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Shaniceの「It's For You」をプロデュースしたPortraitのメンバーが振り返る。「過小評価されていた」

執筆者の写真: R&B SOURCE
R&B SOURCE
7月30日
読了時間: 6分

更新日:16 時間前


Shaniceの隠れた名曲「It's For You」

R&BグループPortraitのメンバーが手がけた「It's For You」


「I Love Your Smile」のヒットで知られるShaniceが歌う、都会的で煌びやかなサウンドで人気を集めた「It's For You」は、'93年にリリースされたラブ・ソング。


「あなたへの想いを、もう抑えきれないの。


ただ、あなたに私のものになってほしい。


ずっとあなたの優しいぬくもりを待ち続けてきた。


だから、この愛を受け入れてほしいの。


私の気持ち、分かってくれない?あなたのためなの」


この曲は全米シングル・チャート最高57位を記録。


Shaniceが'90年代にリリースしたシングルは全15曲で、その内全米シングル・チャートでトップ100入りを果たしたのは、「It's For You」を含む以下の5曲。


I Love Your Smile|2位

Silent Player feat. Johnny Gill|31位

Saving Forever For You|4位

It's For You|57位

When I Close My Eyes|12位


当時のチャートでは、「I'm Cryin'」や「Turn Down The Lights」を上回る成績を残したにもかかわらず、スタジオ・アルバムにもベスト・アルバム『Ultimate Collection』にも収録されなかったことから、Shaniceのシングルの中では埋もれがちな1曲。


Shanice - It's For You

この曲のプロデュースを手がけたのは、「Here We Go Again!」のヒットで知られる、'90年代を代表する男性R&BグループPortraitのEric KirklandとMichael Angelo Saulsberry。


Portrait - Here We Go Again!

Shaniceとの仕事が実現した経緯について、当時の状況をMichaelが「BeatsBoxingMayhem」のインタビューで次のようにコメント。

「[Motown Records]との繋がりは、The Good Girlsというグループがきっかけだよ。

The Good Girls - It Must Be Love

彼女たちのマネージャーとプロデューサーが僕たちを知っていて、そこからShaniceのA&RだったDarrale Jonesを紹介されたんだ。彼がPortraitを気に入ってくれて、『彼女のために何か曲を作ってくれないか』と頼まれたんだよ」

Portraitのサウンドを気に入ったというDarrale Jonesは、2005年から2013年まで[Atlantic Records]の「Urban A&R部門」でシニア・バイス・プレジデントを務めた人物で、後にCardi Bを同レーベルへ迎え入れたことでも知られる、業界屈指の敏腕A&R。

Cardi Bを[Atlantic Records]と契約させた敏腕A&Rとして知られるDarrale Jones
Darrale Jones

実はPortraitは、グループ結成当初からアーティスト活動だけでなく、プロデューサー・チームとして成功することも大きな目標に掲げていたという。


デビュー後もその想いは変わらず、DarraleからShaniceへの楽曲提供を打診されると、自分たちのプロデュース能力を証明する絶好の機会だと考え、迷わずそのオファーを引き受けたとのこと。

「俺たちは、自分たちがただのアーティストではないことを見せる絶好のチャンスだと思って、このオファーに飛びついたんだよ。そこで最初に名前が上がったのがShaniceだった。みんなで集まって、まず曲を書いてデモを作ったんだけど、俺たちは完全にゾーンに入っていたよ。Quincy Jonesから空間の持たせ方を教わっていたんだ。『静寂も一つの音符だ。ただ静かなだけ。そこに何もないからといって、何かを埋めなきゃいけないわけじゃない』ってね。だからShaniceの曲を書いているときも、『あまり音を詰め込まず、スペースを残そう』と話し合ったんだ。彼女はそのデモを聴いて、めちゃくちゃ気に入ってくれたんだよ」
Quincy Jonesからアドバイスを受けたというR&BグループPortrait
Michael Angelo Saulsberry Phillip Johnson (Portrait) Quincy Jones

「'It's For You'は過小評価されていた」


そしてこの「It's For You」は、Luther Vandross、Naughty By Nature、Big Daddy Kaneらも出演したコメディ映画『The Meteor Man』のサウンドトラックに収録。


