Jermaine Dupriではなく、Dallas Austinを起用する予定だったUsherのセカンド・アルバム『My Way』
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メイン・プロデューサーにJermaine Dupriを起用した『My Way』
'97年のリリースから25年が経過した2022年に、25周年記念盤が発表されたUsherのセカンド・アルバム『My Way』
Usher - My Way (25th Anniversary Edition)
'94年に発表したUsherのデビュー・アルバム『Usher』には、Sean "Puffy" Combs、L.A. Reid、Chucky Thompson、Al B. Sure!、DeVante Swing、DJ Eddie F、Dave Hall、Brian Alexander Morganなど、当時のトップ・プロデューサー陣が集結。
しかし、全米アルバム・チャートでは最高167位という結果。
それから3年後に発表したセカンド・アルバム『My Way』では、当時頭角を現していた気鋭のプロデューサー、Jermaine Dupriをメイン・プロデューサーに起用。
デビュー作から方向性を大きく転換した結果、全米アルバム・チャート最高4位を記録する大ヒットとなり、前作から大幅に順位を上げることに成功。
Usher ('94)|167位
My Way ('97)|4位
しかし、当初の予定ではJermaineではなく、別のプロデューサーを『My Way』に起用する予定だったという。

『My Way』は、当初Dallas Austinを起用する予定だった
Usherは、デビュー時にBabyfaceとL.A. Reidが立ち上げたレーベル[LaFace Records]と契約し、同レーベルからデビュー・アルバム『Usher』とセカンド・アルバム『My Way』の2枚のアルバムをリリース。
デビュー・アルバムのエグゼクティブ・プロデューサーを務めたのは、Mary J. Bligeを育てたSean "Puffy" Combs。
チャートの結果こそ振るわなかったものの、L.A. Reidは自伝『Sing to Me』の中で、Puffyの手腕を次のように絶賛。
「素晴らしかったのは、私は大ヒット曲を聴いたわけではなく、曲よりも重要な『スタイル』を確かめられたことだった。私は、曲よりもスタイルを探している。PuffyからUsherのヒット曲を求めていたわけではなく、スタイルを求めていた」

そしてUsherは、セカンド・アルバム『My Way』の制作時には青年期を迎え、数多くのプロデューサーやソングライターと仕事をするよりも、自分自身の音楽性をより強く表現したいという思いを抱くようになっていたという。
そこでL.A. Reidも、Usherの個性や音楽性をより明確な形に仕上げる必要があると考え、アルバムのメイン・プロデューサーとして1人の人物を指名。
それが、Dallas Austinだったとのこと。

Dallasと言えば、Boyz II Menのデビュー・アルバム『Cooleyhighharmony』のメイン・プロデューサーを務め、その他にも[Motown Records]所属のAnother Bad Creationなど、ボーイズ・アーティストの制作に定評があったプロデューサー。
しかし、UsherとDallasが制作した音源を聴いたL.A. Reidは、ある結論に至り、Dallasに代わるプロデューサーとしてJermaine Dupriを起用することに。
「魔法がなかった」
この時点で、JermaineはUsherのような男性ソロR&Bシンガーと仕事をするのが初めての経験だったものの、スタジオ内外でUsherと共に多くの時間を過ごし、この経験がUsherの実体験を反映するのに大きく役立ったという。
当時の様子を、Jermaineは「Rated R&B」のインタビューにで次のようにコメント。
「俺は彼が何をしたいのかを非常に注意深く聞いたんだ。彼がやりたがらないことを、彼にやらせようとしたことは一度もないよ。俺は、ただスタジオに放置されている曲を与えたわけじゃないんだ」

