Michael Jackson▶︎▶︎様々な偶然が重なって誕生した名曲。"Human Nature"をサンプリングするアーティスト達。

様々な偶然が重なって誕生した名曲"Human Nature"

「窓の外から夜を眺めると、眠らない街がウインクしている。

彼女(街)の声が僕の窓(心)を揺さぶる、何とも甘く魅力的な囁き。

夜の街に僕を連れ出して、四方を覆う壁だって僕を閉じ込めたくないはずさ。

この街がただのリンゴ(ニューヨーク)なら、僕に一口かじらせて。

誰かが「なぜ？なぜ？」と聞くのなら教えてあげてよ、それが人間の性(さが)だって。

どうして神は僕をこんな風にさせるのだろう？」

有名人である自分の運命を受け入れつつも、何気ない夜の街へと繰り出したいけどもそれが出来ない葛藤を「これが人間の性さ」と歌ったMichael Jacksonの"Human Nature"。

Michael Jackson

Human Nature

iTunes: https://apple.co/3GxIU68

発売から現在にかけて7,000万枚以上のセールスを記録し、「史上最も売れたアルバム」に認定されているMichael Jacksonのアルバム『Thriller』から5番目にシングルカットされた"Human Nature"は、全米シングル・チャート最高7位を記録。

Quincy Jonesがプロデュースを担当し、TotoのメンバーSteve Porcaroと、Carpentersの"Yesterday Once More"などの作詞を担当したJohn Bettisの2人によって書かれた楽曲でした。

この"Human Nature"は、Steve PorcaroがTotoの代表曲として知られる"Africa"を仕上げようとしていた日、Steve Porcaroの娘が学校の滑り台から落ちて、ある男の子が彼女を叩き、彼女は「何で？何で？」と父Steve Porcaroに繰り返し訴えていたようです。

娘の「何で？何で？」というフレーズが頭から離れなかったSteve Porcaroは、後に"Human Nature"となる楽曲のデモ音源を作成し、このタイミングでQuincy JonesからMichael Jacksonの制作を依頼されていた同じくTotoのメンバーDavid Paichから、「Quincy Jonesに素材を渡すから、作ったデモ音源をテープに入れて欲しい」と言われたとのこと。

しかし、この時手元には15分程の短いカセット・テープしか無かったようで、またレコーディングをしたとはいえ"Human Nature"は歌詞も何も出来ていない全くの未完成状態の音源だったそうで、とりあえずQuincy Jonesに聴かせないつもりで手元にあったカセット・テープのB面に"Human Nature"のデモ音源を録音したそうです。

カセット・テープはA面とB面に分かれていて、A面が終わるとB面に自動的に切り替わるオート・リバースという機能が備わっており、このカセット・テープも恐らくQuincy Jonesのスタジオでオート・リバース機能が作動したのでしょう、Quincy Jonesに聴かせる予定など全くなかった未完成の"Human Nature"が恐らく勝手に流れ、このデモ音源をQuincy Jonesが聴いて事態が一変。

Quincy Jonesが"Human Nature"のデモ音源を気に入り、この後直ぐに"Human Nature"の制作に取り掛かったようです。

"Human Nature"のサビでMichael Jacksonが歌う「誰かが「なぜ？なぜ？」と聞くのなら教えてあげてよ、それが人間の性(さが)だって」という部分こそ、Steve Porcaroが娘へ向けた私的なアドバイスがそのまま形となり、Quincy Jones自身もこのサビを大変気に入っていたとのこと。

Steve Porcaroの娘のアクシデント、そしてカセット・テープというレトロなフォーマットならではの偶然の出来事が重なって誕生したMichael Jacksonの"Human Nature"。

'83年に"Human Nature"がリリースされて以降、世界中のアーティスト達がこの曲をサンプリング/カバーし続けていますね。

今回は、Michael Jacksonの"Human Nature"をサンプリング/カバーした注目の楽曲をピックアップしてみました。

ちなみに、SWVが"Right Here"で"Human Nature"をサンプリングした"Right Here (Human Nature Mix)"は、Michael Jacksonの"Human Nature"の記録を上回る、全米シングル・チャート最高2位という記録でした。