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  • 執筆者の写真R&B SOURCE編集部

Aaliyah|多くのラジオ局を困らせた"One in a Million"。その理由は「ある音」が入っていたから。


多くのラジオ局を困らせたというAaliyahの"One in a Million"

多くのラジオ局を困らせたという"One in a Million"


'96年に発表されたAaliyahのセカンド・アルバム『One in a Million』の表題曲"One in a Million"は、当時まだ無名だったTimbalandとMissy Elliottによって作られた、あの独特のドラム・ビートと高速ハイハットが耳に残る、ミステリアスな雰囲気を漂わせたラブ・ソング。


「あなたの愛は特別なもの、この愛はいつまでもずっと続いてく。


あなたは最高の気分を味わわせてくれる、1日中ずっと」


One in a Million

Aaliyah

'96年当時のR&Bシーンにおいて、そのあまりにも斬新なサウンドが大きな話題を集めた一方、この曲を聴いて困惑した人達が続出し、それが当時のラジオ関係者だったとのこと。


Aaliyahの従兄妹であり、またAaliyahが所属していた[Blackground Records]を運営しているJomo Hankersonが、「The FADER」の記事にて当時の様子を次のようにコメント。

「このシングルを発送した時、多くの抵抗があった。何人かのラジオ・ディレクターは、曲の中にCricketsが含まれていることを問題視していた(Cricketsとは、コオロギ、鈴虫の鳴き声。恐らくイントロで薄っすらと流れる音を指していると思います)。当時、シカゴのディレクターはCricketsの音が入ったレコードはプレイしないと言っていた」

※私達日本人にとって「虫の鳴き声」は、季節を感じさせる風物詩として、また癒しの音色として楽しむことが出来る一方、西洋人にとって虫の鳴き声は「雑音」にしか聞こえないらしく、"One in a Million"に含まれているCricketsは、ただの「ノイズ」と捉えられてしまったとのこと(虫の鳴き声を「声」として認識できるのは、日本人とポリネシア人だけという研究結果も)。



リミックスの制作を拒んだAaliyahのチーム


Cricketsの部分を除いても、ラジオ局は"One in a Million"の扱いに戸惑っていたようで、Jomo Hankersonは続けて次のようにコメント。

「どのカテゴリーにも当てはまらなかった。クラブのレコードだったが、バラードでもあった。低音が重かったが、巨大なポップ・レコードでもあった。あいにく、ラジオ関係者は"One in a Million"を聴いた時、この曲をどこにジャンルに置けばいいかを知りたがった」

この状況を見かねた"One in a Million"の流通元である[Atlantic Records]は、ラジオ向けにリミックスの制作を打診するも、Aaliyahのチームはこの提案を拒んだとのこと。

「[Atlantic Records]は、レコードをリミックスし、ラジオ向けのフレンドリーな曲に作り変える必要があると考えたが、私達はその提案を拒んだ。彼らがリミックスを実行しようとしていると聞いたので、スタジオからテープを取り出した。Pro Toolsが登場する前の当時は、音楽の行き先を実際にコントロールできた。2インチのリールがあれば、レコードを持っていたことと同じだった。そこで、2インチのリールとすべてのテープを入手して、誰も不正なリミックスを行わないようにした。私達は、オリジナル・バージョンのレコードにこだわったんだ」

結果的に、"One in a Million"はGinuwineを迎えたリミックス、またRodney Jerkinsが担当したリミックスも作られたものの、Aaliyahのチームがどれだけオリジナル・バージョンにこだわっていたか、その執念を感じさせるエピソードですね。


このこだわりが幸か不幸か、結果的に"One in a Million"は全米シングル・チャートTOP 100どころか、全米R&Bシングル・チャートでもTOP 100入りを果たすことは出来なかったものの、人々の記憶にはしっかりと残った名曲となりました。


One in a Million

Aaliyah



完成前の曲を聴いて涙したBrandy


Aaliyahのデビュー・アルバム『Age Ain't Nothing But a Number』は[Jive Records]からリリース。


そして、セカンド・アルバムとなった『One in a Million』は[Atlantic Records]からリリース。


レーベルを変更した理由は、『Age Ain't Nothing But a Number』のプロデューサーR. Kellyが、Aaliyahの年齢を偽って結婚をしようと企み、このプレイベートでのいざこざがその原因の1つとされており、Jomo Hankersonは業界はAaliyahを悪者扱いした。それがセカンド・アルバムへの移行を困難にしたと、2014年のラジオ・インタビューでコメント。


