Diddyの圧力、Michael Jacksonの先見の明。そしてChante MooreよりもJennifer Lopezが優先された、名曲「If You Had My Love」誕生の残酷な舞台裏。
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- 22 時間前
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Chante Mooreの曲を盗作して生まれた「If You Had My Love」
'93年に映画『Nurses on the Line: The Crash of Flight 7』に出演したことをきっかけに、女優としてのキャリアを本格化させたJennifer Lopez(ジェニファー・ロペス)は、シンガーソングライターSelena Quintanilla-Perezの生涯を描いた'97年公開の伝記映画『Selena』で主演に抜擢。
この作品への出演を機に、彼女は音楽活動を本格的に志すようになり、当時の心境をJenniferは次のようにコメント。
「私はもともと舞台のミュージカルからキャリアをスタートさせたの。そしてこの映画に出演したことで、歌ったり踊ったりすることがどれほど恋しかったかを思い出したわ」
『Selena』の撮影後、彼女は自身のラテン系としてのルーツを強く意識するようになり、スペイン語のデモ音源を録音。
この時に制作した楽曲を、当時のマネージャーBenny Medinaが[Sony Music]傘下の[Work Group]へ送り、レーベルはJenniferと契約。
当時レーベルのトップだったMariah Careyの元夫Tommy Mottola(トミー・モトーラ)は、彼女に英語で歌うことを勧め、デビュー・アルバム『On The 6』の制作がスタート。
そしてアルバムの制作中、ある音源を耳にしたのが、当時Jenniferと交際していたSean "Puffy" Combs(ショーン・"パフィ"・コムズ)。

Puffyが耳にした音源とは、Chante Moore(シャンテ・ムーア)がRodney Jerkins(ロドニー・ジャーキンス)をプロデューサーに迎えた「If I Gave Love」
Puffyはこの曲を、なんとしても恋人であるJenniferに歌わせたかったという。
しかし、すでにこの曲はChanteへの提供が約束されていた楽曲であったことから、RodneyはPuffyの要求を一度は拒否。
しかし、Puffyの強い要求に押されたRodneyは、ほぼ同じアレンジ、同じコード進行、酷似したメロディフックを持つ「If You Had My Love」を、Jenniferのために作ってしまうことに。
この一件に関して、Chanteは「NPR News & Notes」のインタビューで次のようにコメント。
「Rodney Jerkinsが私のために'If I Gave Love'という素晴らしい曲を書いてくれたの。 それで、Jennifer Lopezの曲は'If You Had My Love'だったでしょう。彼は彼女のために同じ曲を書いたのよ。聞いた話では、Puff Daddyがスタジオに入ってきて私の曲を聴き、『その曲が欲しい』と言ったらしいの。するとRodneyは『でも、その曲はもう決まっているんだ。Chanteのために書いた曲だから』と答えたみたい。それでもPuffは『その曲が欲しい』と言い続けたの。だからRodneyは、本当にほとんど同じ曲を書いたのよ」
Chante Moore - If I Gave Love
「If I Gave Love」は、Chanteのアルバム『This Moment Is Mine』に収録された楽曲。
このアルバムからは、Jam & Lewisプロデュースの「Chante's Got A Man」がファースト・シングルとしてリリースされ、この曲に続くセカンド・シングルとしてリリース予定だった楽曲が「If I Gave Love」
Chante Moore - This Moment Is Mine
しかし、Jenniferのデビューを支えた[Sony/Work Group]は、当時の音楽業界でも圧倒的な影響力を持つ巨大レーベル。
加えて、映画スターからポップ・シンガーへの転身は成功が保証された挑戦ではなく、ひとたび失敗すれば女優としてのキャリアにも傷が付く可能性があったため、Jenniferのデビュー・プロジェクトには莫大な予算と強力なプロモーション体制が投入。
Chanteのアルバムは'99年5月25日発売だったのに対し、Jenniferのデビュー曲「If You Had My Love」は'99年5月4日にいち早くシングルとしてリリースされ、そして見事全米シングル・チャート1位という快挙を達成。
この結果を受けてChante側は、同じような曲でJenniferの巨大なプロモーションと真っ向から戦っても勝ち目がないと判断し、シングル化を諦めて身を引くことに。
しかし、この判断に後悔があったと、Chanteは「We Sound Crazy」のインタビューで次のように回想。
「当時、Jennifer側には巨大なマシーンがついていたから、私たちはシングル化を諦めてしまった。でも、私たちは引き下がるべきじゃなかった。弱気にならずに、強気にリリースして勝負に出るべきだったのよ」
そしてChanteへ裏切りとも取れる行動をとってしまったRodneyは、「Halftime Chat」のインタビューで、この件に関して次のようにコメント。
「当時の俺はまだ若くて、エゴに溢れていて、とにかくヒットを出すこと、ビジネスを成立させることしか頭になかった。Diddyから『あの曲が欲しい』と強硬に迫られた時、同じような曲を作ってJenniferに渡すことが『スマートなビジネス』だと勘違いしてしまったんだ。でも、それはChanteに対するリスペクトを欠いた行為だった。後になって彼女に会い、本当に申し訳なかったと直接謝罪したよ」

Michael Jacksonも気に入ってしまった「If You Had My Love」
デビュー・アルバム『On The 6』の制作中、数多くの候補曲を聴いていたJennifer Lopez。
そして「If You Had My Love」を初めて聴いた瞬間について、彼女は『Billboard』のインタビューで次のように回想。
「いろいろな曲を聴かせてもらって、その中から自分の好きな曲を選んでいたの。幸運なことに、私は良いポップ・ミュージックを聴き分ける耳を持っていたと思う。'If You Had My Love'を初めて聴いた瞬間、『これ大好き!絶対に歌いたい!』って思ったの」
そして、この曲のトラックを作ったRodney Jerkinsが、この曲のソングライティングを担当したCory Rooney(コリー・ルーニー)、そしてTommy Mottolaに音源を送ったところ、その日彼らはMichael Jackson(マイケル・ジャクソン)と一緒にオフィスにいて、音源を聴いていたという。

この時の状況を、Coryは次のようにコメント。
「Michaelが何曲か聴いていて、そのトラックに差しかかった時、僕は心の中で『頼むから気に入らないでくれ…』と祈っていた。ところがMichaelは、『おお、この曲いいね』と言い始めたんだ。気に入ってくれたこと自体は嬉しかった。でも僕は、この曲はMichael向きじゃなくて、Jenniferにぴったりの曲だと思っていた。だから内心ヒヤヒヤしていたんだ。Michaelは『この曲いいね』と言った後、僕を見てこう続けたんだ。『でも、僕向きの曲じゃないのかな。だけど、これは誰かにとって素晴らしいレコードになるよ』ってね。その瞬間、僕は心の中で静かにガッツポーズをしたよ。そして僕らはすぐにスタジオへ戻った。LaShawn Danielsと僕がスタジオにいて、その日にJenniferも合流した。そして歌詞を書き始めたんだ」




































