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  • 執筆者の写真R&B SOURCE編集部

Janet Jackson|J・ディラに「盗まれた」と言われ、デズリーに訴えられた、曰く付きのグラミー受賞曲"Got 'Til It's Gone"。

更新日:3月21日


うつ病の最中に制作された『The Velvet Rope』


'96年、Janet Jacksonは当時所属していた[Virgin Records]と、アルバム4枚分の契約として推定8,000万ドル(約85億円)の提示にサインし大きな話題に。


この金額は、兄Michael JacksonやMadonnnaの契約金を上回る当時の史上最高額(しかもMichael Jacksonの契約はアルバム6枚分という内容に加え、映画出演なども含めた内容の契約金)。


間違いなく当時の音楽シーンの頂点にまで上り詰めたJanet Jacksonは、その後自身6枚目となるスタジオ・アルバム『The Velvet Rope』制作に着手するも、当時彼女は幼少期の「イジメ」などが原因でうつ病に苦しんでおり、後に とても悲しく、私は非常に弱っていたわ。絶望的で無力だと感じたり、私に向かって壁が迫ってきていると感じたこともあったと、「Newsweek」の記事に当時の心境を告白。


また、Janet Jacksonの躍進を支えた最大のパートナーであるプロデューサーのJam & Lewisも、レコーディング中の様子などから彼女がうつ病を患っていることに気づいており、前作『janet.』のレコーディングは約6ヶ月で済んだのに対し、『The Velvet Rope』は断続的なレコーディングにより約2年間かかり、その理由は他でもないJanet Jacksonの心の病が原因。


Janet Jacksonは「身体の細胞が感情を持っている」と信じていたこともあってか、コーヒー浣腸を使って体内の悲しい細胞を外に出そうと試みていたほどだそうで、Janet Jacksonにとっては天国と地獄を味わった時期。


そんな複雑な精神状況に陥った最中に制作された『The Velvet Rope』は、あからさまな性的表現、人間関係の複雑さ、トラウマ体験などを歌った内容が主だった為、リスナーの評価は賛否両論分かれたものの、当のJanet Jackson本人はこの作品について次のようにコメント。

これらの歌を歌うことは、かつて私が埋めた痛みを掘り起こすことを意味していた。それはとても辛く、時には混乱もしたわ。でも、私はやらなければいけなかった。私は、自分の人生を通じて痛みを埋めてきた。私のセラピーは、自分の経験に基づいた内容で歌を書くこと。だから、自分が経験した出来事をいつも歌にしてる。『The Velvet Rope』を出したときは誹謗中傷もあったけど、自分が口にする全ての言葉に正直でいたかったわ」

The Velvet Rope

Janet Jackson



「彼らに盗まれた」


『The Velvet Rope』から以下の計6曲がシングル・リリースされ、ファースト・シングルとして発表されたのが、ラッパーQ-Tipとフォーク・シンガーJoni Mitchellを迎えた"Got 'Til It's Gone"。


・Got 'Til It's Gone feat. Q-Tip, Joni Mitchell

・Together Again

・I Get Lonely feat. Blackstreet

・Go Deep

・You

・Every Time


公開されたMVでは、Janet Jacksonが南アフリカのアパルトヘイト時代のラウンジ・シンガーを演じ、その内容は「'60年代〜'70年代のアフリカの文化の融合に触発され、人種隔離と優越主義に反対した状況」を描いており、イギリスの音楽雑誌「Blues & Soul」は本物の力作だ。南アフリカのタウンシップでのパーティーのイメージを巧みに伝えていると絶賛。


そして、このMVは第40回グラミー賞で「Best Short Form Music Video」を見事受賞。


Got 'Til It's Gone feat. Q-Tip, Joni Mitchell

Janet Jackson

Janet Jacksonが、Joni Mitchellのフォーク要素と、Q-Tipのラップ・バースを組み合わせた理由を、この2人には共通点があり、それは彼らが書くものは詩であると述べたこの曲は、フューチャリングで参加したJoni Mitchellの名曲"Big Yellow Taxi"をサンプリングし、Janet JacksonとJam & Lewisの黄金タッグがプロデュースを担当。

