閉店前のショッピング・モールに行くため、Whitney Houstonは「I'm Your Baby Tonight」を一発録り。
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強烈な批判から生まれた「I'm Your Baby Tonight」
デビュー・アルバム『Whitney Houston』、そしてセカンド・アルバム『Whitney』が世界的な大ヒットを記録したWhitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)。
彼女が所属していた[Arista Records]のトップClive Davisは、Whitneyを「白人層にも受け入れられやすい、洗練されたポップ・プリンセス」として売り出す戦略を徹底。

しかしこれに対し、黒人コミュニティやブラック・メディアから不満が噴出。
「白人に媚びている」「R&Bやソウルのルーツを捨てた」といった批判が飛び交い、一部の黒人向けラジオ局では、彼女の楽曲をボイコットする動きにまで発展。
そんなWhitneyへの批判がピークに達するきっかけとなったのが、'89年の「Soul Train Music Awards」
黒人音楽の祭典として知られるこの授賞式でWhitneyの名前が呼ばれると、客席から激しいブーイングが巻き起こったという。
さらに一部のファンからは、「白っぽいやつ」を意味する「Whitey Houston(ホワイティ・ヒューストン)」と揶揄されるなど、彼女に対する厳しい反発もあったとのこと。
ゴスペルやR&Bをルーツに持つWhitneyはこの一件で深く傷つき、「黒人層の信頼を取り戻さなければならない」と強く決意。
このブーイングの夜、彼女は後に夫となるBobby Brownと出会い、彼が牽引していた当時の最先端のサウンド「ニュー・ジャック・スウィング」に強い興味を示すことに。

次のアルバムでは、これまでのように操り人形のようにはならないと決心したWhitneyは、次作となる『I'm Your Baby Tonight』で、初めて自らエグゼクティブ・プロデューサーに就任。
そして恩師Cliveを説得し、当時Bobbyらのプロデュースで圧倒的な支持を得ていたBabyface(ベイビーフェイス)とL.A. Reid(L.A. リード)を起用して制作したのが、「I'm Your Baby Tonight」
Whitney Houston - I'm Your Baby Tonight
ショッピング・モールに行きたくて、レコーディングは一発OK
この曲で初めてWhitney Houstonとタッグを組んだBabyfaceとL.A. Reid。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったBabyfaceらは、初めて天下のWhitneyを迎えるにあたり、彼らの実力を証明するため、また彼女の歌唱力を試すために「わざと音程の上下が激しく、リズムも複雑で、歌いこなすのが最も難しい曲」としてこの曲を作り上げたのこと。

しかしレコーディング当日、Whitneyの頭の中は「歌うこと」よりも、「早くショッピングモールに買い物に行きたい」という思いでいっぱいだったという。
さらに、ショッピング・モールは1時間後に閉店してしまう状況だったため、Whitneyはマイクの前に立つと、主旋律からコーラス、ブリッジに至るまで、すべてのボーカル・パートをほぼ「一発(ワンテイク)」で歌い上げ、レコーディングの全工程をわずか1時間で完璧にクリアしてしまったとのこと。
BabyfaceとL.A. Reidは当初、この曲のレコーディングには数日かかると予測していたため、あまりの早さに驚きを隠せなかったという。
そんな驚愕のエピソードを残した「I'm Your Baby Tonight」は、全米シングル・チャート1位を達成し、また第33回グラミー賞「Best Pop Vocal Performance, Female」にノミネートされるなど、Whitneyのキャリアを代表する1曲。




































