売上が落ちても、自分を変えなかったKeith Sweat。そして「Twisted」で、キャリア最大級のヒットを記録。


キャリア最大級のヒットを記録した「Twisted」
'87年のデビュー・アルバム『Make It Last Forever』が300万枚を超える大ヒットを記録し、「I Want Her」のヒットによって、ニュー・ジャック・スウィングを代表する男性R&BシンガーのひとりとなったKeith Sweat。
しかし、'90年代半ばになると、ニュー・ジャック・スウィングのブームはすでにピークを過ぎ、R&Bシーンも新たな方向へと動き始めていた時期。
Keithは、デビューから4作すべてのアルバムで、全米R&Bアルバム・チャート1位を達成。
一方で、アルバムのセールス面では、リリースを重ねるごとに売上枚数が落ちてきたのもまた事実。
Make It Last Forever ('87) | 約300万枚 |
I'll Give All My Love To You ('90) | 約200万枚 |
Keep It Comin' ('91) | 約100万枚 |
Get Up On It ('94) | 約76.5万枚 |
そんな状況のなか、Keithは『Get Up On It』のリリース後、約2年間表立った活動から距離を置き、そして'96年、セルフ・タイトル・アルバム『Keith Sweat』を完成させ、再びシーンへと戻ってくることに。
'96年当時の「Billboard」のインタビューで、この時の心境をKeithは次のようにコメント。
「俺は自分がやってきたことで成功してきた。だから、変えようとはしていない。アーティストが失敗するのは、そういうところなんだ。俺は2年間、シーンの表舞台から離れていた。でも、戻ってくるときに『自分自身とは違う何か』を持ってくるなんて、馬鹿げていると思う」
しかし、それは過去のスタイルをそのまま繰り返すという意味でもなく、彼自身、アルバム『Keith Sweat』についても次のように発言。
「より音楽的にも、ボーカル的にも進化した」
つまり、変えたのは「Keith Sweat」という存在そのものではなく、その表現方法。
そして、その答えとして届けられたのが、アルバムからの先行シングル「Twisted」
Keith Sweat - Twisted
ゆったりとしたミッドテンポのビートに、Keith特有の甘く粘りのあるボーカルを重ね、そこにKeithが見出した女性R&Bグループ、Kut Kloseも加わる展開。
もちろん、サウンドは'80年代末のニュー・ジャック・スウィングそのものではなく、ヒップホップの感覚を取り込みながら、より洗練された'90年代半ばのコンテンポラリーR&Bへと進化。
Keithが築き上げてきたスタイルを手放すことなく、時代に合わせて自然にアップデートした1曲。
そして「Twisted」は全米シングル・チャートで最高2位、そして全米R&Bシングル・チャートでは1位を記録。
音楽のトレンドが変化しても、Keithは自分が何者なのかを失わず、そのままの自分で時代の変化に応えていく道を選び、結果的に「Twisted」はKeithにとってキャリア最大級のヒットを記録。
当時の「Billboard」は、Keithについて次のように言及。
「Keith Sweatが'87年のデビュー作『Make It Last Forever』で登場したとき、9年後の現在も、彼が甘く訴えかける歌詞で女性たちの心をときめかせ続けているとは、誰も予想できなかっただろう」
一方のKeithは、自身の在り方、またアーティストとして生き残る術について、次のようにコメント。
「このビジネスで最初の1年、2年を乗り越えることができれば、もう大丈夫だと思う。世の中には、登場したと思ったら、その後まったく名前を聞かなくなるアーティストがたくさんいる。俺はこのビジネスに9年間いる。そんなことを言えるアーティストは、そう多くない。ここまで時代の試練に耐えてこられたことを、神に感謝しているよ。このビジネスがどういうものなのかは理解している。だから、いつ姿を見せるべきで、いつ姿を消すべきなのかも分かっている。俺の戦略は、ファンに俺の存在をちょうどいいくらいに与えて、そのあと一度引くこと。そうすれば、俺が戻ってきたときに、また会いたいと思ってもらえるからね」




