しかし、Aaliyahと契約した[Atlantic Records]の当時の副社長Craig Kallmanは、彼女と出会った時から他のアーティストとは異なる雰囲気を持っていたと、「VIBE.com」の記事にて次のようにコメント。

「Aaliyahが16歳の時に初めて会ったけど、電気が走ったような衝撃だった。彼女は信じられないほどカリスマ性を持ち、神秘的な雰囲気を纏っていた。もちろん彼女は美しく、最高の笑顔を持ち、素晴らしいスタイルのセンスも持っており、そして非常に大人びた雰囲気で、同時にとてもクールな印象も感じた。ファッションから音楽まで、最先端のものに取り入れており、彼女は素晴らしい美学を持っていたよ。また、この時点で彼女は自分がスターであるという認識を持っていたし、独特の口調、独自のボーカル・スタイルも持っていた。だから、彼女は全てを持ち合わせている、完璧なアーティスト・パッケージだったんだ。Aaliyahとサインする機会を得たことは非常に興奮した。なぜなら、彼女のようなアーティストは滅多にいないからね。私達は、[Atlantic Records]に彼女を連れてくることができて非常に幸運だったよ」

そしてAaliyah本人も、当時の心境を「Wax Poetics」の記事にて次のように回想。

「逆境に立ち向かったわ。私は立ち直らずに、クローゼットに隠れて『もうこれ以上はやりたくない』って言うことも出来た。でも、私は歌うことが大好きで、このトラブルが音楽を辞める理由にはならなかった。沢山のファンから支えてもらって、それが私を鼓舞し、この困難を乗り越えて強い人間になり、そして『One in a Million』を作るために全力を尽くすことが出来た」

とはいえ、R. Kellyとのスキャンダルが尾を引いたこともあり、『One in a Million』は制作当初から順風満帆とはいかず、私達はマルチ・プラチナを獲得したデビュー・アルバムを出していたが、Jermaine DupriとPuffyの関係を除いて、このアルバムにプロデューサーを集めるのが困難だったと、Jomo Hankersonは続けてコメント。


ちなみに、Aaliyahのチームが最初に声をかけたプロデューサーは、Vincent HerbertとCraig Kingの2人だったとのことで、「VIBE.com」の記事にてCraig Kingは次のように回想。

「Aaliyahのアルバムの予算が決まった後、彼女のチームが最初に声をかけたのがVincentと俺で、俺達が『One in a Million』を手がけた最初のグループだった。だから、俺達は自由にサウンドを作り込むことが出来たんだ。彼らは俺達にサウンドを構築するよう要求し、それに応えた。それはつまり、R. Kellyからの脱却でもあった」

この時Aaliyahは、Vincent Herbert, Craig Kingらと8曲ほど制作したようで、最終的に残った楽曲は、日本盤のボーナス・トラックとして収録された"No Days Go By"を含む、以下の4曲。


・Choosey Lover (Old School/New School)

・Got To Give It Up feat. Slick Rick

・Never Givin' Up feat. Tavarius Polk

・No Days Go By


この中の"Never Givin' Up"を仕上げようとしていた時、Craig Kingは偶然Brandyと遭遇し、この時のエピソードをCraig Kingは次のようにコメント。

「"Never Givin’ Up"をミックスしていたとき、BrandyとWanya(Boyz Ⅱ Men)に出くわしたんだ。彼らは『ここで何をしているの?』と尋ねてきて、『近くのスタジオでAaliyahの曲をミキシングしている』と言った。彼らはスタジオにやって来て、Brandyは『Aaliyahは今何に取り組んでいるの?聴きたい」と言ってきた。"Never Givin’ Up"を聴かせたら、Brandyの目が潤んだよ。そしてBrandyは『彼女はこれを完璧にやり遂げたわ、これがAaliyahの新しいサウンド?』と聞いてきたから、俺は『そうだよ、これがAaliyahの向かう場所さ』と答えた。その日の夜、『BrandyとWanyaがスタジオに来て、彼らは"Never Givin' Up"をとても気に入っていた』と、Aaliyahに電話したんだ」

Aaliyah

Never Givin' Up feat. Tavarius Polk



 当初Sean "Puffy" Combsを迎えて制作される予定だった『One in a Million』


Vincent HerbertとCraig Kingが『One in a Million』の骨格を作り、そして当初から『One in a Million』の制作に名乗りを上げていたSean "Puffy" Combsともセッションが行われ、AaliyahはトリニダードにあったSean "Puffy" Combsのスタジオで1週間作業するものの、予定通りに曲を仕上げることができず、そうこうしている間にJermaine Dupriとレコーディングをする為にアトランタへ向かわなくては行けなくなり、Sean "Puffy" Combsとの制作はそのまま終了。


