Lewisに繋げたJohn McClain
John McClain

ある日、Johnから[A&M Records]所属アーティストのリストを渡され、「この中で誰と仕事をしたい?」と尋ねられた2人が選んだのが、他でもないJanet。


そして生まれたのが、'86年の傑作『Control』で、この作品をきっかけにJam & Lewisは、一気にトップ・プロデューサーの地位へと駆け上がっていくことに。


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その後もHuman Leagueを手掛けたJam & Lewisは、'83年頃〜'87年頃まで、ほとんど休むことなく制作を続けていたという。


しかし、そんな彼らに一度立ち止まることを勧めた人物がおり、それが[Tabu Records]の創始者として知られ、「Black Godfather」の異名を持つClarence Avant。


当時の状況を、Jimmyは次のように回想。

「ある時、Clarence Avantが私たちにこう言ったんです。『お前たちは休みを取る必要がある』と。私たちは『どういうこと?』と尋ねました。すると彼は、『休まなきゃダメだ、スタジオに行くな』と言ってきました。当時はまだノートパソコンなんてなかったですからね。スタジオに行かなければ、本当に何もできなかった。すると彼は、『2週間休め』と言ってきたので、私たちは『OK、分かったよ』と答えました。でも、最初の1週間は本当にひどかったんです(笑)。というのも、Terryが毎日電話してくるんですよ。当時は携帯電話もなかったから、私の家の電話に毎日かかってくる。そして、会話はいつも『元気かい?』『今日は何してる?』『何もしてないよ。まあ、ぶらぶらしてるだけ』こんな感じで、本当に、それだけなんです(笑)。最初の1週間が終わる頃には、それが結構きつくなってきたんですが、2週目に入ると少しずつ良くなってきました。『元気かい?』『元気だよ。ゆっくりしてる』『ゆっくりするのもいいもんだね!』という感じになっていったんです。そして2週間目の終わり頃だったと思いますが、私たちはClarenceに電話して、『もう1週間休んでもいいかな?』って聞いたんです(笑)。そしたら彼は、『もちろんだ!もう1週間休め!』から言われました。その時、私たちはようやく気づいたんだと思います。『私たちが何かを作ったり、何か仕事をしたりしなくても、世界は別に崩壊しないんだな』と。それが、ある意味でその後の仕事につながる準備になりました」
[Tabu Records]の創始者Clarence Avant
Clarence Avant

そんな休養期間を終え、再び仕事に戻ろうとした時、Johnから次のように提案されたという。

「Herb Alpertとレコードを作ったらどうだ?」

当時のJam & Lewisにとって、HerbはJanet JacksonやHuman Leagueとはまったく異なるタイプのアーティスト。


そしてHerbは[A&M Records]の共同創設者でもあり、すでに世界的な成功を収めていた大物アーティスト。


今さら何かを証明する必要もなく、今回の作品が思うような結果にならなかったとしても、キャリアを左右するようなプレッシャーもないことから、Herbとの仕事はJam & Lewisにとって新たな挑戦であり、同時にプレッシャーから離れて再び音楽制作に向き合うには絶好の機会だとJohnは考えたという。

「Herbにヒット・レコードをプレゼントできたら素晴らしいじゃないか。それに、誰もHerbに何かを期待しているわけじゃない。プレッシャーもない。仕事に戻るには最高の方法だ」

そして、Jam & Lewisにとって、Herbは恩人とも呼べる存在。


Jimmyによれば、HerbはJanetとの仕事、そして『Control』というアルバムの実現において、大きな役割を果たしてくれた人物。


だからこそ今度は、自分たちがHerbにヒット曲を届けることが、Jam & Lewisにとって新たな挑戦であり、これまでの恩に報いる機会にしたかったのだという。

「私たちの中では、Janetのために彼がしてくれたこと、そして『Control』というアルバムのためにしてくれたことへの『ありがとう』を伝える、いい方法でもあると思いました。そして同時に、Herbにヒット曲を作ってあげられるかという挑戦でもあったんです」

こうして制作されたHerbのアルバム『Keep Your Eye on Me』で、その中でも象徴的な1曲が、「Making Love in the Rain」


Jam & Lewisがプロデュースを担当し、リズムとホーンをアレンジ。


そしてHerbのトランペットに重なるのが、Lisa Keithのリード・ボーカル、そしてJanet Jacksonのボーカル。


当時の[A&M Records]の資料によれば、Jam & LewisはHerbにとっても新しいサウンドを作ることを目指しており、Herb自身も2人との制作について「違った経験だった」と回想。


「Making Love in the Rain」は、まさにHerbのトランペットと、当時最先端のR&Bを作っていたJam & Lewisのサウンドが交差した1曲で、全米R&Bシングル・チャートで最高7位を記録し、Jam & Lewisは見事、Herbへの恩返しを果たすことに。


Herb Alpert - Making Love In The Rain

その後、Jam & Lewisは自らのレーベル[Perspective Records]を立ち上げ、[A&M Records]

との提携を実現。


そこで最初に送り出したのが、Sounds of Blacknessの「Optimistic」


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この時、Herbとの関係性がより鮮明になるエピソードがあり、「Optimistic」がラジオで大きく支持された時、Jimmyは電話でHerbに次のように話をしたという。

「ラジオで一番多くオンエアされたんだ」

しかしこの時、Herbは意外な反応を示したとのこと。


Jimmyは、当時の状況を次のように回想。

「Herbは、本当に素晴らしい人なんです。私たちが彼のアルバムで仕事をしたり、その後『Rhythm Nation』を手掛けたり、さらに私たちのレーベル[Perspective Records]を[A&M]に持っていって、そこでSounds of Blacknessの作品を作ったりすることになったのも、Herbがいたからなんです。彼との関係は、ビジネスのためじゃなく、人間性の問題だったんです。音楽というものを理解していて、音楽が持つ重要性を理解している人でした。そして私たちが'Optimistic'を彼のところに納品した時のことを今でも覚えています。'Optimistic'がラジオで沢山流れたことを電話で伝えると、『そんな話を聞くために電話したんじゃない。俺が電話したのは、お前たちがこのレコードを俺たちのところに持ってきてくれたこと、そして俺たちがこの作品に関わっていることを、本当に誇りに思っていると伝えたかったからだ』と言われました。というのも、当時私たちはみんなから『おい、ゴスペルのレコードを出すなんて、絶対にうまくいかないぞ』と言われ続けたんです。だからHerbから電話が来た時も、『何やってるんだ、お前たちは!』みたいなことを言われるんじゃないかと思いましたよ(笑)。でも、彼が電話してきたのは、ただ純粋にその作品に対する感謝を伝えるためだったんです。だから、Herbに何曲か大きなヒット曲を届けることができたのは、本当に嬉しかったです」

そして、30年以上の時がたった2019年に、H.E.R.が「Making Love In The Rain」を使用した「Damage」を発表。


「Damage」の制作では、当初「Making Love in the Rain」のサンプルが使用されていたものの、マスター音源の使用許可を得ることができず、一度はリリース自体が危ぶまれることに。


しかし、最終的にプロデューサーのJeff “Gitty” Gitelmanが原曲の冒頭部分を再現する形で作り直し、結果的には全米アダルトR&Bエアプレイ・チャートで1位を獲得。


H.E.R.は、「The Knockturnal」とのインタビューで、この曲について次のようにコメント。

「これはまさにクラシックなR&Bサンプルよね。しかも、特に今の若い世代には、これまであまり知られていなかった曲だった。だから私としても、『これは絶対にやるべきだ』と感じたの」



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