Janet Jackson, そしてプロデューサーのJimmy JamもJoni Mitchellの大ファンとのことで、この曲を制作する前の様子を、「Rolling Stone」のインタビューにてJimmy Jamは次のように回想。

「私はJoni Mitchellの"Big Yellow Taxi"が大好きでした。この曲は、私が若かった時のローラースケートの曲だったからです。まず最初にしたことは、Joniに電話して『あなたの曲をサンプリングするつもりです。大丈夫ですか?』と伝えたことでした。その時点では、人々がこのアイデアを受け入れるかどうかは分かりませんでした。サンプリングを好む人もいれば、好まない人もいました。そしたら彼女は『どのようになるかを楽しみにしています』と言ってきました」

ちなみに、この"Got 'Til It's Gone"にはインスピレーション源となる楽曲が存在し、それがファンク・バンドThe Brand New Heaviesの"Sometimes (Ummah Remix) feat. Q-Tip"で、この曲に関してJimmy Jamは次のようにコメント。

「J Dillaが作ったThe Brand New Heavyのリミックスに、私はとても惹かれました。このリミックスと同じような雰囲気の曲をJanetと作り出し、そこにJoni Mitchellのサンプルを加えれば、異なる時代の要素を取り入れた魔法の組み合わせになると思いました」

Sometimes (Ummah Remix) feat. Q-Tip

The Brand New Heavies

"Sometimes"のリミックスを担当したUmmahは、ヒップホップ・グループSlum VillageのメンバーJ Dilla(Jay Dee), そしてA Tribe Called QuestのメンバーQ-Tip, Ali Shaheed Muhammadの3人が結成した、Michael Jackson, Whitney Houston, Mint Conditionらのリミックスも行ったプロデューサー・ユニット。


Jimmy Jamは、J Dillaのリミックスから"Got 'Til It's Gone"のヒントを得たと公言したものの、この主張を真っ向から否定したのがJ Dilla本人で、彼の音楽性に迫った書籍「J Dilla's Donuts」の中で、J Dillaは次のようにコメント。

「彼らにアイデアを盗まれた」

J Dillaの言い分としては、"Got 'Til It's Gone"のアイデアは自分が考案したものの、それをJam & Lewisが盗んだと主張し、そしてプロデューサー・クレジットに自分の名前が記されていないことに憤りを感じてしまったようで、この扱いに対する報復として、その名も"Got 'Til It's Gone (Ummah Jay Dee's Revenge Mix)"を発表することに。


Got 'Til It's Gone feat. Q-Tip, Joni Mitchell (Ummah Jay Dee's Revenge Mix)

Janet Jackson



Des'reeに訴えられた"Got 'Til It's Gone"


J Dilla本人の告発であると同時に、「復讐」の意味を込めたリミックスを発表したことから、真実は定かではないものの、ある程度信憑性は高いと思えるエピソードですが、実はJ Dillaでは無い別の人物が、"Got 'Til It's Gone"に対して訴訟を提起しており、それが"You Gotta Be"や"Life"のヒットで知られる女性シンガーのDes'ree。


彼女の訴えは、'92年に自身が発表したシングル"Feel So High"と"Got 'Til It's Gone"の雰囲気が酷似しているという内容で、結果的にDes'reeの訴えは認められ、この曲の出版ロイヤリティ25%、約200万ポンド(約4億3,000万円)を受け取ることに。


当のDes'ree本人は、Janet Jacksonにお金を要求することが目的では無かったと、「The Irish Times」のインタビューにコメント。

「彼女からお金を得ることが目的ではなく、この訴えは純粋に正義のためであり、自分の作品から借りたことを彼女に認めさせ、クレジットを与えてほしかった」

曲調こそ違うものの、"Feel So High"で「Cause I feel so high away, I'm reaching out for your sky」と歌う箇所は、"Got 'Til It's Gone"のファースト・バース「Have a feeling, now believing that you Were the one I was meant to be with」のメロディ・ラインに、確かに似ていますね。


Feel So High

Des'ree


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