元々はUsherの為に用意されていた"Get Right"
Maceo and the Macks"Soul Power 74"の、あの印象的なサックス・パートを絶妙にサンプリングした"Get Right"は、Jennifer Lopezが2005年に発表した通算4枚目のスタジオ・アルバム『Rebirth』からのリード・シングル。
Jennifer Lopez
Get Right
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「The New York Times」が「彼女の最も記憶に残る曲」と称賛したこの"Get Right"は、Amerieの仕掛け人Rich Harrisonと、Mary J. Blige"Real Love"を手掛けたCory Rooneyの2人がプロデュースを担当。
Jennifer Lopezのキャリアを代表する2000年代R&Bの名曲ですが、この曲は元々Usherの為に作られた楽曲でした。
"Get Right"が発表される前の2003年〜2004年、当時Usherはアルバム『Confessions』の制作に着手しており、同アルバムの制作メンバーの1人としてRich Harrisonを迎えたUsher。
『Confessions』でRich Harrisonが制作を請け負った曲は、最終的に"Take Your Hand"の1曲のみだったものの、同アルバム用に制作された"Ride"という楽曲は、後にJennifer Lopezが歌う"Get Right"と同じトラック。
Usher
Ride
この"Ride"は、プロモ盤の12インチ・シングルでのみ形になっており、しかしアルバム『Confessions』には収録されず、Usherとしては未発表曲のような扱いだったと思われるものの、一応はUsher名義で形になっているこの"Ride"と全く同じトラックを使用した楽曲を、Jennifer Lopezが"Get Right"として発表したことにUsherは憤慨し、「Fox News」が報じたところによると、Usherは"Get Right"について「あの曲は嫌いだね。俺はあの曲の権利のいくらかをもらうべきだ」と語っていたとのこと。
Amerieのしわ寄せを受けたUsher
この"Get Right"に関するいざこざには、直接的では無いもののある別のアーティストも絡んでおり、それが女性シンガーのAmerie。
Amerie成功の立役者であるRich Harrisonは、Usherのアルバム『Confessions』の為に"Ride"を用意したものの、Usher自身がこの曲の扱いに困惑していたとか。
そして同じ時期に、Jennifer Lopezは後にAmerieが歌うことになる"1 Thing"に興味を持っており(この曲もRich Harrisonがプロデュース)、2005年リリースのアルバム『Rebirth』に"1 Thing"を収録したいと考えていたとのこと。
しかし、Jennifer Lopezの望みも虚しく、結果的に"1 Thing"はAmerieのシングルとしてリリースされてしまい、Usherがあまり没入できなかったとされる"Ride"を、"1 Thing"の穴埋めとしてJennifer Lopezに"Get Right"として提供。
しかし、原曲を歌ったUsherに無断でこれらのやり取りが行われてしまった為、Usherの怒りを買ってしまうことに。
Amerie
1 Thing
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この1件でUsherとJennifer Lopezのビーフが勃発し、一時は険悪な関係になったものの、2019年公開のJennifer Lopez主演映画「Hustlers」にて両者は共演しており、現在の2人は良好な関係を保っているようです。