プロデューサーの判断で、当初封印されていたBobby Valentinoの「Tell Me」。「アジアっぽ過ぎて、誰も気に入らない」


「アジア系のアーティストとかを探さないとダメかもな」
Bobby Valentinoのデビュー・アルバムに収録され、「Slow Down」に次ぐセカンド・シングルとしてリリースされた「Tell Me」
この曲は、中国映画『HERO』のサウンドトラックに収録された、Tan Dunによる中国的な壮大なスケールのオーケストラ「Yearning For Peace」をサンプリング。
Tan Dun - Yearning For Peace
プロデュースを担当したのは、Tamia「So Into You」、Sisqo「Thong Song」などを手がけたTim & Bob。
しかし、この曲が完成した当初、これまでのR&Bとはあまりにも異なる作風だったことから、プロデューサー自身がしばらく封印していたという。
当時の状況を、プロデューサーのTim Kelleyは「Georgia Muscle Films」のインタビューで次のように回想。
「俺はゾーンに入って作っていたんだよ。でも、作り終わった後にある疑問を感じてさ。『これ、誰が歌うんだ?次の曲をやろう、だってこんなの誰も気に入らないよ』って思ったんだ。冗談抜きで本当の話、自分では『俺は好きだけど、誰も気に入ってくれないだろうな』って思ったんだよ。だから長い間、誰にも聴かせなかった。たまに相方のBob Robinsonに聴かせると、彼は『これヤバい音だな!』って言ってくれたんだけど、『でもアジア系のアーティストとかを探さないとダメかもな』みたいな感じにもなってね。俺も『分かってるよ、だってアジアっぽすぎるサウンドになっちゃったからさ』って返したんだ。だから『よし、これは一旦しまっておこう』ってなったんだ。でも、Bobby Valentinoは俺たちのレーベルのアーティストだったから、自由に実験的なことができると思い、彼で試してみたんだ。それに当時、Lil Wayneもめちゃくちゃ勢いがあったから、彼に客演を頼んだんだよ。Lil Wayneがこの曲を聴いた時、『これは絶対に俺もやらなきゃダメだろ』って言ってくれてさ。Bobbyはうちのアーティストだから、俺たちは何でもやりたい放題試すことができた。だから思い切ってやってみたんだよ。それで、俺とBobが10分くらいでと曲を書き上げたんだ」
Bobby Valentino - Tell Me
当時のTim & Bobは、Bobbyのソロ・デビュー作を手がける一方、[Def Jam]を通じて自身のレーベルを立ち上げる計画を進めていたという。
そんな中、[Def Jam]を率いていたLyor Cohenがレーベルを離れ、後任としてL.A. Reidが就任。
Lyorは、[Def Jam]の社長に就任後、Run-DMC、LL Cool J、Public Enemyなど、ヒップホップをメインストリームへ押し上げたアーティストたちを支えた人物。
これに伴い、Lyorと親交の深かったTim & Bobは、彼の移籍先である[Warner Music Group]についていくことも考えていたとのこと。
しかしその際、TimはL.A.から次のように告げられたという。
「あの2曲は置いていってくれ。どうしてもあの曲が必要なんだ」
あの2曲とは、Bobbyのキャリアを決定づけることになる「Slow Down」と「Tell Me」
そして最終的にTim & Bobがビジネス・パートナーとして選んだのが、かねてから親交のあったLudacris。
Ludacrisは、L.A.による新体制のもとでも[Def Jam]に残ることになり、彼が率いる[DTP]も[Def Jam/Island Def Jam]との契約関係を維持。
そして、Tim & BobはLudacrisから[DTP]のR&B部門を任され、またL.A. Reidから「あの2曲は置いていってくれ」と求められたこともあり、結果的に[Def Jam/Island Def Jam]との関係を続けることに。
こうしてTim & BobはLudacrisと正式に組み、彼らはBobbyのアルバムでエグゼクティブ・プロデューサーを担当。




