結局、Sean "Puffy" Combsと制作した楽曲は1曲も残らず、Jermaine Dupriが手がけた"I Gotcha Back"がアルバムに収録されることに。


I Gotcha' Back

Aaliyah

『One in a Million』を新天地[Atlantic Records]で制作するにあたり、Aaliyahは当時のプレスリリースで、自身のサウンドを変えることに少し不安があると本音を漏らしていたものの、Aaliyahと[Atlantic Records]の副社長Craig Kallmanは、「Aaliyahの個性的な芸術性を定義づけるサウンドを見つける」という最終目標を掲げていたことから、あまり知られていない革新的なプロデューサーを見つけることが重要であると結論付け、様々な若手プロデューサーを探し続けていく中で、ある日Craig Kallmanの前に現れたのが、『One in a Million』を成功に導くことになる、若かりし頃のTimbaland。


この時の様子を、「VIBE.com」の記事にてCraig Kallmanは次のようにコメント。

「ある日、この若者がやって来た。彼の名前はTimothy Mosley(Timbaland)。彼が演奏したビートは、本当に他の誰のサウンドにも似ていなく、非常に独特でダイナミックな特性を持っていた。だから私はAaliyahに電話をかけ、『この人と会うべきだよ。彼の名前はTimbalandで、新しいプロデューサーだ。DeVante Swingのソングライティング・キャンプから出てきたんだけど、本当に特別なものを作り出す為のきっかけになると思うんだ』と伝えた。私達はTimbaland, Aaliyah, そしてMissy Elliottらを一緒にして、彼らは直ぐに意気投合した。化学反応が信じられないほどで、アルバムの制作は本当に上手くいったんだ」

またAaliyahも、TimbalandとMissy Elliottと制作した時の様子を、「Wax Poetics」のインタビューにて次のように回想。

「当初TimとMissyは、私が彼らの曲を気に入るかどうか半信半疑だったみたいなんだけど、それは無駄な心配だと思ったわ。だって彼らのサウンドは他とは違っていてユニークで、それが私にとって魅力的だったのよ。一緒に仕事をする前に彼らと電話で話して、自分の希望を伝えたの。『私がストリートのイメージを持っていることは知っていると思うけど、そこにはセクシーさがあるから、私の曲でこのイメージを補完したいの』ってね。この要望を伝えたら、もう何も言う必要が無かったわ。彼らが私に持ってきた全ての楽曲が、本当に最高にだった」

結果的に、TimbalandとMissy Elliottという、当時ほぼ実績の無かった2人の新人がアルバム収録曲の過半数を手がけ、後世へと聴き継がれる名盤『One in a Million』が完成することに。


以下がTimbaland, Missy Elliottのタッグが手がけた楽曲。


・Beats 4 da Streets (Intro)

・Hot Like Fire

・One in a Million

・If Your Girl Only Knew

・4 Page Letter

・Heartbroken

・Never Comin' Back

・Ladies in da House

Came to Give Love" (Outro)


Heartbroken

Aaliyah



「本物の彼女を保ちたかった」


様々な難題をクリアして発表されたアルバム『One in a Million』は、全世界で800万枚以上のセールスを記録する歴史的大名盤に。


そんな大ヒット・アルバムの内容とあわせて強い印象を与えたのが、Aaliyahがシックに佇むアルバムのジャケット。


このアートワークは、Aaliyahの出身地でもある米ニューヨークの地下鉄のプラットホームにて撮影。

『One in a Milion』のアートワークを撮影したのは、これまでにPrince, Erykah Badu, Janelle Monaeらの撮影を担当してきた、ハイチ出身のカメラマンMarc Baptiste。


当時、Marc Baptisteは10代の少女をターゲットにした雑誌「Seventeen」のカメラマンを担当しており、「Seventeen」の撮影でAaliyahと知り合い、『One in a Million』のアートワークもMarc Baptisteが担当することに。

『One in a Million』のジャケットを撮影した当時の様子を、Marc Baptisteは「VIBE.com」の記事に次のようにコメント。

「本物の彼女を保ちたかった。彼女がブルックリンで生まれ、デトロイトで育ったという事実から、聴衆にもっと親しみを感じてもらえるように、シックでありながらストリートっぽい雰囲気を与えたかった。彼女の為にベントレーを持ってくるようなことはしたくなかったんだ。私はストリート・シックを保ち、彼女の美しさをプレイしたかった。アートワークはキャナル・ストリートの地下鉄駅で撮影して、地下鉄での撮影は私達の最後の組み立ての1つだった。当時、人々は午後9時以降はキャナル・ストリートやハワード・ストリートに行かず、キャナル・ストリートは午後9時頃はとても静かだった。アルバムのショットは、午後10時30分か午後11時くらいの、本当に遅い時間に行ったんだ」


