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Teddy Rileyが手がけたHeavy Dの「Is It Good To You」は、元々Wreckx-N-Effect用に作られた曲だった。

執筆者の写真: R&B SOURCE
R&B SOURCE
9月8日
読了時間: 5分

Teddy Rileyが手がけたHeavy D & The Boyzの「Is It Good To You」

Wreckx-N-Effect用に作られた「Is It Good To You」


Teddy Rileyがプロデュースを手がけた、Heavy D & The Boyzの「Is It Good To You」


全米シングル・チャート最高32位を記録した、ニュー・ジャック・スウィングの名曲。


実はこの曲、元々TeddyがWreckx-N-Effectのために制作した楽曲だったという。


Teddyは、「Red Bull Music Academy」のインタビューで、当時の状況を次のように回想。

「'We Got Our Own Thang'はWreckx-N-Effect用だったのに、Heavyが持っていった。それから'Now That We Found Love'と'Is It Good to You'もだ。'Is It Good to You'はWreckx-N-Effectのための曲だったんだ。俺が覚えているのは、とにかく『Heavy、これはお前には渡さないぞ』っていうことだけだ。今でも、そのときの光景を覚えている。俺たちは部屋に座っていて、彼はミキシング・コンソールの前にいて、俺もコンソールの前に座っていた。その光景が頭の中に残っているんだ。すると彼が、『なあ、その曲を俺にくれたほうがいいんじゃないか?』って言うんだ。俺は、『今回はダメだ』って答えた。すると彼は、『お前、この曲でルールを破ってるぞ』って言った。『どういう意味だ?』って聞いたら、『こんな曲、他にないだろ。だからこそ俺のための曲なんだ』って。俺は、『いや、これはお前のための曲じゃない、Heavy。もしこの曲でラップしたいなら、ぜひやってくれ。でも、俺たちはここにお前のレコードを作るために来てるんだ。この曲じゃない。お前はこの曲を持っていくことはできない。お前は俺の兄弟の曲を全部持っていっただろ。今回は絶対にそうはさせない』と言ったんだ。でも結局、俺たちは『Now That We Found Love』を作ることになった。俺は、『分かった。この曲を持っていけ』と言ったよ。Wreckx-N-Effectのための曲だったから、『あぁ、もう…』っていう感じだったよ。するとHeavy Dが俺に親指を立てて、『OK』って合図をしてきた」

Heavy D & The Boyz - Is It Good To You



Heavy D版のMVに出演していないTammy Lucas


この曲でボーカルを担当したのは、Teddy Rileyの右腕として活躍し、Michael JacksonやBlackstreetらのヒット曲にも携わった、'90年代を代表する女性シンガーソングライターTammy Lucas。

teddy Rileyの右腕として活躍した女性シンガーソングライターTammy Lucas
Tammy Lucas

しかし、この曲のミュージック・ビデオに彼女は出演しておらず、映像にはモデルのCynthia Baileyらが出演し、Tammyのボーカル・パートは別の女性が口パクする形の演出。


なぜ、Tammyはこの曲のミュージック・ビデオに出演していないのか。


その背景には、'90年代のR&Bやヒップホップ、ダンス・ミュージックに見られた、現在から見ると少し異質なミュージック・ビデオの制作慣習があり、それは、実際に歌っているシンガーとは別の女性を映像に出演させ、あたかもその人物が歌っているかのように演出するというもの。


Tammyは、後にTeddyから「驚異的な才能を持つシンガーソングライター」と評価されるほどの実力を持ちながら、Heavy D版では表舞台に立つことが許可されなかった存在。


そして、これはTammyだけの特殊なケースではなく、特に有名な例が、C+C Music Factoryの「Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)」


あの強烈な女性ボーカルを実際に歌ったのはMartha Wash。

C+C Music Factoryの「Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)」を歌ったMartha Wash
Martha Wash

しかし、Music Videoには別の女性Zelma Davisが出演し、Marthaの歌声に合わせて口パク。


そしてMarthaはアルバムのジャケットにも登場せず。


この問題は当時「Los Angeles Times」でも報じられ、実際の歌い手と映像上の人物が異なることが大きな問題に。


C+C Music Factory - Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)

つまり、'90年代の音楽業界には、歌唱力や音楽的才能を持つ女性シンガーが「声」を担当する一方、ミュージック・ビデオやジャケットでは、ルックスやイメージを重視した別の女性が「顔」を担うケースが実際に存在。


ただし、これを「'90年代の音楽業界全体で、実力派を意図的に裏方にして、モデルを立てることが横行していた」と表現するにはやや大袈裟で、Tammyについても、彼女がミュージック・ビデオに出演しなかった理由が「ルックスの問題だった」とする決定的な証言は、現時点で確認されていないのが現状。


Tammy本人も、「Halftime Chat」のインタビューで次のようにコメント。

「私はただフックを歌っていただけ。なぜ自分がミュージック・ビデオに出演しなかったのかはHeavy D & The Boyzかレーベルに聞いてほしい。当時はそういうふうに物事が進められていたのよ」

こうした演出は、現在ではほとんど見られなくなったものの、その一方で、アーティスト本人ではなく、俳優やモデル、ダンサーなどを主人公に据え、楽曲の世界観やストーリーを描くスタイルが定着。


つまり、かつての「本人の代わりに別人が歌っているように見せる」という発想から、「本人とは別の人物を通して楽曲を表現する」という発想へと変化。


そしてHeavy Dのバージョンでは陽の目を浴びなかったTammyだったものの、彼女の歌声に強く惹かれ、その才能を高く評価していた人物がおり、それが当時[MCA Records]の重役を務めていた女性エグゼクティブ(おそらくKathy Nelsonという人物)。


2Pacが主演を務めた映画『Juice』のサウンドトラック制作が進められていた頃、KathyはHeavy Dの楽曲で聴いたTammyの歌声に可能性を感じ、Teddyにある提案を持ちかけることに。


当時の状況を、Tammyは次のように回想。

「Heavy D & The Boyzのバージョンが最初に出て、それから『Juice』のことを知っていた[MCA]の女性エグゼクティブが、Teddyに『サウンドトラックのために、これと似たようなものを何か作れないか』と頼んだの。そしてTeddyがそれをやった時、私に歌詞をいくつか書いてくれないかと頼んできた。最初のバージョンはHeavy Dがラップをしていて、私はただサビを歌っていただけだったから」

こうして、映画『Juice』のサウンドトラック用に「類似したテイストのR&Bナンバー」を求められたTeddyは、裏方だったTammyに「作詞」と「メインボーカル」を委ね、Heavy D版を「Is It Good To You feat. Tammy Lucas」としてセルフ・リメイク。


ラップ主体の構成から、Tammyの艶のある洗練されたメロディが全編をリードする「R&Bバージョン」がこうして完成。


そしてMusic Videoでは、Tammyが全面的にフォーカスされ、ついに表舞台に立つアーティストとしてスポットライトを浴びることに。


Teddy Riley - Is It Good To You feat. Tammy Lucas




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