この映画は、ハリウッドの大手スタジオ[MGM]が製作と配給を手がけ、巨額の製作費と大規模なプロモーションを投入して全米公開された、初期の黒人主演スーパーヒーロー映画を代表する1本。


また、主演を務めたRobert Townsendは、監督、脚本、製作も兼任したマルチな才能の持ち主。


[MGM]が手がけた黒人主演スーパーヒーロー映画として先駆的な作品であり、その歴史的意義は現在も高く評価されている一方で、興行収入は製作費を大きく下回り、商業的には失敗に終わった映画。

Shaniceの「It's For You」を収録したサウンドトラック『The Meteor Man』

このような背景から、当時のチャートではまずまずの結果を残したものの、PortraitのMichael Angelo Saulsberryは「It's For You」はもっと大きなヒットになるべき作品だったと、次のように当時を回想。

「彼女には'I Love Your Smile'というポップ路線のヒット曲があったけど、まだ彼女を象徴するような『アーバンなレコード』はなかった。俺たちの焦点は『どうすれば彼女をそのアーバンな路線にうまくハメられるか』だったんだ。当時、Portraitのサウンドは絶好調だったから、俺たちが自分たち用にやるような曲を彼女に歌わせても、何の問題もないと考えていた。Portraitのサウンドをそのまま持ってきて、その上に女性の声を乗せたっていう感じだね。でも、'It's For You'は過小評価されていた。曲が完成したとき、そしてラジオで流れたときも『よし、かなりクールなものができたぞ』と手応えを感じていたんだ。映画『The Meteor Man』のサウンドトラックに収録されたけど、当時のサウンドトラックというのは中途半端な立ち位置だった。大ブレイクのきっかけになることもあれば、そうならないこともある。俺たちはRobert Townsendとすごく仲が良かったけれど、あの映画自体が、あの曲を本当の意味で爆発させるほどビッグ・ヒットになったかというと、どうだろうね。でも、みんな口を揃えて『あの曲が大好きだ』と言ってくれるんだよ。もっと大きくなれたはずの曲だよ。'I Love Your Smile'が彼女のポップ路線のヒットなら、俺が作った'It's For You'が彼女のアーバン路線の特大ヒットになるべきだった。そこそこ話題にはなったけど、もっとヒットしてほしかったというのが本音だよ」
R&BグループPortraitのメンバーMichael Angelo Saulsberry
Michael Angelo Saulsberry

また「It's For You」は、大物アーティストたちからも高い評価を受けていたという。

「あるとき、Rafael Saadiqに偶然会ったんだけど、彼は'It's For You'がどれだけ好きかを話してくれたんだ。Faith Evansの'You Gets No Love'をプロデュースした時も、彼女はあの曲が大好きだと言ってくれたのを覚えている。Busta Rhymesも、アルバム『Genesis』の制作中に同じように'It's For You'を絶賛してくれたよ」

Faith Evans - You Gets No Love feat. P. Diddy, Loon

Michaelにとっては、決して納得のいく結果が出なかった「It's For You」


一方で、Shaniceと仕事をした際には、彼女がスタジオに足を踏み入れた瞬間から放つ圧倒的な存在感に、強い印象を受けたとのこと。

「別に恋愛感情を抱く相手じゃなくても、人生の中で『その人が部屋に入ってきただけで、パッと空気が変わるような存在感』を持った女性に出会ったことがあるだろう?俺は圧倒されて、気後れしてしまったんだ。彼女があまりにもプロフェッショナルだったからね。俺たちが出会ったとき、彼女はすでに5歳からこの業界にいる大ベテランだった。笑顔でスタジオに入ってきて、俺たちが求めたことをすべてこなしてくれたんだ。3〜4パターンの異なるテイクを録っても嫌な顔ひとつせず、イライラすることもない。『もっと録る?必要?』なんて言いながらね。いつも活気に溢れていて、笑顔で、笑い声が絶えない。そんなセッションだったよ。Shaniceは完全なるプロだった」
「I Love Your Smile」のヒットで知られるShanice
Shanice



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