またUsher自身も、Jermaineの手厚いサポートに深謝の意を述べており、「Complex」のインタビューで受けた「スタジオでBabyfaceからいくつかのことを教わったと聞きました」という質問に対し、次のようにコメント。
「それはBabyfaceだけじゃなく、むしろJermaine Dupriこそ俺がライターになるのを本当に手伝ってくれた人だったよ。彼は、俺自身の声を見つけるのを手助けしてくれたんだ」
Usher - My Way
『My Way』に収録されなかったかもしれない"You Make Me Wanna..."
『My Way』からのファースト・シングルとしてリリースされたのが、「彼女がいるのに、他の女性を好きになってしまった」と、Usher自身の実体験を歌ったという"You Make Me Wanna..."。
実は、Jermaine Dupriが『My Way』の音源を[LaFace Records]に提出した際、リストにはこの"You Make Me Wanna..."が含まれていなかったようで、Jermaine Dupriは当時の様子を「Rated R&B」のインタビューにて次のようにコメント。
「この曲は俺が最後に録音した楽曲だった。手元になかったから、アルバムに収録されないところだった。『My Way』の音源を提出するために[LaFace Records]に行った時、"You Make Me Wanna..."は持って行かなかった。俺が提出した5つの曲、"Nice & Slow"、”One Day You'll Be Mine"、"Come Back"、"Just Like Me"、"My Way"を再生したとき、L.A. Reidはこれらの曲を気に入ったようだったけど、『それだ!』という感じではなかった。当時、部屋の中にいた誰もがこれらの曲が好きだったと思うけど、『イエス』とは言わなかった。それはクレイジーだと思ったよ、だって"Nice & Slow"が本物のヒット・レコードだっていうことを俺は知っていたからね。L.A. Reidは、"Nice & Slow"がUsherのキャリアをスタートさせることができるとは思っていなかったんじゃないかな。[LaFace Records]に行って、俺が望んでいた感情を見つけられなかったから、"You Make Me Wanna..."を書くために戻ったんだ」
ちなみに、"You Make Me Wanna..."と"Nice & Slow"の2曲を、当時のチャートで比較すると次のような結果。
You Make Me Wanna...
全米シングル・チャート
最高2位
全米R&B/ヒップホップ・ソングス・チャート
1位
'97年ビルボード年間シングル・チャート
14位
第40回グラミー賞
「Best Male R&B Vocal Performance」ノミネート
Nice & Slow
全米シングル・チャート
1位
全米R&B/ヒップホップ・ソングス・チャート
1位
'98年ビルボード年間シングル・チャート
9位
どちらも甲乙つけ難い堂々たる結果で、仮に"You Make Me Wanna..."が『My Way』に含まれず、"Nice & Slow"1曲のインパクトでも大成功を収めていたことは想像に難くないものの(アルバムの表題曲"My Way"もシングル・リリースされ、こちらも全米シングル・チャート最高2位と大ヒット)、当時L.A. Reidは[LaFace Records]からUsherを解雇しようと考えており、Jermaine Dupriはその事実を知らされていなかったとのこと。
L.A. Reidにとっては、『My Way』がUsherをサポートできる最後のチャンスだと考えていたのか、Usherをスーパースターへと導く為に、ゲーム・チェンジャーを起こせる起死回生の1曲を欲していたと想像すれば、L.A. Reidにとっての「魔法の1曲」こそ、"You Make Me Wanna..."だったのかもしれないですね。
You Make Me Wanna...
Usher
iTunes: https://apple.co/404jIgM
「彼が持っていたリズムのカッコよさは忘れない」
『My Way』に収録された全10曲の中で、Jermaine Dupri以外のプロデューサーが手がけた楽曲は計3曲で、その内の2曲がBabyfaceプロデュースの"Slow Jam"と"Bedtime"で、もう1つの楽曲が"I Will"。
BlackstreetのメンバーTeddy Riley, Chauncey Hannibal, Eric Williamsがソングライトを担当し、プロデュースはTeddy Rileyの右腕としてヒット曲を量産したSprague "Doogie" Williamsが担当。
I Will
Usher
iTunes: https://apple.co/3HOO8uU
「Rated R&B」のインタビューで「"I Will"は、HeatWaveの"Always and Forever"のような、ショーの始まりを思わせるクラシックな曲の1つ。 Teddy Rileyは常に過去を念頭に置きつつ、現代でも楽しめる曲を作り出してくれた。Blackstreetが俺の為にバックグラウンドを歌っているのを聴いた時、本当に嬉しかったよ。俺を支えてくれる兄弟達によって導かれているような感覚があったんだ」と、Blackstreetのメンバー達と制作していた様子を振り返ったUsher。
ステジオではこの曲の制作に多くの時間を割いたようで、その際に特に印象に残ったのがBlackstreetのメンバーEric Williamsの存在だったとのこと。
「Eric Williamsは、俺の為に本当に素晴らしいものを作ろうとしてくれた。彼がR&Bシンガーとして持っていたリズムのカッコよさは忘れない。彼のフロウはほとんどMCのようだったよ」

Eric Williamsと言えば、Blackstreetのセカンド・アルバム『Another Level』からグループに加入し、あの2Pacの名曲"Do For Love"のボーカリストに抜擢されたシンガーとしてもお馴染み。
"Do For Love"の後半03:57〜で披露するEric Williamsのフェイクは、異質さを感じてしまうほどの圧倒的なリズム感で、Usherが絶賛するのも納得ですね。
ちなみにこの"I Will"は、元々Blackstreet用の楽曲として作られたものの、テストに合格しなかった為、最終的にUsherに提供される予定になったとのこと。
Do For Love feat. Eric Williams
2Pac
iTunes: https://apple.co/40Jov7x













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