2Pacを魅了した、Mistaの「Blackberry Molasses」


2Pacのお気に入りだったというMistaの「Blackberry Molasses」
2017年に公開された、2Pacの壮絶な人生を描いた映画『All Eyez On Me』
映画の終盤、ラスベガスでMike Tysonのボクシング試合を観戦した後、Suge Knightが運転するBMWに乗り込んだ2Pac。

そしてその車内で、ある1曲をカーステレオから再生するシーンが描かれており、それがMistaの「Blackberry Molasses」
Mistaは、「Slow Down」「Tell Me」などのヒットで知られるBobby Valentinoが、まだ10代だった頃に在籍していたR&Bグループ。
そしてこの曲は、TLC「Waterfalls」を手がけたことで知られる、Organized Noizeがプロデュースを担当したMistaの代表曲。
Mista - Blackberry Molasses
この曲に対して、Sugeは劇中で次のように発言。
「このクソみたいな曲を消せ。俺たちは[Death Row]だぞ」
これに対して、2Pacは次のように返答。
「こっちにはヤバいR&Bがあるんだよ!これはゲットー・ゴスペルだぜ」
劇中では、2Pacが射殺される直前にこの曲を聴く場面が描かれていることから、「2Pacが生前最後に聴いていた曲」として知られるように。
一方で、実際に2Pacが射殺された'96年9月7日の夜、彼がこの曲を聴いていたことを裏付ける確かな証拠は確認されておらず。
しかし、OutKastのBig Boiも、2Pacがこの曲を繰り返し聴いていたという話を紹介するなど、2Pacが「Blackberry Molasses」を気に入っていたことは事実。
「Blackberry Molasses」とは、直訳すると「ブラックベリーの糖蜜」
「Molasses」は、砂糖の精製過程で残る黒褐色で粘り気の強いシロップを指し、また非常に粘り気が強く、手につくとなかなか取れないことから、おそらく「人生の重荷」「どん底の生活」を連想させる表現。
つまりこの曲は、単なる甘いシロップのことではなく、「重くドロドロとした厳しい現実」と「その中にある力強さや生きる喜び」という、相反するイメージを同時に表現した楽曲で、2Pacがこの曲に惹かれたのも、こうしたリアルな歌詞の内容に共鳴したからだったと言えそう。
「日曜の朝、目を覚ますと今日は少し嫌な知らせが届いた。
『お前の人生なんて、生きる価値がない』
そう言われたんだ。
時間はゆっくりと、でも確実に過ぎていく。
頭の中にいろんな思いが浮かんでくるけど、別に気が狂ったわけじゃない。
強くならなきゃいけない。
踏ん張って、耐えなきゃいけない。
それでも時には、いっそ諦めたほうがいいんじゃないかと思う。
死んだほうが楽なんじゃないか、そんなふうに思ってしまう。
変わらないものだってある。
前に進み続けなきゃならない。
太陽がいつだって照らしているわけじゃない。
心が痛むことも、苦しむこともあるんだ」
そして2Pacがこの曲を気に入っていたことに対して、Bobbyは「Ugly Money TV」のインタビューで次のようにコメント。
「当時はまだ10代の若造だったから、あの曲が本当に語ろうとしていたことの意味なんて、もっと大人になるまで全然分かっていなかったんだ。今リリースされたとしても、今の世の中で起きていることに対してすごく響くし、意味を持つような曲なんだよね。だから間違いなく名曲だよ。最大のポテンシャルを発揮しきれたわけじゃないけれど、でも2Pacが亡くなる直前、自分の映画で"Blackberry Molasses"を使ってくれていて、彼のすごくお気に入りの曲だったんだ。俺は2Pacに一度も会う機会はなかったけれど、彼はもう世界的なブランドのような存在だろ?そんな彼があの曲を気に入ってくれたってことを知れたのは、俺の人生やキャリアにとって本当に大きな弾みになったし、『他の誰の心に届かなかったとしても、俺の音楽があの誇り高き2Pacの心には間違いなく届いたんだ』と思えた。それ自体が本当に贈り物のようなものだよ」
「Blackberry Molasses」はMistaのデビュー・アルバムに収録され、全米シングル・チャート最高53位、全米R&Bシングル・チャートは最高13位を記録。



































