Kelisの最高傑作"Milkshake"
「Milkshake」とは、ミルクとアイスを混ぜて作るあの甘い飲み物である一方、グラマーな女性をコーラの瓶に例えて「Coke Bottle」と表現するように、女性のセクシーな身体を表現する際に使われるスラングとしての意味も。
Kelisが2003年に発表した"Milkshake"も、「私のミルクシェイクが男の子達を惹きつけちゃうわ。『あの子のミルクシェイクより良い』っていう感じでね」と歌う、かなりセクシーな1曲。
この曲は、Kelisが発表してきた全シングルの中で最高位となる全米シングル・チャート最高3位を記録し、2004年のビルボード年間シングル・チャートは41位にランクイン、また受賞こそ逃したものの、第46回グラミー賞「Best Urban/Alternative Performance」にノミネート。
Billboard Year-End Hot 100 singles of 2004
1. Yeah! - Usher featuring Lil Jon, Ludacris
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41. Milkshake - Kelis
42. Splash Waterfalls - Ludacris
43. Jesus Walks - Kanye West
44. Locked Up - Akon featuring Styles P
45. Stand Up 0 Ludacris featuring Shawnna
46. Suga Suga - Baby Bash featuring Frankie J
47. All Falls Down - Kanye West featuring Syleena Johnson
48. Toxic - Britney Spears
49. Salt Shaker - Ying Yang Twins featuring Lil Jon & the East Side Boyz
50. With You - Jessica Simpson
そんなKelisの最高傑作"Milkshake"は、Pharrell WilliamsとChad Hugoによるプロデューサー・デュオThe Neptunesがプロデュースを担当。
人気プロデューサーとのタッグで確かな結果を残した"Milkshake"でしたが、この曲は元々Britney Spearsのアルバム『In the Zone』の収録を目指してThe Neptunesが作ったものの、Britney Spearsがこのオファーを断り、最終的にKelisが歌うことに。
Kelis
Milkshake
iTunes: https://apple.co/3pn15Eg
「これはコラボじゃなくて盗作よ」
2000年代R&Bの名曲として今なお多くのファンに愛される"Milkshake"ですが、この曲をサンプリングした楽曲として話題になったのが、2022年7月にBeyonceが発表したアルバム『RENAISSANCE』に収録された"Energy feat. Beam"。
Beyonce
Energy feat. Beam
iTunes: https://apple.co/3PvxrHo
"Milkshake"をサンプリングしたという経緯から、"Energy"のソングライター・クレジットには、"Milkshake"のプロデューサーであるPharrell WilliamsとChad Hugoの名前が記されているものの、しかしKelisの名前は加えられていなく、これに激怒したのが"Milkshake"を歌ったKelis本人。
Kelisは、『RENAISSANCE』がリリースされたタイミングでこの事実を知ったようで、ファン達が「Beyonceの"Energy"でKelisの曲がサンプリングされている」とSNSに書き込むやいなや、「これはコラボじゃない、盗作よ」と反応。
Kelisがこの件に関して激怒しているのは、ソングライター・クレジットにKelis自身の名前が記されなかったことに加え、事前に"Milkshake"をサンプリングするという事実が伝えられなかったこともその理由の1つで、「3者の無礼と無知のレベルには驚かされる」と怒りのコメント。
ちなみに、Kelisが言う「3者」とはBeyonce, そして"Milkshake"を手掛けたPharrell WilliamsとChad Hugoのこと。
ちなみに、Kelisが歌った"Milkshake"のクレジットは次の通り。
Written by Pharrell Williams, Chad Hugo
Produced by The Neptunes
"Milkshake"を歌ったのはKelisながら、Kelisは作詞作曲に携わっていないので、書類上Beyonce"Energy"のソングライター・クレジットにKelisの名前を記す必要は無いものの、この点に関してもKelisは次のように言及。
「私がPharrell Williamsのレーベル([Star Trak Entertainment])と契約した時、私と彼のマネージャーは同じで、彼は私のレコードにクレジットされることになった。私の全てのシングルに彼の名がクレジットされているけど、彼は曲や歌詞を書いたことはないわ」
今回の一件で、過去のPharrell Williamsの対応に対しても不満を漏らし、「彼はいつもこんなことをやっている。些細なことだけど」と語ったKelis。
"Energy"を歌ったBeyonceに対しても「私が問題だと思っているのは、私達が黒人の女性アーティスト同士であるということ。この業界に黒人の女性アーティストはそんなに多くはないし、私達はお互いに面識もあるし、共通の友人だっている。だから連絡することくらい簡単だったはずでしょ?」とコメント。
Kelisとしては、人が歌った曲を使うなら、クレジットがどうのこうのではなく、歌っている本人にも「事前に一言断りを入れるのが筋」という、礼儀の部分を訴えることは道理。
またKelisが言うように、Pharrell Williamsは"Milkshake"の制作に本当に関与していなかったとしたら、今までうやむやにされてきた憤りが、今回の件をきっかけに爆発してしまうのはやむを得ない気も。
ちなみに、当のBeyonce本人は"Energy"から"Milkshake"のパートを削除した新バージョンを発表するなど、Kelisからのクレームをサラリと回避しています。
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