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The Weekndは、なぜ「Out of Time」で亜蘭知子の「Midnight Pretenders」をサンプリングしたのか?そして、使用許諾が下りるまで10年もの歳月を要した理由とは。

執筆者の写真: R&B SOURCE
R&B SOURCE
9月24日
読了時間: 4分

更新日:9月28日


The Weekndは、なぜ「Out Of Time」で亜蘭知子の「Midnight Pretenders」をサンプリングしたのか?

2012年に日本で「Midnight Pretenders」に出会ったThe Weeknd


2022年、The Weekndが発表したアルバム『Dawn FM』に収録された「Out of Time」


この曲は、'83年に日本人女性シンガー亜蘭知子が発表した「Midnight Pretenders」を、ほぼ原曲の姿を残したままサンプリングしたことで大きな話題に。


The Weeknd - Out Of Time


「Midnight Pretenders」は、亜蘭が1983年に発表したアルバム『浮遊空間』に収録された楽曲で、作曲は織田哲郎、作詞は亜蘭自身が担当。


日本では長らく、誰もが知る大ヒット曲という位置づけではなく、しかし近年のシティポップ・リバイバルにより、海外を含めて再評価が進んでいた楽曲のひとつ。


亜蘭知子 - Midnight Pretenders

では、なぜこの曲をThe Weekndは選んだのか。


2026年5月、The WeekndことAbel Tesfayeと直接会う機会を得たという亜蘭は、その場で本人にどうしても尋ねたかったことがあったという。


「Universal Music」のインタビューで、亜蘭はその時の状況について次のようにコメント。

「いつか彼に会ったら、私には直接尋ねてみたいことが二つありました。一つ目は『何故'Midnight Pretenders'を選んだのか?』ということ。シングル曲でもなく、日本でもあまり知られていなかった亜蘭知子というアーティストのアルバムの中の1曲。誰もが不思議に思ったに違いありません」

The Weekndは、2012年に日本を訪れた際にこの曲に出会い、そしてその瞬間に「すぐにでもサンプリングしたい」と思ったのだという。


つまり、「Out of Time」のアイデアは、2022年の『Dawn FM』制作時に突然生まれたものではなく、まだThe Weekndが現在ほど世界的なスーパースターになる前から、彼の中には「Midnight Pretenders」という日本の楽曲の記憶が残っていたということに。


ここで興味深いのは、The Weekndが単に「日本のシティポップだから」という理由だけで、「Midnight Pretenders」を選んだわけではないということ。


「Midnight Pretenders」は、都会的で洗練されたサウンドを持ちながら、どこか夜の孤独や恋愛の切なさを感じさせる楽曲。


そして「Out of Time」もまた、過去の恋愛を振り返り、「もっと早く気づいていれば」という後悔を歌った曲。


原曲が持つ「夜」「恋愛」「都会」「記憶」「過ぎ去った時間」といった要素は、「Out of Time」の世界と驚くほどよく重なり、さらに『Dawn FM』そのものが、時間や記憶、過去と向き合い、そこから先へ進んでいくことを大きなテーマに掲げた作品。


The Weekndが2012年の時点ですでに「Midnight Pretenders」をサンプリングしたいと考えていた一方で、2022年の『Dawn FM』制作では、アルバムに参加したプロデューサーOneohtrix Point Neverら制作陣との共同作業によって、そのアイデアが具体的な楽曲へと形づくられていくことに。


つまり「Midnight Pretenders」は、単にメロディやビートが魅力的だったからサンプリングされたのではなく、The Weekndが『Dawn FM』で描こうとしていた世界観とも、自然につながる音楽だったと考えることができそう。


実際、「Out of Time」でのサンプリングは非常に大胆。


一般的なサンプリングでは、原曲の一部を細かく切り刻み、加工して新しいビートの中に組み込むことが多いものの、「Out of Time」では、「Midnight Pretenders」の印象的なサウンドの大部分をそのまま使用。


しかし、The Weekndが「Midnight Pretenders」を知ったのは2012年、そして「Out of Time」が発表されたのは2022年。


リリースまで実に10年の歳月が流れており、亜蘭によると、The Weekndは2012年の時点で既ににサンプリングしたいと思っていたものの、当時の日本では海外アーティストによるサンプリングの前例があまりなく、許諾を得るまでに時間がかかったという。


結果として、10年越しに「Midnight Pretenders」はThe Weekndの「Out of Time」として生まれ変わり、そしてそのタイミングは偶然にも、海外を中心にシティポップへの関心が高まっていた時期とも重なり、「Out of Time」もそのブームを加速させる起爆剤に。


そして2026年、その関係はもう一段先へと進み、The Weekndと亜蘭は同じスタジオに入り、新たな音楽を制作し、そこで完成したのが「Out Of Time (with 亜蘭知子)」


時系列で振り返ると次のような流れ。


・1983年|亜蘭知子が「Midnight Pretenders」をリリース

・2012年|日本を訪れたThe Weekndがこの曲に出会う

・2022年|The Weekndが「Out of Time」をリリース

・2026年|亜蘭知子本人が「Out of Time」に参加


そして亜蘭がThe Weekndに直接尋ねたかったもうひとつの質問が、「Out Of Time」の歌詞についてだったという。

「'Out of Time'の歌詞は'Midnight Pretenders'の女主人公に向けて語りかけているような歌詞にも思えるが・・・あれは意識してそういう歌詞にしたのか?と私が尋ねると、エイベル氏は胸に手を当てて「もちろん!」というように大きくうなずきました。40年の時を超えて'Midnight Pretenders'の物語が'Out of Time'につながっていると思うと本当に感無量でした」

The Weeknd - Out Of Time with Tomoko Aran





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