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"Dilemma"の大ヒットでアルバムは延期。その間に生まれたのが、Beyonceの傑作"Crazy In Love"。

  • 執筆者の写真: R&B SOURCE
    R&B SOURCE
  • 1 日前
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Beyonceの快進撃を成功させた"Crazy In Love"

"Dilemma"のヒットの影響を受けて誕生した"Crazy In Love"


Beyonce(ビヨンセ)のキャリア初期に発表された曲ながら、彼女の代表曲のひとつとして、圧倒的な人気を集めた"Crazy in Love feat. Jay-Z"。


そんなBeyonceの快進撃を決定づけたこの曲の主な功績は、次の通り。


全米シングル・チャート|1位

2003年年間シングル・チャート|4位

第46回グラミー賞|Best R&B Song 受賞

Best Rap/Sung Collaboration 受賞


Beyonce - Crazy in Love feat. Jay-Z

実はこの曲、あるヒット曲の影響を強く受けて生まれた楽曲だったという。


そのヒット曲こそ、Nelly(ネリー)とKelly Rowland(ケリー・ローランド)の共演で話題を集めた"Dilemma"。


Nelly - Dilemma feat. Kelly Rowland

"Dilemma"はもともとシングル候補ではなかったものの、この曲を収録したNellyのアルバム『Nellyville』のリリース後、全米中のラジオ曲でヘビー・プレイされ、急遽シングル・カットされることに。


"Dilemma"がシングル・リリースされたのは2002年6月25日。


そして当初、Beyonceのソロ・デビュー・アルバム『Dangerously in Love』のリリースが予定されていたのは、2002年10月。

"Crazy In Love"を収録したBeyonceのソロ・デビュー・アルバム『Dangerously In Love』

しかし、"Dilemma"が想定外の大ヒットを記録した流れで、Beyonceの元同僚Kellyも、2002年10月にソロ・デビュー・アルバム『Simply Deep』をリリースする計画を固めることに。


Kelly Rowland - Simply Deep

シーン全体が"Dilemma"に熱狂する中、当初の予定を優先するメリットはないと判断したBeyonce側は、アルバムのリリース日を再検討。


これが功を奏したのか、その間にBeyonceはさらに多くの楽曲をレコーディングする時間を確保し、そしてこの期間に生まれたのが、のちの名曲"Crazy In Love"。


この曲のプロデュースを担当したのは、Amerieのデビューをサポートしたことでも知られるRich Harrison(リッチ・ハリソン)。


しかし当初、この曲は周囲に理解されなかったという。

「仲間たちに聴かせたけど、みんな気に入らなかった」
Beyonceの名曲"Crazy In Love"のプロデュースを担当したRich Harrison
Rich Harrison

2時間で曲を書くように指示したBeyonce


"Crazy In Love"は、'70年代に活躍したソウル・グループThe Chi-Litesが残した"Are You My Woman? (Tell Me So)"をサンプリングしたことでも話題を集めた楽曲。


The Chi-Lites - Are You My Woman? (Tell Me So)

Rich Harrisonは、"Crazy In Love"を制作した時の様子を、「MTV」のインタビューにて次のように回想。

「最初にビートを作ったときのことを覚えているよ。いつものように仲間たちに聴かせたけど、みんな気に入らなかった。でもその時に、『これは特別なものになるぞ』と確信したんだ。時には、曲全体を聴かないと理解できないこともあるからね」

Richは、Beyonceに出会う以前からこのサンプリングのアイデアを持っており、この曲のファンファーレが持つ力強いサウンドを聴いた瞬間、彼は自分がとてつもなく熱いものを手にしたと直感したとのこと。


同時に、それを託すべきふさわしいアーティストが現れるまで、じっと待たなければならないとも感じていたという。

「あちこちに持ち込んだりはしなかった。時期が来る前にこの音源を公にしてしまったら、中途半端な理解で悪い印象を持たれる可能性もあったからね。だから、Beyonceから連絡が来るまで、ずっと大切に持っていたんだ」

そんな確信があったことから、Richはレコーディングの前日、その勝利を前祝いするためにクラブへと繰り出すことに。


しかしその結果、レコーディング当日は遅刻し、ひどい二日酔い状態げ現場に入り、しかもこのサンプリングに対するBeyonceの反応もいまいちだったという。

「彼女の顔は『うーん、どうかな。でも、とりあえずあなたについていくわ』っていう感じだった。少し説得が必要なのは分かっていた。当時の流行りとは全く違う音だったからね」

結果的にBeyonceはそのサンプルを気に入ったものの、Richが望んでもいなかった言葉を彼女が口にしたとのこと。

「アイデアは気に入ったわ。じゃあ、曲を書いて。2時間後に戻ってくるわ」
レコーディングを行う世界の歌姫Beyonce
Beyonce

Amerieの他、Mary J. BligeはAlicia Keysの楽曲を手がけてきたRichにとって、スタジオでの作業はお手のものだったものの、2時間でヒット曲を書き上げるのは彼にとっても困難だった条件。


しかし、前夜の不快な余韻が残る中、Richはヴァース(Aメロ、Bメロ)とフック(サビ)を書き上げ、トラックも制作し、楽器パートは自ら全て演奏。


そして大サビとなるブリッジの部分は、Beyonceのために残したものの、当初彼女はこの曲に合わせて何を書けばいいのかが分からなかったという。


当時の様子を、Beyonceは「The Guardian」のインタビューで次のようにコメント。

「あの時の私の格好は、とにかく酷かったのよ。何度も自分で『今の私、見た目がヤバいわね』って言ってたの。Kellyへの誕生日プレゼントを買いに出かけたかったんだけど、パパラッチに写真を撮られるのが嫌で、スタジオを離れられなかったのよ。上下バラバラな服を着て、髪もボサボサで、とにかくヤバい(Crazy)見た目だったの!するとRichが『それこそがフック(サビ)だ!』って言い出して。私は『はいはい、冗談でしょ』っていう感じだったけど、彼が『I'm looking so crazy right now(今の私、すごくヤバいわ)』と歌い始めたとき、『それ、最高にクールだわ!』って思ったの。この後に、あの『Uh-oh, uh-oh, you know』が生まれたのよ。あれこそが、みんなの耳に残るこの曲で一番キャッチーな部分になったわ」

その後Jay-Z(ジェイ・Z)のラップも加えられ、彼はわずか10分でレコーディングを終えたとのこと。


この時、Richはスタジオにいなかったものの、レコーディング・エンジニアはJay-Zの様子を次のように回想。

「Hov(Jay-Zのニックネーム)はあの曲をかなり気に入ってるぞ。トラックを流したら、彼は狂ったように喜んでた」
ブラック・ミュージック界のビッグ・カップルJay-ZとBeyonce
Jay-Z Beyonce

音楽界のトップに君臨する2人のアーティストから絶賛され、Rich自身もこのサンプリングに自信を持っていたものの、この曲がこれほどまでの巨大なヒットになるとは確信していなかったという。

「いや、あんな風になるとはね。だって、二日酔いで書いた曲なんだから」

"Crazy In Love"を収録したBeyonceのデビュー・アルバム『Dangerously In Love』は、最終的に2003年6月23日にリリース。


関係者たちの尽力が実り、このアルバムは全米アルバム・チャート1位を達成し、第46回グラミー賞「Best Contemporary R&B Album」を受賞。


Beyonce - Dangerously in Love



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