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サンプリングの定番曲「Remind Me」どころか、名曲「Forget Me Nots」ですら売れないと判断され、レーベルに見捨てられたPatrice Rushenの名盤『Straight from the Heart』

  • 執筆者の写真: R&B SOURCE
    R&B SOURCE
  • 15 時間前
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レーベルから「売れない」と言われたPatrice Rushenの名盤『Straight From The Heart』

レーベルが全く力を入れなかった『Straight From The Heart』


10代の頃から神童として知られ、米カリフォルニア州モントレーで毎年9月に開催されている、世界で最も長い歴史を持つジャズ・フェスティバル「Monterey Jazz Festival」のソロ部門で優勝したことをきっかけに、ジャズ・レーベルの[Prestige Records]と契約したPatrice Rushen。


'74年に、若干20歳という若さでデビュー・アルバム『Prelusion』をリリースし、同レーベルから3枚のアルバムを発表。


ジャズ界でもトップ・クラスのリスナーたちを容易に魅了したPatriceは、その後ヴォーカリストに転身するという前例のない方向転換を遂げ、[Elektra Records]と契約。


そして'82年、後の名盤として知られる『Straight From The Heart』を発表。


Patirce Rushen - Straight From The Heart

この作品は、Patriceにとって通算7作目のアルバムであり、[Elektra Records]からは4作目のリリース。


しかし、当初レーベルはこの作品をプロモーションする気が全くなかったという。


Patriceは、「Albumism」のインタビューで当時の様子を次のように回想。

「'Forget Me Nots'が入っていた『Straight From the Heart』には、'Number One'や'Remind Me'も収録されていた。結果的に、それらはどれも私を象徴する楽曲になったわ。でも、[Elektra Records]はこのアルバムを理解してくれなかった。彼らは『さて、これをどう扱えばいいのかわからないな』という反応で、私たちは本当にショックを受けたわ」

『Straight From The Heart』以前に[Elektra Records]から発表された『Patrice』『Pizzazz』『Posh』の3作は、いずれもチャートで一定の結果を残していただけに、レコード会社の判断には納得がいかなかったというPatrice。


そこで彼女は、この状況を変えるため、ある決断を下したという。

「私たちはちゃんと下調べをしていたのよ。クラブで何曲か流して、観客の反応も実際に見ていた。だから、『これから起きようとしていることに、どうしてここまで鈍感でいられるの?』と思ったのよ。そこで、限られた資金をかき集めて、3週間のインディペンデント・プロモーションを自分たちで買ったの。必要なのは『チャンス』だった。もし人々が気に入らなければ、無理に好きにさせることなんてできない。特にブラック・ミュージックのリスナーには、それは通用しないことは分かっていたから。私にとって、ブラック・ラジオは昔から本当に重要な存在だったわ。そして、私たちはこのチャンスを絶対に失いたくなかった。結果、人々はこの作品を愛してくれた。そしてアルバムは一気に広がっていったのよ」
"Forget Me Nots"、"Remind Me"などの名曲を残したPatrice Rushen
Patrice Rushen

なぜ「Remind Me」はシングル化されなかったのか?


Patrice Rushenが語ったところによると、[Elektra Records]はアルバム『Straight From The Heart』のみならず、彼女の最高傑作として聴き継がれるディスコ・クラシック「Forget Me Nots」対してさえ、十分なサポートを行わなかったという。


Patriceは、当時の心境を自身のウェブサイトにて次のようにコメント。

「'82年当時、'Forget Me Nots'は当時所属していたレコード会社からほとんどサポートを受けられなかったわ。そのことへの失望はもちろん、私たちが『きっと人々に響く』と信じていた他のヒット候補曲までもが十分に評価されなかったことは、本当に辛かった。そもそも、この音楽は人々に届くチャンスすら与えられるのだろうか。まずは聴いてもらい、人々自身に判断してもらう機会が必要だった。そこで、私とCharles Mims、Freddie Washington(『学生時代からPatriceと共に数々の楽曲を生み出してきたパートナー』)は、『この作品を世に広めよう』と決意し、限られた資金を出し合って、少なくともラジオ関係者やリスナーたちの耳に届くよう、3週間のインディペンデント・プロモーションを行ったの。言うまでもなく、オーディエンスは私たちが信じていたものを同じように信じてくれた。そして、それからこの曲には本当に多くの出来事が起こったわ。それは、レコード会社が『そんなことは起こるはずがない』と思っていた未来だった。長年にわたる皆さんのサポートに、心から感謝します」

Patrice Rushen - Forget Me Nots

そして、『Straight From The Heart』に収録された「もうひとつの傑作」といえば、「忘れられない恋の余韻」を歌った甘いラブ・ソングの「Remind Me」


アルバムからシングルカットされた「Breakout!」や「Number One」をも凌ぐインパクトを放ったこの曲は、その後、数えきれないほど多くのアーティストたちに引用される、サンプリング・クラシックとして語り継がれていくことに。


後の評価や影響力を考えると、「なぜこの曲は当時シングルカットされなかったのか?」という疑問が浮かぶものの、その背景には、「Forget Me Nots」にすら懐疑的だったレーベルの姿勢がやはり関係。


Patriceらが自腹で資金を投じ、3週間にわたる独立プロモーションを行ったのは、アルバム全体の命運を懸け、まずはリード曲「Forget Me Nots」を何とかラジオで流してもらうためであり、その結果、「Forget Me Nots」は彼女たちの狙い通りリスナーの間で火がつき、大ヒットを記録。


しかし、レーベル側は当初からアルバム自体を「売れない作品」と低く評価していたため、「Remind Me」を含む他の収録曲にまで十分なプロモーション予算やシングル化の機会が与えられることは、最後までなかったというのが、おそらく実情。


ただこの扱いこそが、後のヒップホップ世代にとって「宝探し」のように楽曲が発掘される伏線となり、長い年月を経ることにはなったものの、結果的にPatriceらの自信作は、時代を超えて確かな評価を受けることになったという流れ。


Partice Rushen - Remind Me



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