'90年代当時の記録を更新


Aaliyahが不運な飛行機事故で2001年に亡くなってから2021年で丸20年。


遺族からの賛同は得られなかったものの、没後20年という節目の2021年に、Aaliyahの作品がデジタルでストリーミングが開始(これまでにストリーミングが解禁されていたのは、デビュー・アルバム『Age Ain't Nothing But a Number』のみ)。


まず最初にストリーミングが開始されたのが『One in a Million』で、ストリーミング解禁直後に米国のiTMSでは総合アルバム・チャートでトップ3に入るほど好調なセールスを記録し、彼女の偉大さを裏付けるかのように世界各国でAaliyahの人気が再燃。


そして、『One in a Million』が'90年代当時の記録を更新することに。


『One in a Million』は、ストリーミング開始後に全米アルバム・チャートに再エントリー。


'90年代当時の全米アルバム・チャートにおいて、18位という記録が最高位だったものの、2021年9月に当時の最高記録を更新する10位まで上昇し、遂にトップ10入りを果たす快挙を達成。


Billboard 200 week of September 4, 2021

1. Sour Olivia - Rodrigo

2. Trip At Knight - Trippie Redd

3. SoulFly - Rod Wave

4. Planet Her - Doja Cat

5. Solar Power - Lorde

6. Happier Than Ever - Billie Eilish

7. F*ck Love - The Kid LAROI

8. The Chaos Chapter : FREEZE - TOMORROW X TOGETHER

9. Dangerous: The Double Album - Morgan Wallen

10. One in a Million - Aaliyah


全米アルバム・チャート

One in a Million (1996)

最高18位


One in a Million (2021)

最高10位



あの2人が"One in a Million"を盗作?


Fifth Harmonyのメンバーとしてもお馴染みのNormaniと、Bruno Marsとの共演で知られる女性ラッパーのCardi Bが共演した、2021年リリースのシングル"Wild Side"。


この曲、冒頭のベースラインからAaliyahの"One in a Million"に酷似した雰囲気で、各所から「"One in a Million"の盗作では?」という声があがっているものの、Normaniのチームは"One in a Million"をサンプリングしていないと主張。


一方、Aaliyahが生前所属していたレーベル[Blackground Records]の弁護士は、この曲は"One in a Million"のサンプリングがクリアされていないと反論。


しかし、Aaliyahの叔父であり、[Blackground Records]を立ち上げたBarry Hankersonは、"Wilde Side"に対して「TMZ」の記事にて次のようにコメント。

「私の姪だったAaliyahは、夢を叶えるために音楽やエンターテイメントのキャリアを追求している若い女性をいつも励ましていた。若い黒人女性が、Aaliyahの音楽とスタイルを見習おうと選んだならば、Aaliyah自身も喜んでサポートしたと思う。私は、今も存在し続けるAaliyahの素晴らしいパワーに光を当てるものを遮るつもりはない。だから、Normaniの今回の曲とキャリアの成功を祈っている。神のご加護を、Aaliyahも喜んでくれると思う」

また、"One in a Million"を手がけたプロデューサーのTimbalandも、自身のInstagramを通じて今回の"Wild Side"の件を承認していました。


Normani

Wild Side feat. Cardi B



"One in a Million"をサンプリングするアーティスト達


アルバム『One in a Million』からシングル・リリースされたのは以下の6曲。


・If Your Girl Only Knew

・Got to Give It Up feat. Slick Rick

・One in a Million

・4 Page Letter

・Hot Like Fire

・The One I Gave My Heart To


この内、全米シングル・チャートでトップ100入りを果たしたのは、"If Your Girl Only Knew"と"The One I Gave My Heart To"の2曲のみ。


リリース当時のシングル・チャートこそ振るわなかったものの、恐らくAaliyahの楽曲の中で最もサンプリング/カバーされているのはこの"One in a Million"と言えるほど、記録よりも記憶に残ったAaliyahの名曲で、これまでに数多くのアーティスト達が"One in a Million"にオマージュを捧げた楽曲を発表しています。

 

Tink

Million


Shay Bella

One in a Million


David Correy

One in a Billion



Smoke E. Digglera

One in a Million


Jacquees

One in a Million


Von

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